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201706title

 

50.各種シビレへのアプローチ

 

各種シビレへのアプローチ

ーそれからわかった2~3の事柄ー

 

東洋医学ひぐちクリニック
樋口 理

 

 

 西洋医学では、シビレは末梢神経障害で起こり、手術をしても残る可能性の高い症状であり、積極的な治療方法は無いと思われます。
 一方、東洋医学では、「気・血・水」が関連しますが、気は気虚・気滞、血は血虚・血瘀・瘀血、水は水毒があると思いますが、今回の私の症例では、気・血が関連している症例もありますが、ほぼ全て『水毒』。(私の独断と偏見と認知症が多々加味されています。)西洋医学にはない概念ですが、体内に水が停滞、溜まると考えます。
 もし水が溜まると仮定すれば、重力の法則で一番低い所(手足の末梢の末端)に圧倒的に多いと思いますから、重力の法則と一致しています。そして、床上浸水理論で中枢側へ溜まり、治るときは床下へ水が引いて行く様なイメージで症状が軽減して行きます。
 先ず、シビレについて考えてみます。長時間正座をすると足がシビレて立てなくなった経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、このしびれは神経がらみなのか?
脚を伸ばすとしびれは比較的短時間にとれ、そのとき脚が温もるような感覚が伴うこともあります。脈管が圧迫されおこるかな?ボーリングをしすぎて指がしびれる。
edgeで直接神経の圧迫が原因か。結構症状が永く続きます。手根管症候群のシビレ;TVの健康番組では手を挙上してグーパーグーパーすると現象論としてシビレは軽減する(Rising Test)と説明していますが、何故軽減するかは?。
東洋医学では停滞している水;重力の法則で下へ動くからと説明し理解できると思います。
 従って東洋医学的には、シビレは神経がらみの症状はなく、軟部組織に水が入り込み内圧が上がった圧迫症状と考えられます。西洋医学では、神経がらみの症状としますから、病名は座骨神経痛、腰部脊柱管狭窄症、頚椎症性神経根症、手根管症候群、脳血管障害後遺症、知覚神経損傷などとなります。
 治療方法は、水分制限を柱に軟部組織より水を抜き、あるいは水を動かし、内圧を下げるという事になります。漢方薬の世界ではシビレは血虚、色々チャレンジしましたが、なかなか難しく限界かなとあきらめムードでした。が、鍼や刺絡(瀉血のことです)治療をしてみると反応あり。それも鍼治療の15~30分という短時間で患者様が実感されます。
 方法は、先ず仰臥位で指の間に鍼をします。手にするのを八邪、足にするのを八風といいます。鍼をすると気・血・水が動きますから、シビレの原因の水も動き、症状は軽減するという訳です。但し、気・血・水は体のくびれの箇所で滞るという原則がありますから、その処置も必要です。一番大きなくびれは頸部ですから、この部位の処置が
最重要となります。体幹と上肢、体幹と下肢の繋ぎ目の処置ももちろん大事です。
 各種シビレへのアプローチの症例がかなりの数(数十例)にのぼり、ほぼ全例でシビレの軽減消失をみています。代表的な症例を提示し、サマリーをまとめ、最後にそれらからわかった2~3の事柄を述べ、結語といたします。

 

 

≪症例1≫安◇清◆;75歳、女性

C.C.;腰痛症、右手指~上肢のシビレ感、こわばり感
P.I.  ;2ヵ月前より、腰痛出現。ほぼ同じころより右手指~上肢のシビレ感、こわばり感出現。シビレ感はだんだん範囲が広がりひどくなくなり、とれない。

 

治療&経過:まず、陰性食品(茶6杯、水4杯)の制限を指示。鍼治療は八邪(指の間)、肘に灸頭鍼、天宗(肩甲骨棘下のツボ)に刺絡後吸い玉施行。手指爪の生え際の井穴に刺絡施行腰は、膝3穴(肘にある腰痛のツボ)に置鍼して腰以下の運動(遠位置針ー運動療法)を10分施行。漢方薬は、六君子湯、薏苡仁湯、八味丸、桂枝加朮附湯、桂枝茯苓丸などを投与。
腰痛は早々に消失。シビレはまず、上肢のシビレ感が無くなり、指の付け根(MPJ)から先にシビレあり。仕事をするとシビレが強くなる。そこで再度水分チェック。汗をかくので、水分とっている→更なる制限指示。すると手指のシビレは指の付け根からあったのが、先の方だけになった。いつもの処置に加えて『火針』(タングステン鍼を真っ赤に焼いて速刺速抜;経絡の流れを良くし、更にアイロンをかける意味がある)を施行。
直後に「どうですか?」と聞くと、指先を何度も擦り合わせて「シビレは、あら?無い。」との弁あり。シビレは火針後生じていない。

 

【コメント】本例のような経過ー床上浸水理論でシビレは末梢より上肢へ広がり、治るときは更に水が床下へ引いて行くイメージで治って行かれます。

 

【参考】『火針』について

⑴『霊枢』経筋編では
「火針を速刺速抜せよ。知るを以て数と成す。痛を以て愈と為す」
(火針は速刺速抜し、効果があれば、それで治療を終えなさい。痛い所が治療点である)と述べられている。

⑵高知県の西田晧一先生は、火針の五つの効果機序をあげられている。
①火を用いて扶正助陽・温通経絡する
②皮膚に穴を開けて邪気(お血や水気、余分な熱)を除く。
③熱を用いて熱邪を取る。
④痛みと痒みを取る。
⑤麻痺を取る。

⑶賀普仁氏は、三通法を
①微通法(刺針、皮肉針)
②温通法(施灸、灸頭針、火針)
③強通法(刺絡)
     
と述べられている。
が、『火針』を使った経験からはこの三つを備えた最高の強通法であると考えています。

 

 

≪症例2≫U.N.;59歳、女性
C.C.;右肩痛、右拇指シビレ
P.I.  ;本年3月より、右拇指シビレ出現。右肩痛もあり、頸が原因と言われ、首の牽引治療しているが、シビレ、痛み共にひどくなるため、漢方でどうにかなりませんかと依頼あり。

 

治療&経過;シビレは東洋医学では水毒(水分のとりすぎ)と説明。陰性食品(緑茶、冷麦茶など19杯/日)の制限を指導。鍼治療は右手に八邪、肘に灸頭針、顎肩部の凝りに針、天宗に刺絡後吸い玉施行。漢方薬は六君子湯、薏苡仁湯、桂枝加朮附湯などを投与。
すると、右手のシビレ感じが違ってきた。そして、ほんの少し指尖にシビレありとなり、当初の2~3/10。ほとんど気にならない。同処置に井穴刺絡追加。物にあたるとジーンとしていたのが、しなくなった。シビレほぼ消失。

 

【コメント】床上浸水理論でー床下へ水が引き指尖にシビレが残っているときは、井穴刺絡か火針で皮膚表面を撫でるようにする(アイロンをかけるの意です)とシビレは消失します。

 

 

≪症例3≫H.S.;76歳、男性

C.C.;両足のつり、シビレ
P.I.  ;半年位前より、両足がつるようになり、またシビレもあり、整骨院で治療しているが、よくならない。以前腰部脊柱管狭窄症と言われたことがある。

 

治療&経過;陰性食品(ヨーグルト、トマトジュース、バナナ、冷水、青汁など)の制限を指示。普段より冷水小まめにとる習慣あり、胃腸の調子が悪いとの由。冷水が諸悪の根源かもしれないと説明。治療は百会、関元に棒灸。八風に鍼、足三里に灸頭針。漢方薬は附子理中湯、真武湯、牛車腎気丸、九味檳榔湯などを投与。足のつりは早々に減り、シビレもあったと言う間に、足拇指先に少しあるのみとなり、井穴刺絡を追加し消失。足のつりは起こっていない。
足のシビレもほとんど気にならない。忘れていたが、胃腸の調子もかなりよくなった。治癒。

 

【コメント】患者様は“体を冷やす”陰性食品を知らずに摂取していますから、陰性食品の制限を指導されるだけで、皆さん体調が良くなります。

 

 

≪症例4≫M.N.;68歳、女性
C.C.;夜になると足がジンジン
P.I.  ;1年前から昼間はどうもないのに、夜になると足がジンジンする。複数の医療機関で検査したが、異常なし。自律神経失調症と言われた。足のジンジンは不思議だが、足を高く上げると楽になるので、いつも足を高くして寝ているとの事。針や漢方でよくなりますかと依頼あり。又リウマチが気になるからと。

 

治療&経過;陰性食品(朝昼夕と3時と寝る前に緑茶2杯×5、10時にコーヒーとオロナミンC、3時にはアクエリアス2杯)を制限。鍼治療は、調気、足に八邪、頸背部の凝りに置針。漢方薬は腹は冷たく、裏寒(内臓の冷え)として附子理中湯合真武湯、桂枝加朮附湯を投与。後日来院されましたが、夜の足のジンジンはその日の夜からなくなったとの事。ビックリしたとーーー1週間で治癒廃薬。

 

【コメント】足を高くするとジンジンは軽くなる。これは何を意味するか?。高いところから低いところへ水が流れたと東洋医学では解釈します。西洋医学にはない概念
『水毒』の典型例です。現象論としては、例えば『手根管症候群でも手を挙げてグーパーグーパー(Rising Test)するとシビレは軽くなります』とTVの健康番組で手の専門医が述べています。
現象論としては知り理解しているが、『水毒』の概念がない為に、もう一歩踏み込めない、解決できないと思います。
この方は陰性食品制限と鍼治療が奏功した例です。
1年間のジンジンが1回の治療でとれたので喜び、娘さんが3週間前から手のシビレがよくならないと遠方から連れてこられました。同じように水毒の治療をして30分でシビレは消失しました。原因は6杯の冷麦茶と2杯のプーアール茶でした。

 

 

≪症例5≫ T.T.;37歳、女性
C.C.;手足のシビレ、手の皮が薄くなった。
P.I.  ;H25.7 大腸癌の手術施行。抗癌剤の投与後手足のシビレ出現。主治医からシビレは、抗癌剤の副作用なので、治療法は無いと説明されたが、不愉快で仕方が無い。漢方や針灸などで、どうにかなりますかと依頼あり。

 

治療&経過;東洋医学ではシビレは水毒が圧倒的に多いと説明すると、抗癌剤の投与で点滴を始めると、手足がむくみ、シビレがひどくなり、看護婦さんからおしぼりで温めてもらうと軽くなったと言われました。手に八邪を施行し、肘関節の圧痛部に灸頭針、天宗に吸い玉、頸背部の凝りに置針。漢方薬は抗癌剤治療後の疲労感強いため、気血両虚として十全大補湯を投与。
鍼治療のたびにシビレは軽減し6回の治療で消失しました。
又足のシビレには、足関節が重いとの訴えもあり、踵痛の針を一緒に施行。
直後に、足の重い感じは消失し、シビレも軽減しました。

 

【コメント】シビレは西洋医学では神経がらみの症状ですが、東洋医学では水毒が圧倒的に多く、他に血虚や肝鬱があります。
いつもの様に水毒に準じて、鍼治療を施行し症状は軽減消失しました。
私の経験では、抗癌剤の副作用としてのシビレは本例を含めて3例しかありませんが、最初の1例は火針2回で簡単にシビレはとれました。2例目は半信半疑で脱落。本例が3例目で、普通の水毒と同じ様な経過で治りました。西洋医学では、積極的な治療法がなく泣き寝入りしている方が多いと思われます。
この方は、5月の連休に缶ビールを飲まれ、シビレが再度出現し、さらなる納得をされました。症状に再現性があり、治療で消失しました。やはりこのシビレは水毒でした。
抗癌剤の副作用としての末梢神経障害ではないようです。

 

 

≪症例6≫□.×.;52歳、女性

C.C.;頸部痛、左上肢のシビレ感
P.I.  ;平成25年11月24日の交通事故で受傷。頸部痛、左上肢のシビレ感を訴えられて平成25年11月28日受診。

 

治療&経過;先ず漢方駆瘀血剤を投与し、鍼治療も施行。左上肢のシビレ感に対して利水剤を中心に血剤を加味して投与。軽減はするものの反応が今一つ。火針・井穴刺絡もしましたが12月に入っても、ジンジン・シビレの訴えが続きました。経過が水毒のシビレとは異なり、迷ったあげくヒョットしたらと思い四逆散ベースに変更しました。これがヒットし2日目よりシビレの訴えは消失しました。

 

【コメント】西洋医学一辺倒の時は、シビレはビタミン剤が中心で効くのか効かないのかわからないような状態で、逃げる意識が強かったのですが、東洋医学ではアプローチできます。『水毒』の概念から抜け出さず、迷ったあげくの四逆散ベースがヒットし2日目よりシビレの訴えは消失しました。患者様はビックリ、「漢方はこんなに早く効くのですか?」と。水毒のシビレは、床上浸水理論で床下へ水がひくイメージで、時間はもう少しかかり、シビレの範囲も徐々に下がり最終的に指先だけになりますと説明。ストレスのシビレは初体験と話し、『漢方は凄い』と二人で話し合いました。ストレスでシビレが起こることを教えて貰いました。その後は経過良好で廃薬。先入観念で物事をみてはいけない。経過が典型例と異なる時は、戦法を変えることの重要性を思い知らされました。この症例は早く気付いてあげれば、不愉快な症状からもっと早く解放されたかもしれません。反省させられた症例です。

 

 

≪症例7≫○.◆.;13歳、女性

C.C.;右手がシビレて、鉛筆がもてない。
P.I.  ;○月2日朝より右肩に少し痛みがあったが、登校。徐々に右手にシビレが生じ、鉛筆が持てなくなり、午後早退して受診。半分泣きそうな顔。

 

治療&経過;右手に八邪をし、棒灸をしました。針は初めてで恐そうでしたが、刺入直後に右手指のグーパーを指示すると、違和感が変化したみたいで、顔がほころび、『違う』と一言。15分後鉛筆を持ち、字が書けました。顔はニコリとしていました。

 

 

【コメント】やはり、鍼治療は超速効です。いつも経験する度に、感動します。東洋医学の解釈では、この方は前日の入浴後のアイルクリームが災いして、朝右肩が痛み、
その日の昼食の牛乳で更に冷えて肩の痛みが増強し、水毒としてのシビレも出現し鉛筆が持てなくなったと考えます。治療は針で気・血・水を動かし、お灸で温め、冷えを散らすとなります。わずか15分で症状軽減です。比較的新しいシビレは、この症例の様に簡単にとれます。固定化したシビレ特に下肢のシビレは、水を腎臓・膀胱まであげないと排泄できませんから時間がかかります。西洋医学一辺倒の時は、シビレは解決できない問題で嫌でしたが、解決できると好きになります。本当に人間とはご都合主義とつくづく思います。

 

 

≪症例8≫N.J. ;63歳、女性

C.C.;左足のシビレと痛み
P.I.  ;2年前、自分がドナーとして肝臓を夫に移植。しかし甲斐なく夫が亡くなり、その後2ヵ月して左足のシビレと痛みが出現。治療しているが、芳しくないと受診される。左足は冷えて仕方がない。ホッカロや湯たんぽを使っているけれども温もらない。漢方や針でどうにかなりますかと依頼あり。

 

治療&経過;初診時、裏寒、腎虚として温裏剤と牛車腎気丸を投与し、鍼治療施行するも、経過が何時もと違い、鍼治療でかえって疼痛が増強するとの訴えあり。ご主人の事を聞くと涙ぐみ、すぐに頭に浮かぶとの返事あり。ストレスかもしれませんよと説明し、処方変更。四逆散と五積散を投与。1週間後、漢方を変えてもらってから、漢方薬は甘く、飲むと足が温もってくるのがわかったとの事。3日目から全然違ってきた。腰のヘルニアが原因と思っていたのに、こんな事もあるんですねとビックリされるや痛みが軽減して嬉しいやらでした。

 

【コメント】整形外科では、痛みの原因をすぐに品質的変化に求めようとして、画像診断を優先しがちです。そして痛みに対しては“止める”が原則で薬を使います。それでうまくいけば問題なしです。が、本例の様に、ストレスをとる漢方で痛みが軽減すれば、器質的変化は、本当に痛みの原因なのか迷ってしまいます。東洋医学では『冷えると痛む』『通じないと痛む』が原則で、ストレスは『冷え』に働きますから、理解し納得できるのですがーーーー。

 

 

≪症例9≫N.T. ;38歳、女性

C.C.;眠れない、右手がシビレ、右腕が詰まっている。
P.I.  ;5年前の交通事故後、眠れない。右手がシビレ、右腕全体が詰まっている。特に右手首付近の詰まり感はひどい。時々足もシビレる。頭痛もある。自律神経失調症と言われて薬を飲んでいるがよくならない。針と漢方でどうにかなるかもしれないと友人に薦められて受診す。

 

治療&経過;陰性食品を制限。鍼治療は四関穴・三気海で調気。頸背部の凝りに置針。
不眠症の針;四神聡、印堂、頭維、内関、足三里、三陰交に置針。右手に井穴刺絡しドス黒い血液を2~3滴絞り出す。直後に「右手の感じが違う。詰まりは軽くなり、シビレはない」と一言あり。

 

【コメント】
東洋医学の世界では、『不通即痛』(通じざれば即ち痛む)という病理感があります。
人の体のどこかに“瘀血”が生じると、末梢血液循環障害を起こし、それが痛み他の不具合の原因となり、鍼灸治療で“通じさせる”と痛み等の症状は軽快します。此の症例でも、手指先端の井穴に刺絡し、ドス黒い血液を2~3滴絞り出した直後に経絡が通じた証拠として「右手の感じが違う。詰まりが軽くなり、シビレはない」と一言あり。速効です。又、経絡は目に見えませんが、症状が軽くなった事より
『不通即痛』は本当で、鍼灸で簡単に“通じさせる”ことが出来ると結論づけたいと考えます。東洋医学の此の治療法は知らないと損をすると思います。

 

 

≪症例10≫S.T. ;54歳、女性

C.C.;両手のシビレ&疼痛
P.I.  ;3~4年前より両手のシビレ&疼痛が出現し、精査し頸部脊柱管狭窄症と診断された。薬物療法やペインクリニックで治療を受けたが、スッキリせず、黒川式の脊柱管拡大術を受けた。それでも、シビレ&疼痛はとれない。友人から漢方や鍼治療でどうにかなるかもしれないと薦められて受診。

 

治療&経過;シビレは西洋医学では神経がらみの症状、東洋医学では水毒と説明し、陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気後、頸背部の凝りに置針。右手のみに八邪と肘部の硬結に灸頭針、頸部の手術痕周囲にも灸頭針、天宗に吸玉。直後にシビレ&疼痛の感じが違うと一言あり。漢方薬は利水剤、駆瘀血剤、理気剤を投与。3週間後シビレは当初の3/10。遠方のため、時々受診されますが、其の度に針灸治療は施行。
自宅でも灸治療を薦める。シビレは雨天前と外食で水分とりすぎるとひどくなるのが分かってきたと。又「台風が九州の東ではシビレは軽く、西側にくるとシビレがひどくなるのがわかってきた」と最近言われました。

 

【コメント】
シビレは西洋医学では器質的病変による神経圧迫症状ですが、東洋医学では水毒。この方は、手術でとれなかったシビレ&疼痛が陰性食品制限と水毒に準じた針灸治療・漢方薬治療をして軽減しました。MRIの画像診断名は頸部脊柱管狭窄症ですが、東洋医学ではこの方は水毒体質でした。西洋医学に水毒の概念がないからーーーー仕方がない。あまりにも可哀想。他に治る手段があれば、患者様はなんでもいいんですよ!

 

 

≪症例11≫○.◆. ;32歳、女性
C.C.;右上腕脇の異常知覚(ジンジンしてヒラヒラ)
P.I.  ;2ヵ月前から洋服があたると右上腕脇がジンジンヒラヒラするような感じがあり、検査するも異常なく、気になって仕方がない。異常もなく治療方法もわからず、ヒョットしたら漢方や鍼治療でどうにかなりますかと依頼あり。

 

治療&経過;右上腕の異常感覚という事で、水毒と考えて先ずアプローチ。漢方薬は利水剤の主方薏苡仁湯をベースに投与。鍼治療は調気後に八邪、肩に灸頭針、頸背部の凝りに置針し、天宗に刺絡後吸い玉施行。1週間後、あまりかわらない。ちょっと経過がおかしいかな?四逆散をベースにすると飲み始めて3日目より違和感が消失したと後日報告あり。水毒の概念先を捨て、経過がおかしかったら方針変更しないと失敗するよと教えられた症例です。というか水毒は末梢、中枢はストレス、日本漢方の胸脇苦満と同じと解釈しましょうと教えてくれた症例です。

 

【コメント】ストレスが原因のシビレは水毒の治療としての鍼治療に反応せず経過が典型例と比べて異なることから容易に鑑別がつきます。又、部位は手足の末梢であれば水は低い所へたまりますから、『間違いなく水毒』、左上腕や脇のシビレであればストレス、日本漢方の胸脇苦満の変形として、最初から四逆散をベースを投与すべきです。

 

 

≪症例12≫T.M. ;45歳、女性

C.C.;左上腕のシビレ
P.I.  ;3年位前より、毎日夕方4~5時くらいになると左上腕のシビレが起こってくる。複数の医療機関で検査したが原因はわからず治療法もないと言われた。又、自律神経失調症とも言われた。漢方薬局でサフランが良いと薦められて飲んでいるが全く変わらない。漢方と鍼治療でどうにかなりますかと依頼あり。

 

治療&経過;陰性食品を制限し、針治療は調気、頸背部の凝りに置針。漢方薬はこれまでに経験したシビレの症例の経過より、中枢側なので、迷わずに四逆散をベースを投与。後日来院、3日目には症状消失し不思議だと。3年間は何だったんだろう?と一言あり。

 

【コメント】私の経験した症例から、シビレの部位が末梢は水毒で、中枢はストレス(肝気鬱結)ではないかと仮説をたてました。その後のストレス(肝気鬱結)の第一例目です。予想に違わず、四逆散をベース投与して3日で症状消失しました。

 

 

≪症例13≫Y.I. ;67歳、女性
C.C.;抗癌剤注射中の手足のシビレ
P.I.  ;胃の痛みや全身のかゆみで時々鍼治療や漢方治療をされている方です。本年8月に肺癌が見つかり、11月から放射線治療と抗癌剤注射が始まりました。患者様が入院中も漢方薬を服用したいとの希望があり、主治医の先生のはからいで特別に服用出来るようになりました。

 

治療&経過;放射線治療と抗癌剤注射中は、気血両虚として人参養栄湯を中心に投与。ご主人によれば他の患者様に比べて比較的元気だったそうです。抗癌剤注射が始まると、手足のシビレが起こりました。点滴の回数が増えるとシビレも増悪する傾向があるとの事で、手足を少し挙上するのと、点滴前に五苓散の服用を指示。後日ご主人より報告有り、シビレは生じなかったとの由。

 

【コメント】抗癌剤注射中の手足のシビレに漢方薬を使ったのは、主治医の先生の了解の元、本例が初めてです。水毒に準じての指導だけでかなりシビレは軽減し、利水剤の五苓散を使用することによってシビレは生じませんでした。シビレは抗癌剤の副作用ではなく、水毒の用です。水毒の概念とその治療法は、他の先生方が概念とその治療法を知り理解し、諸々の治療に応用すれば多大の恩恵のもたらす事が予想されます。又患者様にも、水毒の概念とその治療法を啓蒙すれば、多くの方が恩恵を被る事が予想されます。

 

 

≪症例14≫M.K. ;69歳、女性

C.C.;腰痛治療終了後ポツリと足底のシビレ(あきらめている)がーーー
P.I.  ;腰痛治療は、陰性食品の制限と鍼灸治療と漢方治療で数ヵ月で目処がたったころ、10年前から糖尿病があり、治療している。が、5年前から足底のシビレがあり、主治医からは糖尿病性末梢神経障害のシビレは、「治らない」と言われ諦めているが、不愉快で仕方が無い。ヒョットしたらと思い、治療できますかと依頼あり。

 

治療&経過;足の裏の症状は、当院では鍼治療と吸い玉でかなりの確立で症状が軽減消失することを説明。是非治療してみたいとの事で治療がはじまりました。『陰から陽を引く』を応用し、足底は少陰腎経なので、湧泉に灸頭鍼をして、背部の腎愈に刺絡後吸い玉施行。歩いてもらうと、何か違うとの弁あり。次回受診時には、明らかに軽くなっているとの由。4回の治療にて、ほぼ消失。

 

【コメント】西洋医学一辺倒の時は、足の裏の症状はいくら訴えられても、笑いを取ってゴマカシ、積極的に加療しようと思っても出来ないし、加療しようとも思いもしませんでした。ところが、鍼灸治療を始めると、疼痛疾患は面白いように痛みがとれます。そして、この湧泉腎愈の組み合わせを始めると、足の裏の症状が訴えの種類(真綿、ジャリをふむシビレほか)に関係なく面白いようにとれます。不思議な世界です。

 

 

≪症例15≫○.△. ;81歳、男性

C.C.;脳梗塞後遺症ー左手足がぎこちなく、しびれもある。
P.I.  ;8ヵ月前、脳梗塞の診断を受け、治療した。今も手足がぎこちなく、しびれもあるので、2/週でリハビリをしているいが、一向によくならない。後輩からも鍼灸治療を勧められて受診。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼灸治療は、丹田に棒灸をし、左手足には八邪・八風をして、経絡上にカマヤミニ灸を施行。運動してもらうと、「動きがスムースになってきた」との弁あり。漢方薬は疎経活血湯を投与し、OTCの補陽還五湯を勧める。2回目の治療後、リハビリの先生から急によくなったと言われたとの由。3回目の治療後、それまでは、車の運転は家内か息子嫁にしてもらっていたのが、自分で自宅の庭で運転してみたらできたので、車で来たとの事。シビレはほぼ消失し、日常生活にもあまり困らなくなったが、毎日朝10時ごろシビレるのが気になるとのこと。お茶か何か飲んでいないかを尋ねると朝8時に仏壇拝む際に茶を一口飲むとのことで、それを中止するように指示。その後、毎日朝10時ごろシビレは消失。確認のため朝10時を止めて午後1時に茶を一口飲んでもらうと2時間後くらいにシビレが出現しました。本人はビックリかつ、『お茶でシビレが起こるとは、生まれてこのかた81年間知らなかった』と言われました。

 

【コメント】脳梗塞後遺症のシビレの症例です。脳梗塞や脳出血にも鍼治療は非常に効果的だと、先輩の教えにもありますし、以前からそう考えていましたが、治療できるチャンスがありませんでした。今回待ちに待ったチャンスに恵まれ、予想したような結果で即効で効果を発揮しました。経絡不通で、『通じさせる』が治療のポイントです。また、シビレはやはり水毒でした。

 

 

≪症例16≫X.Y. ;38歳、女性

C.C.;右手のシビレ(夜間のみ)
P.I.  ;2~3年前から毎年10、11月より3月頃まで、夜になると右手がシビレてくるようになった。寒いと余計に酷くなる。複数の医療機関で精査したが、MRI.CT等では特に異常はなく、薬をもらったが効かない。○年2月8日受診。

 

治療&経過;シビレは、西洋医学では神経がらみで末梢神経障害、東洋医学では水毒(水分の摂りすぎ)と説明するも半信半疑。詳しくは水毒について説明し、納得。また夜間や明け方の不具合は夕食や午後8時以降の陰性食品の影響をうけることを説明。鍼灸治療は希望されず。漢方薬は裏寒に附子理中湯、桂枝加朮附湯などを投与。1週間後受診。午後8時以降陰性食品を制限し、漢方薬を飲んで、2日目より『劇的にシビレはとれた』と、ビックリ嬉しそうに言われました。

 

【コメント】
此の症例のように、ある時間のみ症状出現する場合は、必ず原因となる事柄がありますから、それを突き止め教えて上げると、症状の軽減消失をみると思います。午後8時以降の冷水摂取を制限するだけでも、シビレはとれたかもしれません。

 

 

 

≪症例17≫N.R. ;45歳、女性

C.C.;右手のシビレ、寒くなると感覚がなくなってくる。
P.I.  ;15年位前から右手のシビレが出現。寒くなると感覚がなくなってくる。複数の医療機関でMRIなどの検査をしたが、特に異常は無く、首の治療や内服治療をしばらくしたが、全然変化なく今はなにもしていない。友人から、当院でシビレが簡単に治ったという話を聞き、△年2月10日受診。

 

治療&経過;シビレは東洋医学では、水分の摂りすぎが大きな原因と説明すると、水分は努めて摂っているとの由。水分制限を指示。裏寒ひどく丹田に棒灸施行。右手には八邪し、カマヤミニ灸施行。その後大椎にも棒灸施行。最後に右手井穴に刺絡施行。直後に手が軽くなり、動かしやすくなったと一言あり。漢方薬は裏寒に温裏薬、手の
シビレには利水剤を投与。2月の寒波襲来でも寒くなると感覚がなくなってくるという訴えが軽減し、シビレもほどんと起きずに、喜ばれました。

 

【コメント】症例17に続き右手のシビレです。右上半身のシビレ他の症状は、東洋医学では水毒のことが圧倒的に多く、その時は水分制限と利水剤の投与、並びに鍼灸治療を併用すると、比較的早期に症状の軽減をみます。西洋医学一辺倒の時には、症状と画像診断を結び付けがちでしたが、東洋医学のみでやってみると、画像診断上の器質的変化とはあまり関係ないようです。(私の独断と偏見と認知症が多々加味されていますが・・・・・・)
本例は、鍼治療直後に『手が軽くなった』と言われますが、日常生活では不具合はあっても重いとは感じていないかも?。処置して気血水が動いて始めて感じられるようです。これを実感された方には、『鍼灸治療で軽くなり、家に帰って重くする』と説明すると大いにうけます。

 

 

≪症例18≫ N.M ;67歳、女性

C.C.;しもやけと左手のシビレと左肩の夜間痛
P.I.  ;ここ数年毎年寒くなると手にしもやけができ、痛くてむくんで台所仕事が全くできない。軟膏を塗ったりしているが、変わらない。また2年前に手根管症候群で手術をしたが、シビレはとれないと言われた。諦めているがどうにかなるなら一緒に治療して欲しい。今回しもやけはひどくて、ジュクジュクでむくんで物をつかめないし、痛みも強いので、先にしもやけの治療をして欲しい。左肩が夜間痛みがひどくて寝れないこともあるので
それも治療してほしい。

 

治療&経過;しもやけもシビレも東洋医学では水毒(水分のとりすぎ)が関係しますと説明。陰性食品の制限を指示。原因は共に水なので、しもやけもシビレも同時に治療できますよと説明。治療方法は漢方薬にも鍼灸治療にもたくさんあること伝えるとホットしたようで・・・、治療開始。まず、裏寒に附子理中湯、しもやけに当帰四逆加茱萸生姜湯、桂枝茯苓を投与。しかし、粉薬が苦手とのことで中止。結局鍼灸のみで加療。鍼灸治療は丹田・大椎に棒灸施行。
指には火鍼や刺絡を施行。紫雲膏湿布を指示。指は3回の火鍼や刺絡でジュクジュクでむくむ状態はすっかり影を潜め、また痛みもひき物を握れ、台所仕事に支障がなく大喜びです。夜間痛は刺絡後吸い玉で毎日痛かったのが、痛くない日が出現するようになり、2週間ほどで痛まなくなりました。
シビレはしもやけの治療をいしている内に、指の中枢側よりシビレの範囲が末梢側へと狭くなり(床上浸水した水が床下へ引いて行くように)、指末端に限局した段階で最後の仕上げに火鍼を施行。
以後シビレは消失。主治医から『シビレはとれない』と言われたのにとれて不思議そうでした。

 

【コメント】指先のシビレは水毒の概念と鍼灸治療で、今回の諸々の症例では比較的簡単に消失してしまいます。そうなると、西洋医学では、シビレは末梢神経障害で、脊髄レベルでの病変がその主因とされていますが、疑問が残ります。また手根管症候群のシビレはその原因を横手根靭帯で正中神経を圧迫して起こるとされていますが、本当か?。本例では、手術で横手根靭帯は切離され、手根管の開放術が施行されています。そして残ったシビレに対して、水毒として鍼灸治療を行ったところシビレは消失しました。これは何を意味するか?シビレの本態は水毒であることを証明していると愚考します。東洋医学では、水が入り込みシビレを生じ、水の性質;寒擬で横手根靭帯が縮むとなり、横手根靭帯が縮んだことがシビレの直接原因ではないと考えます。西洋医学は人体の反応の結果をみて、それを原因として治療戦略を立てている。だからシビレはとれにくい症状となるのではないかと愚考しています。術後の症例でこの治療戦略でシビレが取れれば、水毒を説明できると、以前から考えていましたが、手術例は主治医以外を受診することが少なく、私にとっては、待ちに待った症例で、狙いどおり証明できたのではないかと思います。

 

 

≪症例19≫Y.S. ;32歳、男性

C.C.;左前腕尺側~第4・5指のシビレ
P.I.  ;平成28年5月に運動中転んで左前腕尺側を切った。近医で創縫合したが、傷は治ったもののややケロイド瘢痕状。創痕より末梢第4・5指の所までシビレ感が残存した。違和感が嫌で、主治医に相談したが、皮膚の知覚神経を切っているかもしれないので、治らないと言われた。放置。当院でシビレが治ると聞いて遠方より受診される。

 

治療&経過;シビレは東洋医学では水毒(水分の摂りすぎ)が圧倒的に多いことを説明し、神経がらみでも、経絡を使えば治療出来ることを説明。『治したい』との由で治療開始。陰性食品を教え、これを制限(お茶9杯、ビール3本)を指示。針灸治療は調気し丹田に棒灸。胸鎖骨乳突筋の圧痛強く横刺施行。左手には八邪、肘関節部に灸頭鍼。ケロイド瘢痕状範囲には刺経後吸い玉施行。左第4・5指にも井穴刺絡施行。頸背部の凝りに置針。大椎にも棒灸。その後、右下肢の条口→承山に透針して、遠位置針ー患部運動療法開始。途中で、シビレ・違和感が違って来たとの弁あり(5/10位との由)。漢方薬は、治打撲一法、桂枝茯苓丸、疎経活血湯などを投与。1週間後受診。前回治療後よりもさらにかなり良い。同じ治療をして治療直後にはほとんど良いとの由にて治癒。

 

【コメント】外傷後の知覚障害の例は本例が初めてです。が、他の症例と同様のアプローチで加療し、治療直後に症状の軽減をみました。2回の治療で事なきを得ました。ポイントは、水毒は一番弱い所に出現する及び経絡不通を『通じさせよう』です。

 

 

≪症例20≫O.Y ;55歳、女性

C.C.;右手のしびれと痛み、左環指のシビレ
P.I.  ;半年位前から右手のしびれと痛み、左環指のシビレが出現。近医で手根管症候群と言われ、手術を勧められた。手術はしたくないし、以前当院でシビレが鍼治療で簡単にとれたのを思い出し受診。ホットフラッシュの漢方薬を飲んでいるので鍼治療だけをしたい。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。丹田に棒灸、手指に八邪、肘関節に灸頭鍼。大椎に棒灸後、手指に井穴刺絡。ホットフラッシュが強くて、受診の間が空いたが、右手は中指のシビレは指の付け根から第一関節までと範囲が狭くなった。左手環指も範囲が狭くなり、第一関節の尺側のみとなった。同様に、八邪等施行し、手指に井穴刺絡施行。指末端になったところで、仕上げに火鍼施行し、シビレ消失。

 

【コメント】手根管症候群の方ですが、水毒として加療し、床上浸水理論どうり指の中枢側より末梢へとシビレの範囲が狭くなり、仕上げに火鍼をしてシビレの消失をみました。シビレは圧倒的に水毒が多いと思います。水毒だから、手根管症候群として横手根靭帯の解放術をしてもシビレが残ると愚考します。

◆シビレの症例サマリー

 

部位

西洋医学診断

東洋医学診断

治療経過

1、右手指→上肢

水毒

上肢→手指尖で火針で消失

2、右手拇指

頚椎症

水毒

拇指尖のmで井穴刺絡で消失

3、両足

腰部脊柱管狭窄症

水毒

足→拇指尖のみで井穴刺絡で消失

4、足(夜間のみ)

自律神経失調症

水毒

当日には消失

5、手足

抗癌剤の副作用

水毒

6回の治療で消失

6、左上肢

交通事故

(水毒→)肝気鬱結

肝気鬱結で2日で消失

7、右肩→右手

急性発症 ?

水毒?冷え?

灸治療15分で消失

8、左下肢

座骨神経痛

(腎虚→)肝気鬱結 

肝気鬱結で3日で消失

9、右手

5年前交通事故後の自律神経失調症

瘀血、経絡不通

井穴刺絡→直後に軽減消失

10、両手

頸部脊柱管狭窄症術後

瘀血、気滞、水毒

漢方薬と鍼灸治療で軽減

11、右上腕脇

検査で異常なし

(水毒→)肝気鬱結

肝気鬱結で3日で消失

12、左上腕

自律神経失調症

肝気鬱結

肝気鬱結で3日で消失

13、手足

抗癌剤の副作用

水毒

五苓散服用でシビレ生じない

14、足底

糖尿病性末梢神経障害

水毒

灸頭針+吸い玉で消失

15、左手足

脳梗塞後遺症

水毒、経絡不通

灸治療で速攻

16、右手(夜間のみ)

検査で異常なし

水毒

2日目から消失

17、右手

頚椎症?

水毒

灸+井穴刺絡で軽減消失

18、左手

手根管症候群術後

水毒

鍼灸治療+井穴刺絡で軽減消失

19、左前腕~4·5指

切創後遺症

瘀血、水毒、

経絡不通

鍼灸治療+遠位置針-患部運動療法で軽減消失

20、右手と左環指

手根管症候群

水毒

鍼灸治療+井穴刺絡で軽減消失

 

 

※※シビレの症例から分かる2~3の事柄

 ①水毒のシビレ

  ・圧倒的に多く、手足の末梢に生じる。

  ・鍼治療で速やかにシビレは軽減・消失する。

  ・床上浸水理論でシビレは広がり、治っていくのは床下へ水が引く感じで治る。

 

 ②ストレス(肝気鬱結)

  ・上腕内側、脇など中枢側に生じる。

  ・鍼治療に反応しいくい、或いは経過がおかしい。

  ・四逆散をベースに漢方薬処方;3日以内に効果あり。

 

 ③経絡不通

  ・鍼灸治療にて早期に改善消失。

 

◆西洋医学の病名

 自律神経失調症、腰部椎間板ヘルニア、抗癌剤の副作用、頸部脊柱管狭窄症、

 頸椎性神経根症、腰部脊柱管狭窄症、 手根管症候群(術後)、脳梗塞後遺症

 知覚神経損傷、糖尿病性末梢神経障害ーーーなど。

49.帯状疱疹&帯状疱疹後神経痛へのアプローチ

 

帯状疱疹&帯状疱疹後神経痛へのアプローチ

 

 -それからわかった2~3の事柄-

 

 

第4部 東洋医学ひぐちクリニック

樋口 理

 

私は、50歳までは西洋医学一辺倒の整形外科医で、皮膚科疾患の治療などとは全く無縁でした。

東洋医学の世界に身を置いていると、それまでとは違った疾患(守備範囲が広くなった?)に遭遇するようになりました。其の中の一つに帯状疱疹があります。従って西洋医学の皮膚科のルーチンな治療方法は知らないし、常識が邪魔しないのでどんな治療方法でも躊躇なしにできると愚考します。 

 帯状疱疹は、西洋医学では免疫能が低下した際に生じる疾患とされ、治療方法は抗ウイルス剤中心です。一方東洋医学では、『湿熱』『熱毒』『水毒』(私の独断と偏見が加味されていますが)とタイプ分けし、ウイルスの力を借りて余分な水を皮膚表面から排泄しようとする治癒反応と考えます。治療方法は、清熱剤、去湿剤、利水剤或いはそれらの組み合わせとなります。

更に、経絡を使っても治療できます。西洋医学の常識とはどうかすると全く反対の考え方(西洋医学はウイルスが悪いですが、東洋医学ではウイルスは味方)です。

この治癒反応の観点から、鍼治療や灸治療を施行した帯状疱疹の新鮮例や帯状疱疹後、神経痛へのアプローチの症例がだいぶたまり、治療を経験された方々が口々に経過が早くも痛みも早くとれると言われますので、症例を報告いたします。(疼痛は鍼治療直後に軽減消失し、水疱は3日で枯れます)

 ただし、私自身が西洋医学の抗ウイルス剤や鎮痛剤を使用した経験は全くありませんので、その治療経験を私の中で比較することは出来ません。患者様が、西洋医学と東洋医学の治療方法を両方経験され、その結果を比較されたものです。悪しからずご了承下さい。しかし、その中に本当の真実があるものと考えています。

 

 

 

(症例1)中◎枝◎、68歳、女性

 

C.C.  ;右背部の水疱と痛み

 

P.I.    ;27.5.7. 朝右背部の水疱と痛みに気付く。以前帯状疱疹にかかったことがあるので、すぐにピーンときた。以前は痛みがひかず、約2ヵ月かかったので、

ーーー。漢方と鍼灸でも治療ができると知っていたので、5.7.受診。

 

 

治療&経過;右背部肩甲骨の下部に水疱形成巣(+)右脇にかけても幾つかある。発赤も軽度ある。水疱形成巣の周囲に皮内鍼を放射状に刺入。肋間より位置を確認して、それぞれの夾脊穴(棘突起の下で両側に0.5寸)に灸頭鍼を施行。同時に刺絡後吸い玉施行。漢方薬は葛根湯加朮附湯、五苓散を投与。翌日痛みはほとんどない。同じ治療。

3日後水疱はほとんど枯れ、右肩を挙げると右脇が痛む。帯脈に鍼治療施行。挙上可となる。5.18.治癒。家族や友人から、漢方と鍼ではなく、皮膚科で点滴と痛み止めをのまないと良くならないと、苦言を沢山言われたそうです。が、治療経過をみて苦言を言われた方々は、全く治療法があるとは知らなかったと言われたそうです。そしてこの治療法は早くて良いと。

 

【コメント】私自身、帯状疱疹の西洋医学治療の経験は全くありませんが、鍼灸治療と漢方治療や刺絡後吸い玉施行を行うと、患者様は口々に痛みが無く、経過が早いと言われます。この方は帯状疱疹は2回目です。前回は2回/日の点滴注射をして、痛みはひかず夜も安眠できず、2週間ちょっとは非常に辛い思いをされ、約2ヵ月かかったそうです。

今回の治療では、痛みは鍼治療直後に軽減し、翌日には殆ど消失。3日後水疱は、ほとんど枯れ、5.18.治癒ですから、11日間の治療でした。経過もすこぶる早く短期間ですんでいます。帯状疱疹で悩み困っている方々は沢山おられえると考えます。この治療法が普及すれば、多くの方々が早期に多大の恩恵を被ると思われます。治療法が一つしかなく、他に選択肢がないというのは、片手落ちです。治れば治療法はなんでもよいと思われます。

 

 

 

(症例2)Y.Y.,15歳,女性

 

C.C.;左肩の水疱と痛み、ヒラヒラ感

P.I. ;平成27年7月30日左肩の水疱と痛み、ヒラヒラ感が出現。母親が見て、祖母の帯状疱疹の経験からピーンときて、診断。当院でも帯状疱疹の治療ができて経過がすこぶる早く良いと知っていたので、7.30.受診。左肩に水疱形成二ヵ所、

前胸部に一ヵ所あり。発赤(+)

治療&経過;左肩に水疱形成2ヵ所、前胸部に1ヵ所あり。皮内鍼を放射状に刺入。直後に痛み、ヒラヒラ感は消失。漢方薬は葛根湯加朮附湯、五苓散を投与。翌日まだ発赤残存。8月4日から旅行の予定(ワンダーフォーゲル部で屋久島登山、リュックを背負う)があるとの由。

発赤は余分な水を飛ばすために治癒反応として、自分でアイロンをかけていると説明し、水疱形成の周囲にカマヤミニ灸を施行。すると変な違和感がとれて良いとの事。

2回/日カマヤミニ灸を施行。8.3.水疱はやや枯れ、発赤は茶色となり、症状は軽減。8.4.早朝に旅行へ行かれました。8.5.メールで調子よい。(リュックを背負っても痛くないとメール有り。)痛みも違和感も無く、水疱は枯れている。8.7.帰省。8.10.受診。旅行中は、どうもなかった。水疱は枯れ、どうもない。皮内鍼を抜き治癒。

 

 

【コメント】(症例1)に続き、帯状疱疹の新鮮例です。陰極まれば陽となる。東洋医学の立場からは、人体は余分な水で冷やされるのを嫌がるので、ウイルスの力を借りて、余分な水を飛ばそうとする治癒反応です。半生乾きの衣類にアイロンをかけると乾きます。 

 この意味でお灸をしました。そうすると、治癒反応が促進され、水疱は枯れ、赤みもとれ、旅行にも行けました。この間5日です。

祖母の方の帯状疱疹の経過を聞くと、3週間はうずいて苦痛顔貌が続き、夜間も疼痛のため悩まされ、約6ヵ月かかったそうです。『冷えると痛む』が真実で、治療法は『温める』です。西洋医学には、『痛みは止める』で温める治療方法がありません。

従って、此祖母の例のように長引く症例があると思われます。『温める』でいけば、本当に速効です。

 

 

 

 

(症例3)内◎政◎、32歳、男性

 

C.C. ;口の周りのヘルペス

P.I.  ;数年前から、時々口の周りにヘルペスができるようになった。今回も2日前からできて、ピリピリするような違和感がある。母親が鍼と漢方で早く治ったので薦められて受診。

治療&経過;皮膚から盛り上がる水疱は余分な水を排泄する現象と説明し、陰性食品の制限を指示。経過は母親からも聞かされていたが、鍼と漢方で3日で枯れる方が圧倒的に多いと説明。ヘルペス周囲に皮内鍼を放射状に刺入、直後に違和感は消失。漢方薬は五苓散を投与。3日後受診、水疱は枯れ、どうもない。以前の治療経過とは、全然違うと言われました。さらに2日分処方し、治癒。

【コメント】口の周りのヘルペスは、もう10例以上と思います。皮内鍼を放射状に刺入すると、直後には違和感は消失。漢方薬は五苓散を投与。全例皮内鍼を放射状に刺入、直後に疼痛や違和感は軽減消失し、3日で水疱は枯れます。再現性は100%、期間は短期間で済みます。

 

 

 

 

(症例4)◎野◎ツ、70歳、女性

 

C.C.;左肩背部のウズク激痛で夜間不眠

P.I. ;7月6日頃から左肩が挙がらなくなったが、放置。昨日夜から急に背部のウズク激痛で夜も寝れなくなった。8月5日受診。治療&経過;左背部を診ると、水疱形成(+)、発赤(+)。陰性食品(緑茶9杯、水8杯、バナナ)を制限。帯状疱疹と考え、経絡に沿ってカマヤミニ灸を施行。刺絡後吸い玉施行。漢方薬は疼痛強く、二朮湯に疎経活血湯を合方し桃該承気湯を少量加味。8月7日肩のウズキは取れ、寝れるから大助かりと。

【コメント】治癒反応を助長するために、経絡に沿ってカマヤミニ灸を施行。刺絡後吸い玉施行。漢方薬は、二朮湯に疎経活血湯を合方し桃該承気湯を少量加味。東洋医学では、帯状疱疹はウイルスの力を借りて余分な水を皮膚表面から排泄しようとする治癒反応と考えます。

西洋医学の常識とはどうかすると全く反対の考え方ですが、この治癒反応の観点から帯状疱疹の新鮮例や帯状疱疹後神経痛へのアプローチの症例がかなり溜まり、全例に早期に疼痛軽減と短期に治癒をみています。水疱の中にいるウイルスを原因とみるか結果とみるか?。

人体の治療反応の結果としての観点から治療すると経過が早いので、原因とみて治療戦略をたてている西洋医学はヒョットすると間違った方向に向いているのではないかと、帯状疱疹の治療を経験するたびに、愚考しています。

 

 

 

 

(症例5)入◎カ◎ミ、78歳、女性

 

C.C.;左肩の帯状疱疹後神経痛

P.I. ;1年前左肩の前後に帯状疱疹出現。皮膚科で点滴をして、治療をしたが、今なお痛みが続いている。雨の前にはうずくし、刺すような痛みがある。朝起きるときはビリビリ・ジカジカする。夕方歩くときもビリビリする。治療しているが全然よくならない。漢方薬や鍼灸治療でどうにかなりますかと平成27年6月13日受診。

治療&経過;帯状疱疹は東洋医学の立場では、『水毒』と説明。皮膚から盛り上がる余分な水をウイルスの力を借りて排泄する治療反応と更に説明。湿度の上がる雨前に痛むのは『水毒。』

陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気し、左肩背部に置鍼、カマヤミニ灸、吸玉施行。漢方薬は裏寒に附子理中湯、帯状疱疹後神経痛に対して葛根加朮附湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁を投与。

 

4日後、刺すような痛みは我慢しやすくなった。自宅でも、お灸を指導。約一ヵ月半後、当初の2/10位、かなり良い。こんな治療があるなんて、思いもしなかった。

 

【コメント】(症例1)、(症例2)、(症例3)は、帯状疱疹の新鮮例で共に、皮内鍼やお灸や灸頭鍼で熱を入れ、 早期に疼痛は軽減し水疱は枯れ、治癒をみました。3例共西洋医学の治療経過と比べて、明らかに疼痛は早く消失し、早期に治癒に至っています。此の治療法の根本概念は『水毒』。それに対する熱で、アイロンをかけるの意味です。これで、非常に早い経過を示しました。そして、帯状疱疹後神経痛に対しても、同じ戦略でお灸で熱を入れてきました。(症例5)もお灸で熱を入れることにより、水が飛ばされ、経絡が通じて約一ヵ月半後、当初の2/10位、かなり良い。こんな治療法があるなんて、思いもしなかった。と西洋医学の治療経過と比較されています。患者様が経験されて言われる事が事実、trueと私は思います。帯状疱疹の本態は『水毒』。そして患者様にとっては、西洋医学、東洋医学とその名前は関係なく、早く治れば何でも有り。何にも拘る必要なし。

 

 

 

 

(症例6)松◎ユ◎子、72歳、女

C.C.; 肛門周囲~左太腿後面の帯状疱疹にかかり、皮膚科で治療した。その後、梅雨どきなど湿気の多い時期に、よく再発する。痛み止めでは良くならないので、ーーーー。知人より漢方と針灸治療を薦められて平成27.7.3受診。

今年の梅雨も再発し、痛みのため仰向けに寝れない。自転車やバイクに乗れない。

朝起き始めがよくない。

 

 

治療&経過 ; 東洋医学では、湿気の多い時期に悪くなる疾病は、『水毒』と説明。 陰性食品の制限を指示。鍼治療よりも灸治療の方がより良いと説明し、 患部を中心にカマヤミニ灸を施行。最初は熱く感じませんでしたが、其のうち 熱く感じるようになり、火鍼や吸玉も施行。漢方薬は、裏寒に附子理中湯、 帯状疱疹後神経痛に対して牛車腎気丸、桂枝茯苓丸加薏苡仁、駆瘀血を パワーアップするために、大黄牡丹皮湯や通導散を加味。すると、朝の症状が和らぎ、今年は台風が多く湿度も高いことが多かったわりには、楽で7月中旬には、自転車にも乗れるようになり、次いでバイクにも乗れるようになりました。7月末で当初の3/10。日常生活上の支障はかなり減っています。此の方も、こんな 治療法が有るとは夢にも思わなかった。ーーーと言われました。

 

 

【コメント】(症例5)に続き、帯状疱疹後神経痛に対しても、『水毒』として同じ戦略でお灸で熱を

入れていきました。10日程で症状はかなり軽減し、痛くて乗れなかった自転車にも乗れるようになり、湿度の高い日が続くわりには、症状は悪化せずに改善しました。痛み止めの治療とは全然違うとハッキリ言われました。東洋医学では『冷えると痛む』が真実で、治療法は『温める』です。お灸で温め、水を飛ばしたのが効果的でした。

 

 

 

 

(症例7)17歳、女

 

C.C. ;左顔面の水疱形成と痛み

P.I.  ;○月29日左顔面の水疱形成と痛みが生じ、近医受診。帯状疱疹の診断を受ける。鎮痛剤などを服用しても、痛みが止まらず夜間不眠が3日続くため、○月31日当院受診。苦痛様顔貌で左顔面頬部から耳にかけて水疱形成、発赤、滲出液あり。

 

治療&経過;左顔面の帯状疱疹は、経絡では陽明経と少陽経なので手足の陽明経と少陽経の栄穴に置鍼。手では少し良いかな、足に鍼を刺した瞬間『全然違う』と一言あり。15分後、疼痛はほぼ軽減。苦痛様顔貌の中に笑いが出ていました。漢方薬は左なので肝火・湿熱で竜胆瀉肝湯と五苓散を投与。4日後、母親受診。鍼治療当日(○月31日)は夜熟睡出来たよし。水疱は枯れているとのことで、柴胡清肝湯を投与。1週間後治癒。

 

【コメント】鍼治療を手・足と遠位にしたにも関わらず、著効を示した症例です。西洋医学での帯状疱疹治療は経験ありませんので、わかりませんが、耳鼻科の主治医からは、最低1~2ヵ月かかると言われたそうです。この症例を含めて、鍼治療や漢方治療でいくと、早いのではないかと愚考しています。

 

 

 

 

(症例8)73歳、女性

 

C.C.;右背部の帯状疱疹後神経痛

P.I.;5年前帯状疱疹になり、皮膚科で治療したが、右背部の帯状疱疹後神経痛になり、夜間痛がひどく不眠のため、麻酔科でブロックを6回、リリカなどの痛み止めを服用しているが、それでも痛みがひかない。諦めていたが、息子が漢方薬や針灸治療でどうにかなるかもしれないと平成27年12月12日受診。

 

鍼灸や漢方治療は一度もしたことが無いですがーーとの由でした。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気し、胸鎖乳突筋の圧痛強く横刺施行。頸背部の凝りに置鍼。患部は夾脊に灸頭鍼、吸い玉を施行。漢方薬は裏寒に附子理中湯、葛根加朮附湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁湯、十全大補湯などを投与。2週間後、奥の方のウズク痛みは取れて、夜中にいつも2回は痛みのために眼が覚めていたのがなくなった。

6時間は寝れている。時々痛みがある。一ヵ半後、当初の5/10以下。時々表面がチカチカ、ジカジカする。3ヵ月後、疼痛の範囲が10cm×10cmと狭くなり、当初の1/10となり、非常に楽になりましたと一言あり。

 

【コメント】帯状疱疹後神経痛の方で、麻酔科でブロックをしてもリリカなどの鎮痛剤を服用しても痛みがとれないため、諦め途方に暮れてありました。治療方法を東洋医学に変えられ、陰性食品の制限をして、漢方薬や鍼灸治療で、『温め・水をさばく』治療をすると、西洋医学の治療ではとれなくて、夜中に眼を覚ますような痛みが生じなくなりました。

不思議な経過です。患者様は、『最初から或いは途中からでももっと早くこの東洋医学の治療をすればよかった』と言われました。このような症例を経験するたびに、治療方法は一つではなくて、幾つも知っておくと、医者も患者も救われると思いました。

 

 

 

 

(症例9)68歳、男性

 

C.C.;左顔面~左頸部・前胸部の帯状疱疹

P.I. ;名古屋に住んでいるが、同窓会で八女市へ帰って来た。2日前より左顔面・頸部・前胸部に水疱が出来始め疼痛もある。以前帯状疱疹にかかったことがあるので、ピンときた。漢方薬で治療できますかと依頼あり。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。発症状況より熱毒・湿熱・水毒として温清飲、黄連解毒湯、竜胆瀉肝湯、五苓散などを投与。鍼治療は広範囲でもあり、希望されず。4日後受診。漢方薬を飲み始めて、痛みは消えた。水疱も枯れてきた。以前名古屋では、2回/日点滴をしても、痛みはひかずつらかった。何もかもで三ヵ月かかった。全然違うと一言あり。明日名古屋へ帰るのでとのことで、更に漢方薬を一週分処方す。

 

【コメント】この方は、2回目の帯状疱疹で鍼治療は希望されず、漢方薬だけで加療しました。点滴で治療した時よりも、痛みが早く引き、経過が全然違うと言われました。漢方薬でも結構いけることを証明してくれる症例だと愚考しています。最近腰痛症で加療中の方が、右前胸部~右背部左背部にも発赤と疼痛があり、加療しましたが、夜間痛がひどく入院されました。熱毒、湿熱、水毒の見極めが甘く、漢方薬の量が足りなかったかと反省しています。

 

 

◆症例のサマリー

 

症例

疼痛

前回治療経過

今回治療経過

特記事項

1

鍼治療で消失

2ヵ月

11日

2回目

2

鍼治療で消失

 

5日

 

3

鍼治療で消失

 

3日

 

4

灸、刺絡後吸い

 

3日

 

5

灸、吸玉

 

1ヵ月半で2/10

1年前発症

6

灸、吸玉

 

3/10

5年前発症

7

鍼で消失 

 

3日

主治医からは要1~2ヵ月

8

灸、吸い玉

 

1ヵ月半で5/10

3ヵ月で1/10範囲狭小

5年前発症、ブロック無効

9

漢方薬

3ヵ月

10日

2回目

 

 

◆◆結語ー症例からわかった2~3の事柄◆◆

1、帯状疱疹新鮮例

・鍼灸治療と漢方薬治療(利水剤ほか)で、水疱は3日ほどで枯れ、早期に治癒が可能である。

・疼痛は鍼治療直後に軽減消失する。

・『熱毒』『湿熱』『水毒』の単独例か混合例かの見極めが大事。

 

2、帯状疱疹後神経痛

・灸治療が奏功する。

・刺絡後吸い玉の併用は必須

・漢方薬駆瘀血剤などの使用がポイント。

 

3、患者さんの意見として(西洋医学の治療を経験した方の中に)

※『最初から或いは途中からでもこの治療をすれば良かった。』

※『こんな治療方法がある』なんて思いもしなかった。

※『こんな治療方法がある』なんて夢にも思わなかった。

 

4、抗ウイルス剤を使わずに、漢方薬や鍼灸治療でも対応できる症例もあり、別の治療方法として期待出来るかもしれない。

 

 

48.東洋医学治療の小経験 -眼針&頭針&耳針を網膜色色素変性症と脳出血後方麻痺へ応用-

 

東洋医学治療の小経験

 

-眼針&頭針&耳針

 を網膜色色素変性症と脳出血後片麻痺へ応用-

 

 

第4部会 東洋医学ひぐちクリニック

 

樋口 理

 

①眼針&②頭針&③耳針と言われても、ほとんどの方は全く御存知ないと思います。
又、その効果がどの位あるかなどは、ほとんどわからない領域で、使い方次第では、とてつもない破壊力をもっているなどとは想像もできないかと思います。
 私も西洋医学一辺倒の時代には、鍼治療なんかー効くはずがない!!とー頭から箸にも棒にもかからないーーー西洋医学よりはズーット下だと見下していましたが、東洋医学の世界に身を置き、諸々の経験をするに連れて、『目からウロコの世界』を何十回と経験し実感しました。

 

◆①先ずは、眼針の歴史・網膜色素変性症の出展などについて簡単に説明します。
 眼針には、数千年の歴史があると言われていますが、①≪針灸甲乙経≫(259年)に眼周囲の 晴明、攅竹などに針を刺し治療したという記載が一番古いようです。
 網膜色素変性症は、進行性の視力減退・視野縮小を伴う夜盲・網膜色素沈着・遺伝性などが特徴と されていますが、②≪太平聖恵方≫(992年)に進行性で視野狭窄を伴う夜盲を主とする “高風内障”として記載が最初のようです。今から1000年以上前から病気として存在していたことになります。また、様々な治療方法が生み出され、試され、人体実験を繰り返し、有効な治療方法のみが現在まで残り続けていると想像されます。③≪元機啓微≫(1370年)にも同様の記載があります。④≪秘伝眼科竜木論≫(宗・元?)には“高風雀目内障”と記されています。
 ⑤≪審視瑤函≫(1644年刊)にも“高風内障”として記載されています。

 

 

①≪針灸甲乙経≫(しんきゅうこうおつけい)

原名『皇帝三部針灸甲乙経』、略称『甲乙経』皇甫謐(こうほひつ)、259年頃撰。全10巻。
後に12巻、128編に改編された。本書は『素問』『針経』(『霊柩』の古名)
『明堂孔穴針灸知要』の三書を分類し再編したもの。主に臓腑経路・脈診理論・穴部位、
針灸法および禁忌・病因病理および各種疾病の諸候・針灸取穴などについて論述。
 中国で現存するものとしては、内容がほぼ完全に揃った最古の針灸著作であると同時に、
『黄帝内径』の古伝研究における重要文献。本書は古代の鍼灸療法を系統的にまとめて整理したもので、針灸学の発展の上で重要な推進力となった。
建国後、人民衛生出版社から校勘本が出版された。

 

 

②≪太平聖恵方≫(たいへいせいけいほう)

『聖恵方』とも。100巻。992年刊。北宋の翰林医官院の王懐隠らが広く収集した民間の効方を
もとに、北栄以前の各種の方書から関連する内容を集めてまとめたもの。巻1~2診法および
処方用薬方、巻3~7五臓諸病、巻8~14傷寒、巻15~59内科雑病(眼目・口歯・咽喉を含む)、
巻60~81婦人病、巻82~93小児病、巻94~95服食および丹薬、巻96~98食事療法および補益方、巻99針経十二系図、巻100明同灸経および小児灸経。収集された方剤は1万余首に上がり、古典医籍の佚分も収める。10世紀以前のものを総括した大型臨床方書で、歴史的価値のみならず、臨床研究の参考となる大きな価値をもつ。ただ本書は資料の選定が十分ではなく、迷信的な記述も含まれる。建国後に排印本がある。

 

 

③≪元機啓微≫(げんきけいび)

眼科の書。別名は『原機啓微』2巻。元の倪維徳(げい・いとく)撰、明の薛己(せつ・き)校注。
1370年初版。上巻は眼病の病院と治則の9論。下巻は方剤の配合に40余りの方と方義の説明を付す。
薛己は本書を『薛氏医案』に収録する際、自分の見聞と経験を付録1巻として加えた。
その内容には11論および70余りの付方が含まれる。建国後に排印本がある。

 

 

④≪秘伝眼科竜木論≫(ひでんがんかりゅうぼくろん)

『秘伝眼科竜木論』『眼科竜木論』とも。10巻。作者未詳。ほぼ宋・元の間に編集された。
肝~6は『竜木論』『眼論審的歌』を輯録。眼科総論のほか、72種の眼科の病証および治療方薬について記述。巻7は諸家秘要名方で、『三因方』などから38の眼科方剤を引用。巻8は針灸経。巻9~10は諸方弁論薬性で、眼科常用の針灸穴位、針灸法、薬性主治を関連する文献から輯録。建国後に排印本がある。

 

 

⑤≪審視遥堪≫(しんしようかん)

眼科の書。『眼科大全』『氏眼科審視遥堪』とも。6巻巻首1巻。明の傅仁宇(ふ・じんう)撰、
1644年刊。巻首は眼科名医の医案と五輪八廓および運気論を収録。巻1~2は眼科の生理および証治大要を論じる。巻3~6は眼科病を108症に分けて詳細に記述し、計300余りの方剤を収録。さらに金針撥内障および鉤・割・針・烙・用薬の宜忌、眼科針灸療法、点・洗・敷・吹といった眼科の外治療を紹介。内容は豊富。建国後に排印本がある。

 

 

◆眼針
眼白の部分を8区域に分け、13此の穴位があります。

 

1区(乾);肺・大腸・2区(坎);腎・膀胱、4区(震);
肝・胆、6区(离);心、小腸、7区(坤);脾・胃と五行の表裏に対応させています。
3区(良)は上焦、5区(巽)は中焦、8区(兌)は下焦としています。

 

 

◆眼針;科学出版社によると“網膜色素性症”を大きく3タイプに分けています。

①胃腸不足型;
症状;初発は夕方や暗いところで物が見えにくくなり、動作が困難となる。
その後、経過とともに視野が狭窄。全身や四肢の冷え。
腰膝のだるさ、陽萎、尿頻、舌談、脈沈。

取穴;眼針2区、3区、4区、6区、球後、承泣、四白、晴明、太陽など
配穴;脾兪穴、肝兪穴、足三里、関元など 置針;30~60分
漢方;温補腎陽、右帰丸(エキスでは八味丸で代用)

 

 

②肝腎陽虚型;
症状;目の乾燥感、頭暈耳鳴、心煩少寝、多夢遺精、舌紅少苔、脈細数

取穴;眼針2区、3区、4区、5区、球後、承泣、四白、晴明、太陽など
配穴;腎兪穴、肝兪穴、三院交穴など 置針;30~60分
漢方;滋養肝腎

 

 

③脾胃虚弱型;
症状;面白、精神疲労、食欲低下、舌淡苔白、脈弱
取穴;眼針4区、5区、7区、球後、承泣、四白、晴明、太陽など
配穴;脾兪穴、肝兪穴、足三里など 置針;30~60分

 

※※網膜色素変性症の診断がついても、患者様の体質によっ

  て治療方法がことなります。東洋医学は、体質へ向かう

  治療医学が専門と言えます。そして、そこに2000年以

  上続いている神髄が隠されています。

 

 

◆眼針;科学出版社の目次(臨床応用)の病名を下記に示します。
 

麦粒腫、眼瞼炎、眼瞼痙攣、上眼瞼下垂、慢性涙嚢炎、細菌性結膜炎、春季結膜炎、単純疱疹病毒性角膜炎、細菌性角膜炎、真菌性角膜炎、眼乾燥症、葡萄膜炎、白内障、硝子体混濁、青光眼、網膜動脈閉塞、中心性漿液性脈絡膜病変、網膜色素変性症、視神経萎縮、視神経炎、貧血性視神経病変、眼精疲労共同性斜視、麻痺性斜視、弱視、近視、遠視、 老眼、顔面神経麻痺など

 

◆②頭針;数千年の歴史があり、頭部にも沢山の穴位があります。1950年台以降に非常に研究が行われ、現在の頭針療法が確立したと言われています。大脳皮質の働きと皮膚の反射部位を精密に照らし合わせ、臨床効果が高まるように工夫されています。
頭部を4区;①額区、②1頂区(1)、②2頂区⑵、③頂区与顳区、④枕区に分け、治療上有用 な14頭部の4区と14本の治療標準線を決めています。
頭部の4区と14本の治療標準線、その効用・主治等を示します。

 

①額区
・額中線、効能;醒脳開竅
     主治;頭痛、頭暈、目赤腫痛、癲癇、精神失常、

        鼻病など

・額旁1線、効能;宣肺平喘、下痰止咳、寧心安神
      主治;胸痛、胸悶、心悸、哮喘、逆

 

・額旁2線、効能;健脾和胃、疏肝理気、
       主治;急慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、肝胆疾病

         等

・額旁3線、効能: 補腎固精、清利湿熱
       主治;機能性子宮出血、陰萎、遺精、子宮脱垂

          尿頻尿急等

 

②1額区⑴
・額中線、効能;疏経通絡、升陽利益、平肝熄風
     主治;腰腿足病症(不随、麻痺、疼痛)、多尿

        脱肛、小児夜尿、高血圧、頭頂痛

②2額区⑵
・頂顳前科線、効能;疏経通絡
       主治;上1/5-2対下肢麻痺、中2/5-上肢麻痺
           下2/5-対中枢性顔面麻痺、運動性

           失語、流涎、脳動脈硬化等

・頂顳後斜線、効能;疏経通絡
        主治;上1/5-対下肢感覚障害、

           中2/5-上肢感覚障害、

           下2/5-対顔面感覚障害

③頂区与顳区
・頂旁1線、効能;疏経通絡
       主治;頭痛、頭暈、腰腿病症(不随、麻痺、疼痛)
 
・額旁2線、効能;疏経通絡
        主治;頭痛、偏頭痛、眩暈、肩、腕、手病

        (不随、麻痺、疼痛)

・顳前線、 効能;疏経通絡
      主治;偏頭痛、運動性失語、顔面神経麻痺

        口腔疾病等

・顳前線、 効能;疏経通絡
      主治;偏頭痛、眩暈、耳顳、耳鳴り等

④枢区
・枕上正中線、効能;明目、健腰
          主治;眼病

・枕上旁線、効能;明目、白内障、近視等
          主治;視力障害、白内障、近視等
 
・枕下旁線、効能;疏経通絡、熄風
         主治;小脳疾病による平衡障害、後頭痛等

 

 

◆⑶耳針療法は、耳ツボダイエットでご存知の方もおられるかと思いますが、最古の医学書
『帝内経』には耳穴を使っての治療が30ヵ所以上記載されいるそうです。その後の歴代文献でも 耳穴診察に関する記載は多数あるそうです。
 例えば、『千金要方』にも、“耳後陽維穴ヲ艾灸シ、風聾雷鳴ヲ治療ス”とあり、『世医得効方』にも“ 赤眼—耳後紅筋挑ス”とあり、古代の医者は耳が疾病の診断治療に役立つと認識していたと想像されます。

 

 1950年台、耳穴治療法はヨーロッパで盛んになり、フランス人の医学博士Nogier氏が中国針灸を学び、耳穴の研究を6年間行ない、1957年世界で初めて胎児を逆さにしたような耳穴図譜を発表し、耳穴を42に拡大しました。さらにこの事は、中国語に翻訳され、更に発展しました。 現在では、耳穴は200余りに達し、1982年WHOは、耳穴の国際標準化を勧め、世界中の数十ヶ国で 治療のために臨床応用されています。(日本では、マスコミも医師会もこの事を取り上げていません。
世界の大きな潮流から40年は確実に遅れていると想像されます。)

 

※耳穴診療法(たにぐち書店)の目次疾病名を列記します。いかに沢山の病気治療に応用できるかが分かると思います。
1、内科疾病;風邪、咳、喘息、胃痛、消化機能失調症、吐き気、しゃっくり、下痢、便秘、胆嚢炎、胆石、虫垂炎、心痛、心悸、眩暈、頭痛、高血圧症、不眠症、腺疾患、消渇(糖尿病)

2、外科皮膚科疾患;頸椎症候群、肩凝り、寝違え、腹筋ストレイン、座骨神経痛、関節リウマチ、にきび、褐色班、蕁麻疹、アトピー皮膚炎。

3、産婦人科疾患;生理不順、生理痛、閉経、帯下、更年期症候群、機能性子宮出血

4、眼科耳鼻咽喉科疾患;麦粒腫、近視・遠視・弱視・乱視、耳鳴り・難聴、アレルギー性鼻炎、鼻血、歯痛、口内炎、咽喉炎

5、耳穴の特殊応用;肥満症、美顔、禁煙、酔い醒まし、疲労回復、乗り物酔い

 

 次いで、この眼針&頭針&耳針を網膜色素変性症と脳出血後左片麻痺へ応用例を最近経験しましたので、症例を提示いたします。普通の経過と比べてどうなのか?分かりませんがーーー。
 以前から眼針&頭針&耳針は日常臨床では毎日諸々の疾患に施工し、その威力には感激していました。ただ、眼科や脳血管障害例は施行のチャンスがなく、機会があれば試してみたいと思っていました。今回偶然にも立て続けに3例の症例に施行するチャンスに恵まれ、そこそこの経過と結果を出しそう或いは出していますので、報告いたします。

 

 

 

≪症例≫ 61歳、女性

 

C.C.;左半身不随

 

P.I.;平成28年2月19日、歩行中に突然の意識消失発作、構音障害、左上下肢麻痺。救急搬送され、CTにて右被殻出血。保存治療にて意識レベルは改善し、麻痺もBruustrom 3~4と改善。入院中で、本来なら他院受診はできませんが、特別の計らいで、3月30日当院初診。以後1/2週受診され、鍼治療を施行しました。

 

治療/経過;

3/30;初診時、車椅子受診。左上下肢は弛緩性麻痺の状態。十宣から刺絡施行。体針は、三針を肩、前腕、手関節、大腿、足関節に施行。耳針は神門・皮質下・皮質下・緑中・脳幹・肝・脾・腎、及び上下肢の各部に皮内針を置針。
漢方薬は疎経活血湯を投与。導引後に左下肢で起立され、一同ビックリ。

 
4/13;車椅子受診。左下肢の足関節の動きが出現。鍼治療は同じ。漢方薬は補中益気湯を追加。

 

4/27;車椅子受診。左上肢の指の屈曲伸展が出現。鍼治療は同じ。

 

5/11;車椅子受診。左下肢、病室では装具なしで歩行しているとの由。

 

5/25;車椅子受診。左下肢、肘の動き屈曲がかなり良い。

 

6/8;車椅子受診。歩行はほとんど問題なし。左上肢、肩は拳上が困難。漢方薬はOTCの補陽環五湯を併用開始。
 

6/22;1本松葉杖、左短下肢装具にて受診。左上肢、肩は拳上が約90度可能。

  
7/6;7/9に退院が決まったと報告。顔を洗うのに手がもう少しで届きそう。リハビリのスタッフからは経過が予想以上に早いとの事。自分より前に発症した人でも、まだ経過が遅いようだとーーー。

 

退院後は左上肢の可動域と筋力アップを目指して鍼治療などを予定。

 

◆◆脳出血後の新先例への鍼治療と漢方薬の経験です。初めてなので、経過が普通?早い?遅い?か全くわかりませんし、判断の仕様がありませんが、リハビリのスタッフからは早いと言われたそうです。

 

 

 

 

(症例2)65歳、女性

C.C.; 視力障害

 

P.I.; 2年前に白内障の手術をしたが、それでも物を落としたときに、探せないことがあり、白内障のせいだと思っていたが、ひどくなってきたので、相談したところ、詳しい検査で視野狭窄があり、網膜色素変性症と診断された。大学院を紹介されたが、治療法はないと言われた。3年前に当院で膝の鍼治療をしたときに、目の針をしていたのを思い出し受診される。

 

治療&経過;中学校高校で2回中耳炎の手術をしたが、未だに耳から液が流れ出ている。これも一緒に治療して欲しいというので、東洋医学ではと前置きして、西洋医学では食べたり飲んだりした物は、すべて大小便で排泄されると考えるがーーー、東洋医学では排泄されずに体内に残ると考えると説明するも、?半信半疑。人体を丸ごと一つとすると、大小便で出ていかなければ、他の空いた穴から排泄。即ち目・鼻・耳・口から、それでも駄目なら皮膚から排泄と考えると説明する。先ず、陰性食品(水お茶9杯/日)を制限。すると、耳からの液は減少し、洗浄に行かなくても、良いようになりました。目の方は、当初目周囲の四穴針を主に耳針を施行していましたが、反応今一つ。そこで、大阪の木本先生に教えを請い、頭針を更に6/28より併用しました。

 

6/28;大腿の肝経の三黄穴に置針し、四穴八針し、頭は側面の感覚領域と後頭部の枕区の枕上上正中線、枕上旁線、枕下旁線に置針施行。すると、帰りには信号待ちで、車が消えていたのが違ってきた。

 

7/2 ;鍼治療は同じ。視野欠損部の周囲が少し明るくなってきた。

 

7/11;鍼治療は同じ。信号待ちで、車がプツンときれていたのが、ボンヤリ見える。自分の指の動きが目の外眦10cmで分かっていたのが、20㎝離してもわかるようになってきた。

 

※※治療の途中ですが、4回の鍼治療で改善傾向が出ていますから、今後どうなるか経過が楽しみです。

 

 

 

 

(症例3)81歳、男性

C.C.;右手の不自由(脳梗塞後)

 

P.I. ;半年前に右手足に力が入らなくなり、動きにくくなり、脳梗塞と言われて治療をした。現在は2/週リハビリをしているが、パットしない。息子が針灸や漢方で膝の調子や体調がよくなったので、勧められて受診。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。東洋医学では麻痺は、『経路が通じていないから起こる』と説明し、『通じさせる治療』をしましょうと説明。漢方薬は疎経活血湯を中心」に投与。

 

初回;手足に八邪・八風し経路に沿ってカマヤミニ灸を施行。灸をしている間に手足の運動をするように指示。すると「動かしやすくなってきた」と一言あり。杖を使わなくても歩けそうと言われる。

 

2回目;同様の治療。リハビリの先生からも「急に良くなった」と言われたそうです。

 

3回目;同様の治療。

 

4回目;自分で車を運転して来られたので、皆ビックリ。車を降りてからは、杖を使わずに歩かれた。今までは、手足が不自由で思うように動かないので、外出はすべて息子か嫁の運転であったが、針と灸治療をしてから、体が軽くなり、動きも良いので、自宅の庭で試しに運転してみたら、出来たので車できたとのよし。

 

6ヶ月間のリハビリで今一つが、針灸治療3回でグーっと改善しました。

 

◆鍼灸治療の運動器疾患への応用の効果が、証明される症例だと愚行しています。

47. 東洋医学の世界から見た世界の潮流の現在

 

東洋医学の世界から見た世界の潮流の現在

 

 

第4部 東洋医学ひぐちクリニック

 

樋口 理

 

 

 東洋医学の世界に身を置いていると、日本医師やマスコミでは、全く言わないような情報を目にする機会に度々恵まれます。其の中で私にとって最大の情報は、世界の先進国では、『次の世代の医療は全世界で代替医療(オルターナティブ・メディスン)の全盛期になるだろう』と予測し、すでに行動を開始しています。という事実でした。ガーンと大きなハンマーで頭~全身をぶん殴られたような衝撃をうけました。日本は世界の潮流に乗り遅れているかもしれない??
すくなくとも2~30年から数10年か?

 

『ツボにはまろう』;長尾和治(元熊本市民病院院長)、『鍼灸の世界』;呉澤森(元WHO上海国際鍼灸養成センター教授)『もう大病院には頼らない』;代田文彦(東京女子医大学 東洋医学講座初代教授)などの本を参考に世界の潮流の現在をかい摘まんでーー大きな流れを列記してみると

 

1972年、WHOは、鍼灸を世界の伝統医学として正式に認めた。
1979年、WHOは、43疾患を鍼灸治療の適応と認めて発表(列記します)したのをきっかけに、アメリカ合衆国を始め、多くの国で鍼灸ブームが起こった。

 

 

WHOが承認した適応疾患リスト(43疾患)

 

 急性副鼻腔炎、急性鼻炎、普通の風邪、急性扁桃炎、急性

 気管支炎、気管支喘息、急性結膜炎、中心性網膜炎、近視

 (子供の)、白内障(合併症のないもの)、歯痛、偏頭痛

 、三叉神経痛、肋間神経痛、頸肩症候群、肩関節周囲炎、

 テニス肘、座骨神経痛、腰痛、変形性関節症、歯肉炎、

 性および慢性咽頭炎、食道および噴門部の痙攣、しゃっく

 り、胃下垂、急性および慢性胃炎、酸過多、急性十二指

 腸潰瘍(痛みの緩和)、急性十二指腸潰瘍(合併症がない

 もの)、急性および慢性大腸炎、急性細菌性赤痢、便秘、

 麻痺性イレウス、顔面筋麻痺(初期、6ヶ月以内のもの)

 、発作後の不全麻痺、末梢神経ニューロパシー、ポリオ後

 遺症(初期、6ヶ月以内のもの)、メニエール病、神経因

 性膀胱機能障害、夜間遺尿症など。

 

 

1980年代からアメリカ政府は鍼灸師の育成に力を注いでおり、現在は53州ほぼ全てで医師の鍼灸資格に関する法が整備され、数百時間の講習と実技を経験した医師には鍼灸資格が与えられ、様々な診療科で患者の希望により、ファーストチョイスとして鍼灸治療が提供されています。

また、鍼灸を保険支払いの対象とする州も多い。一方日本では、厚生省は漢方薬を健康保険からはずそうと画策しているが、アメリカでは正反対に、漢方薬を準医薬品として新たに許可し始めている。この事は、先進国の伝統医学に造形の深い人々の間では、日本の厚生省の役人や政治家の無知さ加減が物笑いの種になっているそうです。

(多分、明治政府が西洋医学導入時に鍼灸治療や漢方薬治療をほぼ抹殺した経緯があるから、厚生省などは、いまさらその有用性を認めるわけにはいかないのかと愚推します)

 

 例えばアメリカでは、議会の決議によって、国立健康研究所の26番目の分野として「国立補完・代替医療研究所」を1995年に設立しました。研究所の発足当時の予算は1億2000万円であったのが、10年後には40倍以上に膨らんでいます。10以上の大学や10以上の病院で、学生や医師は伝統、代替・補完医療を学んで、患者の相談に対応できるようになりました。さらに、伝統、代替・補完医療を行う開業医の成果を大学や研究所と連携して研究する費用も1件あたり300万円くらい補助する制度もできました。

伝統、代替補完医療を受けるのに医療保険の適用も広がっています。WHOの調査でも、日本の国民や医師や医療制度は、このような統合医療を目指す世界の潮流から取り残されようとしています。
一方、生活習慣病という考え方や予防医学の大切なことが叫ばれています。

中国では昔から「上医は未病を治し、上薬とされる食べ物から指導し始めるけれども、下医は病気になってしまってから気づき、下薬とされる強い薬を使っても、病気の進行を防止できない」といわれています。

 

 生活習慣である食べ物、適度の運動、心の養生を健康や医療の基礎として、具合が悪くなるにつれて、治療食や調整食、指圧や鍼灸、バイオーフィドバックやカウンセリングへと進み、温和な薬物との併用から、強力な薬物療法や手術へと進むのが世界の伝統、代替・補完医療に共通する考え方で、現代西洋医療とは全く逆の発想です。

 

 現在、WHOは北京・上海・南京・広州に「WHO伝統医学センター」を設立し、研究や教育のための資金援助や人的援助を行なっている。さらに、北京・上海・南京では「WHO中国国債鍼灸養成センター」が開設され、毎年多くの医師や鍼灸師が世界各国から訪れ、中医学理論と鍼灸技術を」学び、その後母国へ戻り、鍼灸治療を国民へ提供している。

 

 

 私の知っている呉澤森先生は、WHO上海国際鍼灸養成センターで教鞭をとられていました。
詳しくお伺いすると、講義は英語・フランス語・日本語のグループに分けられ、それぞれに通訳をつけて行われる。受講者は中医学の基礎理論を学び、そのうえで、経路や経穴などの鍼灸の基礎理論を学ぶ。さらに鍼灸治療に適応する病気や症状の診察・診断だけではなく、指導教官のもとで患者を実際に治療する臨床実習の時間も設けられているので大人気とのことです。

 

 

 受講者の顔ぶれをみると、かつてはブラジルをはじめとする中南米諸国や、アフリカ諸国などの発展途上国から国費で派遣された留学生や研究者が大部分を占めていた。
しかし、最近では、医療先進国といわれる欧米諸国、特には鍼灸の盛んなフランスやドイツ、スカンジナビア諸国からやってくる医療関係者の数が急増している。その多くは、慢性病の治療を目的として、中医学の知識や鍼灸の技術を学ぼうとしている人が着実に増えているのは、間違いなく、また鍼灸が現代医学の及ばない分野に貢献できる治療法であることを反映していると思われる。

 

 ちなみに、代田文彦先生によれば、日本の医師で鍼灸治療をしているのは、多く数えてもたかだか100人程度。現代西洋医学の最先端を突っ走るといわれる西ドイツの医師で鍼灸治療をしているのは1万人以上。アメリカの医師で鍼灸治療をしているのは、数万人。

 

 また、西ドイツでは漢方薬の原料である生薬の取扱量が日本のおよそ2~3倍。

 この差をどう理解するのか。日本は遅れていると述べられています。

 さらに、患者の痛いところに手が届く「代替医療」の代表格が漢方薬や鍼灸治療であることすら、政府も厚生省も議員も知らない。あきれるばかりである。世紀末とはこのことかーーーと結論されています。

 

 

 

「WHO中国国際鍼灸養成センター」での研修では、内科・婦人科・整形外科・皮膚科・
耳鼻咽喉科などの病気を鍼灸治療する知識と技術を短期間で習得することができる。事実
この養成センターで学んだ鍼灸医は、現在も世界各地で活躍している。

 

 現在、「WHO中国国際鍼灸養成センター」では、

①自然の摂理や法則を理解するために考え出された中国独特の考え方で、中医学の理論
基盤となる「陰陽五行学説」。

 

 

②人体の構造や機能を理解するために知っておく必要のある「臓腑」や「経路」、「気」「血」「津液」の考え方、

 

 

③発病因子となる、気象の異常な変化(「外邪」といい、「風・寒・暑・湿・燥・火」の6種類がある)や、感情の過剰な変化あるいは不足(精神的なストレスとなって正常な精神の活動を乱す、「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」の七つがある)、また病態を解き明かすために欠かせない「病機学説」、

 

 

④正しい判断を行うために考えられた四種類の治療法と、診察の結果得られた情報を分析して判断を下し、診断に見合った治療方針を実現するための手段(たとえば鍼灸なら、どのような種類の治療器具を選び、どのような手技を使って治療を行うか)を決定するまでのプランづくりのための様式、

 

 

⑤治療に必要な基礎知識と基本技術、

以上の、五つに分けて鍼灸医学教育が行われている。

 

 

 なお、現在、日本の西洋医学界で使われている、内臓を表す用語は、中医学の「五臓(肝・心・脾・肺・腎)」と同じ文字で表現しているが、機能はかならずしも一致しない。
たとえば、西洋医学の肝臓は、胆汁の分泌や血液の貯蔵と血液量の調節機能をもつ点では中医学の「肝」と同じである。しかし、中医学の「肝」が精神情緒活動をコントロールする機能はないと考えている。「肝臓」ではなく「肝」というように、中医学や漢方医学について書かれた文章のなかで五臓の名前に「臓」の文字をつけないのは、西洋医学の用語と区別するためなのである。

 

 なお、中医学では、五臓とは別に「腑」と総称される六種類の内臓(「肝・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦=水液代謝の通路)が考えられている。「腑」は食べ物や飲み物を受け入れ、また、便や尿のようにからだに不要なものを排出する働きをもっている。

 

 以上列記したように、西洋医学の概念や治療体系と全く異なる東洋医学(中医学、漢方医学、鍼灸治療)が世界の先進国では、『次の世代の医療は全世界で代謝医療(オルターナティブ・メディスン)の全盛期になるだろう』と予測し、すでに行動を開始しています。
ということで、漢方治療や鍼灸治癒を自分で経験してみて、非常に素晴らしく、自然治癒とはこんな風な治り方と感激する機会にしばしば遭遇し、日本にも海外から逆輸入される日がそう遠くはないのではないかと、一人勝手に愚考しています。

46.東洋医学の見方 -代田文彦先生の本より-

 

東洋医学の見方

ー代田文彦先生の本よりー

 

①西洋医学の薬は人を冷やす。

②水はけが悪いと、体がガス欠になる。

③もうちょっと飲みたいところで止めておく。

④飲みすぎ食べ過ぎは体を冷やす。

 

第4部 東洋医学ひぐちクリニック

    樋口 理

 

 

 東洋医学の物の見方ー西洋医学の見方とはどこがどう大きくちがうのか?私は東洋医学の世界にはまり込んで10年ちょっと。一番ちがうのは、寒熱(その人が冷えているか熱があるのかー体質として、またその物質(食べ物、薬)が人を冷やすのか温めるのか?)

二番目は水毒(体内に余分な水が溜まり、それが災いする;西洋医学のほぼ全科に及びます。)

3番目は温める治療法が西洋医学には無く、東洋医学にはあること。4番目は飲み過ぎ食べ過ぎは体を冷やす。大ざっぱに言えば、この4点になるかと思います。

 

 東京女子医大;東洋医学講座の初代教授;代田文彦先生は鍼灸家の育ちで、幼少のころより、

東洋医学に慣れ親しまれています。東京女子医大;東洋医学講座在籍中に講談社より『もう大病院には頼らないー東洋医学であっけないほど【痛み】を癒す』という本」を出されています。

その中で、いくつか興味深い記述が有りますので、紹介します。

 

①西洋医学の薬は人を冷やす。

②水はけが悪いと、体がガス欠になる。

③もうちょっと飲みたいところで止めておく。

④飲み過ぎ食べ過ぎは体を冷やす。

 

①西洋医学の薬は人を冷やす。

「冷えってなんだ」。今一つピンとこない人も多いと思うのでもう少し、東洋医学の冷えに

 ついて説明しておこう。

 

「冷え」で具合が悪くなっている人は、いろんなことを言ってくる。たとえば、

「体がだるくて、頭が重いんです。胃がムカムカして朝ごはんが食べられない。ときどき動悸が

激しくなって、心臓病ではないかと心配になります。梅雨どきになるとひざが痛くって階段を降りるのがつらくなるんです・・・・・。」

まるで病気の問屋である。

具体的にいうと、頭痛、ゲップ、腹の張り、吐き気、食欲低下、倦怠感、めまい、動悸、乗り物酔い、ひざや手首の関節痛など・・・。

 

西洋の薬を使うとしたら、一度に何種類もの薬を飲まなくてはならないが、

「これは冷えている。温めてやれ」という東洋医学の発想で対処すると、案外簡単に解決できることが多い。たとえば、たった一つの漢方薬、たった一つのツボ療法で治ってしまったりする。

 

もちろん、西洋医学にはこんな発想はない。それどころか、下痢止め、咳止め、解熱剤、抗炎症剤そして抗生物質など、西洋医学の薬はほとんど、体を冷やす作用をもっているものばかりである。

 

ふだんから元気な人なら、ちょっと下痢をしたときなどは下痢止めを飲めばケロリと治るが、体が冷えている人が下痢止めのような「冷やす薬」を長く使うと体の自然治癒力が弱まり、なおさら体力を奪われてしまう。

たとえば、風をひくたびに抗生物質を飲み、一時はよくなったが、しょっちゅう風邪をひくようになったーーなどというのはその一例である。ボヤを消そうとして家財道具を水びたしにするようなもので、、こんなときは体を温めないとだめなのだ。

 ただし、西洋の薬がなんでもかんでもいけないわけではない。必要なら短期間だけ抗生物質を使えばよい。西洋の薬は、「毒をもって毒を制す」というニュアンスが強いので、細菌感染などの外敵をチョイトたたくのにうまく使えばいい。風邪をこじらせて扁桃腺炎になったなどは体がガンガン燃えて熱くなっているのだから冷やす薬を使ってもいいのだ。

 ところが、「体内の火」(炎症や発熱)が下火になってもまだ冷やし続けていると、とんだトバッチリを食らうわけである。

 ちょっと極端なことを言うと、がん末期の患者さんなどは冷え切った状態である。だから、そこに抗がん剤などがよると追い打ちをかけることになり、冷えは極みに達して体によい作用にはならない。

 しかし、東洋医学の薬や治療で体をドンドン温めてやると、がんそのものは治せなくても、患者さんは苦痛が取れて非常に楽になる。はっきり言うと、楽に死ねるのである。

 西洋の薬で冷やし過ぎたかと思ったらお灸で体を温めるーーという具合に、東洋医学の手法をちょっと取り入れてやれば、今よりずっと楽になる患者さんが大勢いるはずである。

 

【コメント】

 現在、大腸癌で肝臓へ転移のS様。お灸をしていますが、棒灸をすると体がかるくなり、疼痛部位にカマヤミニをすると、痛みはその場で軽減消失します。本当に楽になるそうです。

 

②水はけが悪いと、体がガス欠になる。

 ところで、先ほどから「水が乱れる」「水がたまる」などと言っているが、自分には関係ないーーと思ったひとも多いはずだ。だが、ほんとうにそうだろうか。

 

 突然で恐縮だが、あなたは昨夜ビールを飲みましたか?

 「風呂あがりに冷たいビールをぐぐっと一杯。たまりません」

なんて人は、口を開けて舌を突き出し、鏡でよーく見てほしい。舌の両側にギャザーを 寄せたようなギザギザが付いていないだろうか?

 

 そのギザギザは何か?なんとそれは、自分の歯型なのである。舌がむくんで元の大きさよりも

ふくれているため、歯列からはみ出た部分に歯が押しつけられて跡が付いたのだ。

舌がむくんでいるのは、あなたの体が処理しきれない量の水分をとったためである。そう、昨夜のビール。そうでなければお茶やコーヒーの飲み過ぎか・・・・?

 

 ほんとうに健康な人の舌にはギャザーは付かない。たぶん、あなたの体はめまいの患者さんと同じで、水はけが悪いのだ。こういう患者さんが現れたら、

「しめしめ。ちょっと治療すればぐんぐんよくなるぞ」と思わずニヤッと笑い、舌なめずりをしたくなるような状態である。

 舌がむくんでいるときは、胃もむくんでいる。胃も舌も消化器をという点では同じ組織なのだから、当然である。胃の壁がむくんでいると、水や食べ物がうまく消化吸収できない。

 

ひどくなると、横になった状態で胃の付近を手でたたくと、「ポチャポチャ」と音がする。

胃の壁から水分が吸収されないため、水がたまっているのだ。漢方の用語で「胃内停水」といい、胃腸虚弱の代表的な状態だ。

 

 こんな状態を放っておくと、どんどん体力が低下していくのは明らかである。体内で食物からエネルギーをうまくつくれないのだから、自動車でいえば「ガス欠」状態になる。

 「水はけが悪いって、そんなバカな。オシッコだってちゃんと出てるし、足もむくんでいないんだから!」と言いはる人は、今晩さっそく次のことを実行してみるとよい。

夕食のあとのお茶は一杯だけにして、夜8時以降はいっさい水分をとらない。もちろん食べてもいけない。食べ物はほとんどが水でできていることを忘れてはいけない。

 そして翌朝、舌をよく見る。ギャザーの跡はいつもより薄くなっているはずである。朝起きたときの感じも、いつもとは違うのではないだろうか?

 「おや、いつもより気分がいい。体調がよいようだ」と感じたならば、それこそが、あなたの体の水はけが悪くなっていた証拠ではないだろうか。

こんな症状は西洋医学の医者に見せても病名がつかないし、治療の対象にならない。

「何も異常ありません、合格ですよ」と言われるのがオチだ。ところが、東洋医学はアバウトというか、「水はけがいいか悪いか」というように体全体をおおざっぱにとらえるので、こんなささいなことでも治療対象になる。このへんが、東洋医学のユニークでおもしろい点である。

 むくんだ胃の壁を元に戻すには漢方薬や鍼治療もいいし、いろんな手段があるが、だれでも簡単にでき、確実な効果が期待できるのはお灸である。

「えっ?お灸なんて素人が自分でやってもいいの?」という人もいるが、大丈夫だ。

鍼は国家試験に合格した鍼灸師でないとできないが、お灸は自分で簡単にできるし、副作用の心配もない。もぐさ代など1年間500円もあれば足りる。しかも、素人療法でもちゃんと効く。お灸療法は「このツボにお灸をしたらこの病気が治った」という経験の積み重ねの集大成だから、効いてあたりまえなのである。

 

③もうちょっと飲みたいところで止めておく。

 

動脈硬化や糖尿病など、血管の老化がすすんでいる人は、水分を多めにとるように医師から言われることが多いだろう。血液が濃くなって血管がつまるのを防ぐためだが、これを別にすれば、ほとんどの人が水分をとりすぎている。これが最大の「悪いクセ」といってもいいほどだ。

 体が処理しきれない量の水分をとると、前に述べたように、胃袋はむくんでしまい、

「水はけが悪い」という状態になる。

 

筋肉の中に水がたまると体がだるくなり、内耳に水がたまるとめまいが起こり、脳がむくむと頭痛がする。また、腰痛やひざの痛みも「水の乱れ」の一つとして起こることが多い。

俗に「こり・冷え・痛み」といわれる日常のちょっとした不調は、たいてい、水はけが悪いことから始まっている。

ビールだのお茶だの清涼飲料水だの、何だって水分をとりすぎてよいことはない。

 

最も、このことを指摘すると、

「いや、私はそんなに飲んでいません」と言い張る患者さんも多いのだが、実際に1日に飲んだお茶やジュース類の量を合計してもらうと、たいていは「あれ、こんなに飲んでたっけ」と驚くものである。

さらに、水のとりすぎは胃腸虚弱につながり、消化吸収機能を低下させる。

英語で胃をガッツともいう。「あいつはガッツがある」という言い方があるが、文字通り、ガッツ(胃)が弱い人は体力がない。

 

何をしても具合が悪ければ、ねばりもなくなるから、ガッツがなくなるわけだ。

だから、朝起きたときから体がだるいとか、昼ごはんを食べると眠くなって仕事ができないなんてことにもなる。知らず知らずのうちに、いろいろな内臓の連携プレーがうまくいかなくなってくるのである。

 そもそも胃腸や十二指腸というのは、ただ食べ物を消化するだけの単純な臓器ではない。

胃酸などの消化液を分泌するだけでなく、消化酵素やホルモンなどのいろいろな分泌物を絶妙なタイミングと濃度で出すという、精妙なコントロールタワーをも備えた、とても複雑な臓器である。そこに一日何回も大量の水分が入ってくるとどうなるか?

 せっかくの消化液などが薄まってしまい、食べたものを消化しきれなくなってしまうのである。

 では、どれぐらいの量なら飲んでも害がないのだろうか?

これは自分で量を調節しながら「自分にとってベストの量」を体で覚えていくほかない。

プロレスラーのように丈夫でがっちりした人は多少のみ過ぎても何ともないが、ふだんから肩がこる、胃がムカムカして気持ちわるいなど、あちこち具合が悪いような体の弱い人が「体にいいから」などと言ってお茶をガブガブ飲めば(たとえ、それが健康茶であっても)、具合が悪くなるに決まっている。簡単にいってしまえば、「もうちょっと飲みたい」という」ところでやめておく。

これが水分をとりすぎない秘訣である。

 

④食べ過ぎ飲みすぎは体を冷やす。

 

なぜ、食べたいだけ食べてはいけないのか。---いくつかの理由がある。

食べ過ぎ、飲みすぎは胃腸を傷めつける結果、体から熱を奪い、体を冷やしてしまうのである。

胃腸が悪くなるとエネルギーをつくり出せなくなるから、熱が足りなくなる。だから冷える。

これは何度も書いた通りだ。冷えると具合が悪くなってくるのは、当然のーーー・。

 

さらにもう一つ、とかく人は冷たい飲食物を好む傾向がある。冷たいものをたくさん食べれば、

当然ながら体はじかに冷えてしまう。

冷えているために、体にゆがみが生じている人はじつに多い。

では、冷えないためにはどうしたらいいか。あたりまえだが、ビールやジュース、アイスコーヒーなどの冷たい飲み物を避けることだ。胃腸が弱りがちな夏場こそ、冷たい飲み物は避けるべきなのである。

 

体調をよくしたいと思うなら、1週間ほどビールやジュース類をやめてみると、どんなにか快適になるだろう。

 

お茶も控えたほうがいい。もともと緑茶は体を冷やす性質のものだと言われている。だから、眠たいときに緑茶を飲むと頭がすっきりするのだ。ウーロン茶も体を冷やす。麦茶は体を温める性質と言われるが、飲みすぎは禁物。なるべく温かくして飲むことだ。

 スポーツをするときの水分補給は大事だが、だからといって冷たいスポーツドリンクなどを一気飲みするのは愚の骨頂である。のどが渇いたら水は一口ずつ、かむようにして飲むのがいい。

これなら、いつもの量の半分で渇きがおさまるはず。

 ビールは体を冷やす。ビールを飲むと翌朝下痢をする人がいるのはそのせいである。日本酒はいいが、冷やはいけない。やはり、「酒は人肌の燗がいい」のである。適度のアルコールは血のめぐりをよくして体を温めるが、度を過ごせば体を冷やす。「あと一杯飲みたい」ところで、勇敢果敢にやめておくのがよい。

 体を冷やす食べ物については、トマトは寒性の食べ物、タマネギは温性の食べ物ーーなどと分類して、いろいろ難しいことを言う人がいるが、実証されたことでもないから、あまり気にしなくてもいいと思う。生のもの、お刺し身やサラダ、果物(とくにスイカやバナナなど南方原産の果物は体を冷やす性質が強い)を食べすぎないようにすれば十分であろう。

 体を温めるためになるべく食べたほうがいいのは、ニラやネギ、ショウガなど。大根も昔から

「脾」を助け、気のめぐりをよくする食べ物とされている。

 ただし、大根はサラダなどではなく、柔らかく煮て食べるのがよいだろう。

 そう言えば、中華料理にはもともと、生野菜のサラダはなかった。日本料理だって、野菜料理と言えば、まず、煮物やおひたしで、ウサギみたいにシャリシャリと生野菜をかじるようになったのは、戦後の高度成長期以降の話である。火を通さない野菜を食べないというのは、昔の人の知恵の一つかもしれない。

H.2017-07-07投稿

45.東洋医学治療の小経験 一こんな訴えの人が来られたら?どうされます?―

 

東洋医学治療の小経験

一こんな訴えの人が来られたら?どうされます?―

 

第4部 東洋医学ひぐちクリニック

 

樋口 理

 

 

 東洋医学治療、特に鍼灸治療の醍醐味はその速効性です。(鍼灸治療中或いは直後に患者様が痛みや不愉快な症状の軽減消失を実感されます;西洋医学の常識では考えられないことだと思っています。)疼痛に関しては、『冷えると痛む』『通じないと痛む』が、根本原因であり、治療法の大原則は『温める』『通じさせる』です。西洋医学では、残念ながら、『冷え』の概念がなく、また治療法も持ち合わせていません。そして器質的変化を主原因とします。が、東洋医学の立場からはあまり関係ないようです。(私の独断と偏見が多々加味されていることは、あらかじめ御了承下さい。)

 

 又、気分の問題;例えば不安・心配・悲しい・怒り・落ち着きがない・パニック・落ち込むーーーー等は 西洋医学は少し苦手かないと思いますが、鍼灸治療と漢方薬は得意分野です。特に鍼治療で、胸鎖乳突筋や頸背部の硬結圧痛部の処理をすると、直後に「気分爽快スッキリ」「身体が温まった」と言われる方が多く、「その日はグッスリ寝れた」などと後日、言われます。

 

 西洋医学-辺倒であれば、『丁重にお断り』・『前医に戻す』・『他者を紹介する』・『逃げる』・『治療法がないと説明する』・『一生涯付き合って行くしか無い』等のどれかを選択し、積極的に治療をすると言えないような症例に遭遇しても、すぐに治療を始める事が出来ます。

 

 患者様はー秒でも早く、今ある苦痛・不愉快さから逃れたくて、治療を求めていますので、病名に関係なく即座に治療を始めれるのは、願ってもない事だと思います。そして、鍼灸治療の途中や治療直後に自分の身体の変化にきずかれます。そのような症例を提示して、鍼灸治療の醍醐味のー端を垣問見る事が出来ればと愚考しています。又、西洋医学と東洋医学の視点の違いなども紹介したいと思います。

 

 

 

◆疼痛編

 

(症例 1)K.Y.;45歳、女性

 

C.C.;腰痛~右下肢痛

 

P.I.;昨年暮れごろより腰痛~右下肢痛出現。近医受診し、リリカ、ロキソニン等の投薬、率引療法をうける。5月に悪化し、ブロックもしているが、増悪の一歩で、痛みが引かず手術も考えているが、友人から漢方と鍼治療の事を聞き、ひょっとしたらと思い、8月に受診する。歩行はやっとの状能で、表情は暗くさえない、所謂疲れきって諦めているようなーーー笑い顔のない顔でした。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は裏寒(内臓の冷え)強く、鍼治療を主体にしようと説明。自宅でも、足湯と湯たんぽを薦める。漢方薬は裏寒に温裏剤、疎経活血湯に大黄牡凡皮湯などを投与。痛み止めは出来るだけ減量するように指示。3日後、全然違うとの弁あり、詳しく尋ねると『朝はいつも弁当を3人分作るが、いつもは痛くて痛み止めを飲みながら、休み休み作っていたのが、痛み止めを飲むまではない』との由。『冷えると痛む』が真実で、治療法は『温める』。西洋医学には『止める』しかないと説明、さらに痛み止めには『冷やす』があるから、飲めば飲むほど冷やされて悪化すると説明。足湯と湯たんぽで温めたのが奏功しているとさらに説明。半信半疑ながら、経過が西洋医学の時とは違うとーーー

9月に入り、痛みの波が少々ありました。湿度や気温や台風の影響を教え、冷やす食品でも痛みが出現することも納得され、調子よかったのが突然悪化しました。原因はキャベツの生食いでした。10月中旬また悪化しました。昼ごはんを食べて急に悪化しました。丁度そのころ日本のはるか南の海上には、台風23号24号が発生していました。昼ごはんは、カレーと剌し身とのこと。共に人を泠やします。冷えを捕まえている人には、速効で冷やします。人は超繊細と説明し、納得される。治療開始後2ヵ月で当初の4/10。痛み止めは全く飲まずに日常生活もほぽ可能。ある日『リ◆カと◆キ◆二◆と湿布とブロックを止めて良かった』と嬉しそうにに言われました。西洋医学治療でうまいくいけば問題有りませんが冷えきった方々には、西洋医学の治療は冷やす結果となり、逆の治療となることが予想されます。温める治療法のある東洋医学に変えた方がより良いようです。

 

【コメント】
 西洋医学―辺倒であれば、昔の私はどうするか?同じ治療しかできないので、『丁重にお引き取り願う』を選択すると、思います。が西洋医学の武器を使えばどうにかなると考えている今の私はどうするか?『温める治療方法でどうにかなりますよ!!』と積極的に治療を開始します。

 疼痛については、東洋医学ではその根本原因は『冷えると痛む』『通じないと痛む』とし、治療方法は『温める』『通じさせる』です。全く何の事やら??ですがーーー。―方西洋医学では、疼痛は神経がらみや炎症がらみとし、治療方法は『痛みは止める』です。が東洋医学の治療を重ねるごとに、『痛みを止める』と『痛みを治す』は、全く次元の違う問題で、どちらが本当なのか?という疑問が湧いて来ます。

 本例は、西洋医学の治療で、『痛みを止める』を主体に加療され、リ◆カ、◆キ◆二◆、更にブロックまでされていましたが、経過がかんばしくなく、思い切って東洋医学の治療『温める』『通じさせる』へ変更されました。そして2ヵ月後、疼痛は当初の4/10『リ◆カと◆キ◆二◆と湿布とブロックを止めて良かった』と言われました。

 この症例か学べるのは、西洋医学の治療と東洋医学の治療には、ひょっとしたら守備範囲があるのではないかという事です。冷えている方には、消炎鎮痛剤の持つ、消炎・解熱・鎮痛効果のうち、解熱効果は更に冷やし、その結果一生懸命やればやるほど逆に悪化させるのではないかとー人勝手に愚考しています。(私の独断と偏見が多々加味されていますがーー)

 

 

 

(症例 2)42歳、男性

 

C.C.;両方肩~後頸部痛&頭痛

 

P.I.;1週間前から症状出現。市販の痛み止めと湿布をしているが、ひどくなり仕事を休んでいる。友人から薦められて受診。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気(四関穴、三気海)、腹部の冷え強く棒灸施行。頸背部の凝りに置針。漢方薬は裏寒に人参湯、葛根加朮附湯などを投与。翌日受診。右はどうも無い、よくなった。左がもう少しとの由。再度鍼治療。左の胸鎖乳突筋の圧痛強く横剌施行、頸背部の凝りに置針、左肩申骨内則に筋硬結あり、長針施行。直後にかなりよいとの弁あり。症状残存していれば、後日受診或いはtel連絡をとーー。tel.連絡あり、左の症状も消失したと。西洋医学の湿布と痛み止めでは、この様にはいかないと思います。

 

【コメント】
 この症例からは、鍼灸治療の即効性の醍醐味が読み取れます。2回の鍼灸治療で完治です。西洋医学の痛み止め・湿布では比較にならないと思っています。判断医学;一人の患者様が受診されたときに、一番ベストの治療方法が何か?西洋医学か?東洋医学か?其の他か?判断し、提供するというものです。この症例には、鍼灸治療を提供して大正解と一人愚考しています。

 

 

 

(症例 3)42歳、女性

 

C.C.;右肩関節痛

 

P.I.;1週間前から右肩関節痛が出現、後手ができない、上着の着脱もままならない前回も鍼治療で早く良くなったので、受診。

 

治療&経過;以前から時々鍼治療されている方です。陰性食品は知っておられるので、今年の夏スイカが原因ですと自分から言われました。鍼治療は右手に八邪、左足の膝下の上口、承山に透針して遠位置針―患部連動療法。すると挙上しやすくなり、後ろに手が行くようになり、ブラジャーのホックもできました。その間わずか20分。
西洋医学―辺倒の時には後手、結帯動作は対応できない訴えのーつでした。が、東洋医学の治療を取り入れてからはこの症例のように、鍼治療直後に自覚症状の消失を見る事を頻繁に経験します。

 

【コメント】
 肩関節の動きで後手、結帯動作は西洋医学では対処しにくいと思いますが、鍼灸治療では経絡を使い、結構即効で改善する事を良く経験します。患者様はー応にビックリと『こんな治療ーー不思議?!』と言われます。私も本当に不思議です。特に右肩であれば、左の膝下のツボ;上口と承山に透針して遠位置針ー患部連動療法をすると、8~9割の方は、運動している10~15分の最中に疼痛や可動域の改善を実感されます。本当に不思議だし、-体誰が人体のこの『魔訶不思議な仕組み』を見つけたのか睢々感心します。そして、局所に触らずに右肩だから、上病下取、陰陽の原則にのっとり、左下肢の膝下の穴を使い症状が消失しました。古代人は、解剖を知り尽くし錐体路交差も知っていたのではないかと思います。

 

 

 

(症例 4)56歳、女性

 

C.C.;足のむくみとビリビリ感

 

P.I.;本年6月に子宮癌の手術をした。その後、リンパ浮腫が出現し、歩行で足がビリビリして困る。又むくみもひどく、リンパマッサージなどを受けているが、ー進ー退で、ヒョットしたら漢方や鍼治療でどうにかなるかもしれないと思い、受診。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気(四関穴、三気海)し、左足の八風と三陰交、陰陵泉などに置針。頸背部の凝りにも置針。最後に肘関節の膝三穴に置針し、遠位置針ー患部連動療法で歩行してもらうと、『足が軽くなり、あがる。』との弁あり。漢方薬は裏寒(内臓の冷えに)附子理中湯。腓腹節の圧痛強く、九味檳檳榔湯などの利水剤と駆血剤の桃核承気湯や通導散等を投与。さらに、吸い玉治療をする度に症状軽減し、歩行で足がビリビリするという訴えも軽くなった来ました。腓腹節の圧痛も軽減してきました。最初は足の症状が良くならないので、治療も諦め、仕事復帰では負担の少ない事務職を希望すると言われていましたが、最近は現場復帰を考えられています。

 

【コメント】
 西洋医学ー辺倒であれば、『手術された先生に相談されて下さい』と丁重に逃げ出すかなと思いますが、東洋医学を少し知っていると、針灸治療と利水剤と駆血剤でどうにかなると考え、治療と開始できます。この方は数年前に指のシピレと痛みで受診され、鍼治療と漢方薬でシビレと痛みが良くなったので、ヒョットシタラと思い出されて受診されたそうです。一生涯付き合っていくしか無いと言われ、まさかこんなに良くなるとは、考えずに受診されていたので、『漢方薬や吸い玉治療と灸頭針や火針』という治療がこんなに凄いとは思わなかったといわれます。治れば患者様は『何でもあり』。医者は武器や引きだしは沢山持っているほうが、自分救われ、患者様も救われると、このような症例を経験するたびに何時も思います。

 

 

 

症例 5)46歳、女性

 

C.C.;左上歯痛

 

P.I.;半年ほど前より、朝顔を洗う時や人と話しているときに左上歯痛が生じるようになった。歯科では異常なく、大病院を紹介され、三又神経痛かもしれないと言われた。薬を飲んでいるけれども、あまりパットしない。心療内科を紹介しますと言われたそうです。漢方や鍼治療でどうにかなりますか?と依頼あり。時々鍼治療や漢方をされている方です。

 

治療&経過;歯痛は『針や灸で結構行けます』よと説明。経絡では陽明経なので、手の陽明大腸経の合谷と足の陽明胃経の内庭などに皮内針を置針し、1~2回/日、40~50回/回押すように指示。すると1週間後痛みの出方が減ったとのことーー。しかし、まだ疼痛はある先ず足の陽明胃経の内庭に直接灸を施行。少しよいかな?。次いで手の陽明大腸経の合谷に直接灸を施行、左の合谷に5壮まで痛む。更に右の合谷に直接灸を7壮ほとんど痛まない、さらに2壮追加。経過をtel連するようにお願いし、その日の夕方tel連あり。しばらくは痛みは無かったが、また痛みだした。自宅でも灸を薦める。翌日受診。熱量が少ないためと判断し、合谷に灸頭針多めに施行。2週間後、当初の3~5/10。日常生活ではほとんど気にならない。足の陽明胃軽の内庭の圧痛は左は消失、右はは軽減。治療継続中ですが、半年位続いた左上歯痛が2週間程度でかなり軽減しています。痛み止めを使わないでも、東洋医学の治療手段を用いればどうにかなると思っています。

 

【コメント】
 中国湖南省にある前漢時代の漢墓からみつかった鍼灸の書物には『歯痛には手の陽明胃経に灸をする』と書いてあるそうです。ですから古人は紀元前から歯痛の治療法を知っていた事になり、凄いことだと思います。手の陽明経の合谷で歯痛が消失することは、時々経験します。痛み止めを使わなくても、痛みが取れる不思議な世界です。
ちなみに、首から上の症状は熱に因るものが多く、専ら清熱の治療をしますが、症例によっては『熱は熱で制す』の原則により治療する事もあります。本例はこれに相当すると思われます。東洋医学では、これにはこれと言う決まりはなく、ある意味ではアパウと。色々な方向から攻めれるのが、また新鮮味があり、人体はそれに反応するという薬しみがあります。

 

 

 

(症例 6)43歳、女性

 

C.C.;右頸部痛とゴキゴキ音がする。

 

P.I.;H24年頃より右■部痛が出現。気にはなっていたが特に加療せず放置今年の夏よりゴキゴキ音がして、首を回しずらくなり、近くの医院受診し湿布や痛み止めを使っているが、益々悪くなる感じがする。友人から漢方や鍼治療を薦められて10/15受診する。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気((四関穴、三気海)し、胸鎖乳突筋の圧痛強く、横剌施行。漢方薬は附子理中湯合加工附子末を投与。鍼治療をする度に『ツーーットして、首の回りが良くなる』と言われます。2回の鍼治療でゴキゴキ音は消失。

 

【コメント】
 この症例からも、鍼治療の即効性の醍醐味が読みとれます。胸鎖乳突筋のの圧痛強く、横剌施行。鍼治療をする度に、『ツーーットして、首の回りが良くなる』と言われます。西洋医学ーの常識では考えられない事です。その現場に居合わせた者だけが感じれることです。
 なぜ右頸部のゴキゴキ音が消失したのか?『冷えて縮み硬くなっていた組織』を無理やりに動かせば弾力性が無いために、ゴキゴキ音やグツグツ音が発生します。冷えの原因となる陰性食品を制限し、湯めてやると『冷えて縮み硬くなっていた組織』が緩み、弾力性を取り戻し、動きは良くなり、結果首の回りが良くなるという訳です。ピンと来られないかもしれませんが?

 

 

 

◆気分編他

 

(症例 1)43歳、女性

 

C.C.;不安で緊張感強く外に出れない、不眠もある。

 

P.I.;本年5月中旬に新築した家に引っ越しした。その直後より不安と緊張感が出現仕事にも行けなくなり、不眠もある。西洋薬を飲んでいるが、かわらずひどくなっている。紹介されて6/17受診。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気(四関穴、三気海)し、丹田に棒灸、胸鎖乳突筋の圧痛強く横剌施行。頸背部の凝りに置針。大椎にも棒灸施行。直後に温もって気持ちが良いと。漢方薬は当初、六君子湯、帰脾湯を投与。6/19漢方薬は飲みやすいとの由。鍼治療施行。次いで加味逍遙散、酸棗仁湯、半夏厚朴湯等を投与。すると6/22少し違って来た。鍼治療施行。6/25仕事に行けた。寝れている。不安も良い。廃薬。

 

【コメント】
 西洋医学でいけば、抗不安剤や杭うつ剤、入眠導入剤などが投与されると思います。嫌な症状に対する対症療法としては、薬剤の選択は上記のようになります。東洋医学では、根本原因を探そうとします。そうすると、ストレス→肝気鬱結→加味逍遙散、予期不安半夏厚朴湯、不眠→心→酸棗仁湯を投与すると、良く反応し1週間で治療です。日常臨床では、このように速効例をよく経験します。其のつど鍼灸治療や漢方治療のすばらしさに感動し、早く治るこの治療方法が多くの人々の知る所となればと思います。

 

 

 

(症例 2)56歳、女性

 

C.C.;不安と不眠と車の運転でパニックになる。

 

P.I.;昨年10月に辛い事があり、眠れない食べれない状態になった。心療内科で薬をもらい、現在は悩みは解決しているが、眠れない。又4月に肺炎をした。1ヵ月前熱中症になり、その後車の運転でパニック気味になる。西洋医学を減らしたく8/6    受診。

 

治療&経過;時々漢方治療や鍼治療をされている方です。鍼灸治療は調気(四関穴、三気海)し、胸鎖乳突筋の圧痛強く横剌施行、腹部の冷え強く鍼灸施行。頸背部の凝りに置針。直後に、スッキリしたとの弁あり。漢方薬は裏寒(内臓の冷え)に附子理中湯、帰脾湯を投与。帰脾湯は飲みやすく甘いとの由。桂枝加竜骨牡蛎湯、甘麦大棗湯の頓用を指示。8/11;なんとなく良い。8/17;西洋薬は止めているが不安↓、寝れている。8/24パニック起こっていない。8/31;何も起こらず、寝れている。治療廃薬。

 

【コメント】
 この例も鍼灸治療と漢方治療にて、西洋薬を減らしつつ、不愉快な症状;不安と不眠と車の運転でパニックになるという訴えも軽減しました。長らく治療しているが今ーつスッキリしない場合には、東洋医学に切り替えた方が経過が早くなるかもしれません。漢方薬は、結構使い方次第で威力を発揮すると思っています。

 

 

 

(症例 3)36歳、女性

 

C.C.;頭がボーットする。

 

P.I.;2週間位前、友人がパニックをおこす現場に遭遇し、以後体調が悪く、頭がボーットする。其のうち治ると思っていたが不変、気になって仕事がないので当院のホームページを見て、受診。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気((四関穴、三気海)し、左の胸鎖乳突筋の圧痛強く、横剌施行。腹は冷たく棒灸施行。次いで頸背部の凝りに置針。漢方薬は附子理中湯、加味逍遙散、香蘇散などを投与。4日後、呼吸は良い。気分も良い。鍼灸治療施行。更に4日後、頭がボーットはかなり良い。当初の2/10。自然廃 薬。

 

【コメント】 

『頭がボーットする』と言われても、アプローチの仕様に迷いますが、『頭がボーット』は漢方の世界では『血虚』。鍼治療で全身調節し、漢方薬は附子理中湯、加味逍遙散、香蘇散の投与で、約1週間で改善しました。簡単な気の問題は、鍼治療が結構速効だと愚考しています。

 

 

 

(症例 4)82歳、女性

 

C.C.;首から下の痒みで夜眠れない。

 

P.I.;1年位前から首から下の痒みで夜眠れなくなった。近医で治療したが、変わらない。可哀想に思い、娘さんが遠方から連れて受診。
治療&経過;娘さんは時々漢方治療や鍼治療をされています。陰性食品の制限。鍼治療は痒みの針(三陰交、血海、曲池、風府等)を施行。漢方薬は六君子湯、当帰飲子、六味地黄丸等を投与。すると、3日目から痒みは起こらず寝れるようになりました。遠方なので、娘さんに後の経過を聞くと、2週間後、2ヵ月後寝れているとの由です。

 

【コメント】

痒みは多分西洋医学ではアレルギーと関連づけられそうですが、東洋医学では陰虚や血虚と考えます。痒みの針(三陰交、血海、曲池、風府等)と当帰飲子、六味地黄丸等が奏功しました。アトピーの痒み、高齢者者の痒み、蕁麻疹の痒みー結構鍼治療と漢方薬は速効です。

 

 

 

(症例 5)66歳、女性

 

C.C.;倦怠感、光りがまぶしい、目眩、フラフラフワフワ感、咽のつまりイガイガ感、耳鳴り、歩いていると平衡感覚がなくなりフラフラしてくる

 

P.I.;7~8年前から倦怠感、光りがまぶしい、目眩、フラフラフワフワ感、咽のつまりイガイガ感、耳鳴り、歩いていると平衡感覚がなくなりフラフラしてくる。どうかすると右や左に傾くそれる感じがある。などの症状が出現。複数の医療機関を受診し精査うけるも原因は分からず、年のせい、自律神経失調症、更年期障害などと言われた。治療したけれど、変わらず諦めていた。知人から漢方や鍼治療を薦められて10/20受診。

 

治療&経過;光りがまぶしい、目眩、フラフラフワフワ感、咽のつまりイガイガ感、耳鳴り、歩いていると平衡感覚がなくなりフラフラしてくる。どうかすると右や左に傾く、それる感じがある。これらは全て東洋医学では水毒という概念で生じる事を詳しく説明。よく水分は取っていたとの由。陰性食品の制限を指示。鍼治療、調気(四関穴、三気海)丹田に棒灸施行、胸鎖乳突筋の圧痛強く横剌施行。頸背部の凝りに置針。漢方薬は真武湯、六味丸などを投与。10/27『車を運転してきた。運転して来れた。』いつもは、めまいやフラツキ、フワフワ感のため、自分で運転できず、必ず誰かに運転してもらっていた。自分で良くなっているのがわかるので、運転して来れた。めまいやフワフワ感も全然違う。喉も良い。物音に敏感だったのも違ってきた。等など自分の方から、改善してきた事柄を述べられます。経過が早く劇的な時には、皆さんビックリ不思議そうに多くの体調不良の改善を『何時もはこうなのに、こんな風によくなった』と言われます。

 

【コメント】
 水毒の漢方薬、真武湯の典型例だと思います。西洋医学では、説明出来ない不定愁訴に思える訴えの中に、多くのヒントが隠されています。この方は、後日『どこに行っても、誰からも水毒とは言われなかった。』『私みたいな人が沢山いると思う。』とも言われました。
韓国や中国の先生方は、『日本の患者は可哀想。もっと早く治る治療法が沢山あるのに!!日本人は自ら葬りさっている』と言われます。この症例のようにチョットシタ事でスーット立ち直る方を経験する度に、私も『日本の患者は可哀想。もっと早く治る治療法が沢山あるのに!!日本人は自ら葬りさっている』は全くその通りだと思います。
東洋医学の治療学としての素晴らしさが、認識され一般の人々が知る所となれば、多くの方々が、東洋医学治療の恩恵を享受されると愚考しています。

 

H.27.11.6投稿

44.東洋医学治療の小経験 今夏の症例から

 

東洋医学治療の小経験

 

今夏の症例から

 

第4部 東洋医学ひぐちクリニック

 

樋口 理

 

 

 東洋医学の世界、未知のワールド、道へ迷い込んで10年ちょっと。元々自分の専門が何科だったのか?忘れた?或いは忘れそう?という方々が時々みえられます。西洋医学一辺倒であれば、丁重にお断りするような方々ですがーどうにかなるさ!?と。気楽に請け負い、try&errorの繰り返しながら、----かろうじて脱線寸前をさけながら、結果は満足?-
又、西洋医学一辺倒の時であれば、『おてあげ』・『逃げ出す』・『治療法は知らない、或いは積極的には治療できない』というようなケースでも、診方・治療法をかえてtryし、どうにかゴールできたかな?--

 

 そのような症例がかなりの数ありますので、報告いたします。(但し、私の独断と偏見が多々加味されていることは、悪しからず御了承下さい。)

 

 

◆◆先ずは、一応自分の専門分野(整形外科3流?)からー治療方法は東洋医学のみでアプローチ、その結果はどうなるのか?

 

(症例1)48歳、女性

 

C.C.;右膝関節痛

 

P.I.;7~8年前から、右膝関節痛が強くなり、変形性膝関節症と診断され、ヒアルロン酸の注射や湿布・痛み止めなどで治療したが、段々ひどくなり、階段昇降はゆっくり一歩一歩しかできない。正座もできない。痛みがひどくなれば手術しかないと言われた。漢方や鍼灸治療でも膝関節の痛みがよくなると、紹介されて受診。

 

治療&経過;膝関節周囲には皮膚表面に青紫色の小さなクモの巣状の静脈が浮き上がっています。これは『細絡』と言い、西洋医学では特に問題にしませんが、東洋医学では重要視しますと説明。内部が冷えている証拠と更に説明ーー母にも足に沢山あったので遺伝かと思っていたとの由。変形性膝関節症は、西洋医学では軟骨が擦り減るのが原因ーー東洋医学では冷えて筋肉や筋が縮みその結果、関節の隙間が狭くなり、さらにその結果軟骨が擦り減ると説明。半信半疑ながら治療が始まりました。先ず、陰性食品の制限を指示。鍼治療は縮んでいる筋肉に灸頭針施行(経筋病と言います)。内臓の冷えに棒灸施行。『細絡』に対しては、刺絡を施行。肘関節の膝3穴に置針し、遠位置針ー患部運動療法を施行。歩いて貰うと足が軽くなったと一言あり。漢方薬は裏寒に温裏剤。駆瘀血剤を投与。2週間後階段の昇降、特に仕事が終わった夕方はいつも階段の降りが大変で一段一段足をそろえてヤット降りていたが、トントント降りれるようになり、自分でもビックリしている。皮膚表面に青紫色の小さなクモの巣上の静脈は、青紫色が薄いピンク色に変わっていました。1ヵ月後、正座の格好をして貰うと、踵と殿部の間は握り拳1個位、こんなに膝の曲がよくなってとビックリでした。気長に治療しようと継続中です。

 

【コメント】
 最初は東洋医学の治療法なんか、『効くはずない』と思っていましたが、実践してみると効果抜群です。この方には、『細絡』に対する刺絡治療、経筋病の概念と治療方法、駆瘀血剤が奏功したと思っています。共に西洋医学にはない概念と治療法ですが、治療法は色々知っておいて損はないと思います。症例によっては、西洋医学と東洋医学を比較すると、東洋医学の方が優れている場合も多々経験します。
 膝関節については、冷えて縮んだ筋を針灸で緩めると可動域が改善します。ここ10年間は、痛み止め・湿布・ヒアルロン酸の注射はしていませんが、東洋医学の治療方法だけで、膝関節には十分に対応できると考えています。西洋医学の治療から東洋医学の治療へ変更して、正座が出来るようになった方結構います。そして、一度よくなると再発しにくくなるようです。

 

 

 

(症例2)62歳、女性

 

C.C.;右手のシビレ

 

P.I.;2~3年前から、右手のシビレがあり、昔のヘルニアが原因と言われ、ここ8ヵ月間牽引療法と、循環改善剤を飲んだが、変わらない。余り治らないので治療法を変えようと思い立ち、受診。

 

治療&経過;シビレは、東洋医学では『水毒』と説明するも半信半疑。手は触ると、シットリと冷たく水っぽい感じ。典型例です。陰性食品を制限。鍼治療は、八邪と灸、天宗に吸い玉、頸背部の凝りに置針。漢方薬は、裏寒に温裏剤、利水剤を投与。灸はカマヤミニ(弱;49度、中;51度、強;53度)弱と中は熱感なし。強でも熱感なし。普通の人は「熱いから止めて」と言いますよと説明するも意味不明、実感できないからか?で怪訝な顔つき。左手指でお灸を触って貰うと、「熱い」と一言。「冷えている人は熱く感じない」と言うとビックリ顔で「私の右手は冷えている。先生が言っているのが本当だとわかった?」と。徐々にお灸の熱さがわかるようになりました。1ヵ月後、右手のシットリ水っぽい感じは軽減し、シビレの範囲は手掌から指先のみと狭くなっています。もし水が溜まれば、指先より中枢へ床上浸水理論、治る時は床下へ水が引いて行く感じ。典型的な治り方です。ゴール間近と思われます。

 

【コメント】
シビレは、西洋医学では神経がらみの症状、東洋医学では『水毒』。この考えと概念・治療法でほとんどの方のシビレを解消できますから、≪『水毒』で間違い無い≫と思っています。シビレに対しては東洋医学の方が、治療効果が高いのではないかと一人勝手に愚考しています。

 

 

 

(症例3)70歳、女性

 

C.C.;右足のふくらはぎの違和感

 

P.I.;昨年2月頃から台所仕事などをすると、冷たいものがふくらはぎに下がってきて、痛みも起こり30分ともたない。途中で休まなければならない。立ち仕事のみで歩くのには支障ない。近医では、年のせいと言われ湿布をもらったが、変わらない。主人が漢方と鍼治療で足の具合が良くなり、薦められて受診。

 

治療&経過;陰性食品を制限。鍼灸治療は調気、足三里に灸頭針、肘関節の膝三穴に置針して、遠位置針ー患部運動療法、頸背部の凝りに置針。漢方薬は裏寒に人参湯合真武湯、右ふくらはぎは圧痛強く、九味檳榔湯に大黄牡丹皮湯、通導散などを投与。すると2週間後、立ち仕事30分でくるお決まりの症状がこなくなった。1ヵ月後かなり楽になった。

 

【コメント】西洋医学では積極的な治療方法がなかった方です。この方は、利水剤と駆瘀
血剤の投与が奏功しました。(症例1)同様瘀血の概念とその治療方法が奏功しました。西洋医学でうまく対応できないときには、東洋医学も知っていると医者も患者も救われます。

 

 

 

(症例4)49歳、女性

 

C.C.;左頸部痛、不眠、めまい、ふらつき、全身のだるさ、食欲低下、視力低下

 

P.I.;8ヵ月前の交通事故後、左頸部痛は治らず、他にもいろんな症状がでてきた。更年期障害もあると言われた。事故は終わりにしたが、体の調子が悪く、漢方や鍼治療でどうにかなるかと思い受診する。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気、足三里に灸頭針、丹田に棒灸、胸鎖乳突筋の圧痛強く横刺施行。漢方薬は駆瘀血剤投与し、その後六君子湯、葛根加朮附湯、桂枝茯苓丸、黄連解毒湯等を投与。10日後、かなりよい。寝れているので、違って来た。頸部痛は範囲が狭くなった。小陽経なので、奇経療法で手小陽三焦経の外関、足小陽胆経の圧痛部に円皮針を貼る。直後に頸部の運動をしてもらうと、ゴキゴキ音がしていたのが無くなり、痛みも大分良いとの事。2週間で当初の3/10。波がありながら、治療継続中です。その後、天気で左右され、気温がさがると良くないと訴えがあり、湿を飛ばす意味で、頸部夾脊穴に灸頭針施行。劇的に効果があり天気で左右され、気温がさがると良くないとの訴えが無くなりました。

 

【コメント】

交通事故後の①左頸部痛、②不眠、③めまい、④ふらつき、⑤全身のだるさ、⑥食欲低下、⑦視力低下が愁訴です。西洋医学一辺倒であれば、不定愁訴の羅列でどこから手をつけてよいのやら?で、『おてあげ』『逃げる』『前医へ戻す』『丁寧に断る』です。
が東洋医学でこれらの愁訴を紐解いて分解してみると、
①左頸部痛ー血熱がらみ、経絡は太陽膀胱経または小陽三焦経か或いは奇経でいけるかも
②不眠一人の正常は頭寒足熱、頭熱足寒で不眠となる。臓腑では心
③めまいー血虚或いは腎虚
④ふらつきー水毒、血虚
⑤全身のだるさー脾虚
⑥食欲低下ー脾虚、経絡は陽明胃経や太陰脾経
⑦視力低下ー血虚、臓腑は肝、経絡や穴位でもせめれる

 

上記の如く、西洋医学では不定愁訴と思われる症状も、東洋医学用語に変換すれば『宝の山』と化しあらゆる方向からアプローチできます。治療側の経験や得意分野から攻めるも良し。漢方でせめるも良し。経絡や穴で攻めるも良し。
②不眠;人の正常は頭寒足熱、頭熱足寒で不眠で、黄連解毒湯で寝れるようになっています。
⑤全身のだるさ、⑥食欲低下は脾虚。六君子湯と経絡;陽明胃経や太陰脾経を使い早々に軽快。
③めまい、④ふらつきはいつの間にか改善していました。
⑧視力低下は、目周囲の針と肝経とその穴位で、これもまたいつのまにか改善。
①左頸部痛ー漢方薬と鍼治療で攻め、範囲がせばまり痛い部分がハッキリしてきました。奇経療法で攻め、手足の小陽経の穴に皮内針を施行。手の小陽三焦経の外関に皮内針を施行し、頸部の運動してもらうと少し良いと。さらに足の小陽胆経の圧痛部に皮内針を施行し、頸部の運動してもらうと「全然違う」と一言あり。西洋医学の常識では考えられないことですが、この治療法は再現性があり、確率もたかいと愚考しています。経絡を使って効果を発揮していますから、経路の存在を示し、経路が機能していること証明するものだと一人勝手に愚考しています。痛み止めや湿布の比ではありません。

 

その後、天気で左右され、気温がさがると良くないとの訴えがあり、湿を飛ばす意味で、頸部夾脊穴に灸頭針施行。劇的に効果があり天気で左右され、気温がさがると良くないとの訴えが無くなりました。交通事故による頸椎捻挫の方には、この頸部夾脊穴への灸頭針で著効例をよく経験します。

 

 

 

(症例5)79歳、男性

 

C.C.;仰向けに寝ると肩甲骨が痛い

 

P.I.;10年位前から仰向けに寝ると肩甲骨が痛くて困り、諸々の医療機関を受診したが原因は分からず、治療も色々してみたがパットせず、諦めてもっぱら横向けで寝ている。ヒョットしたら、漢方や鍼治療でどうにかなるかと思い受診。

 

治療&経過;夜中の2時から5時までが体温も気温も一番下がるのでーー。『冷えると痛む』と説明するも?。先ず陰性食品を制限。漢方薬は腹は冷たく、裏寒として人参湯、大建中湯、葛根加朮附湯を投与。鍼治療は痛みの部分が太陽膀胱経なので、遠位療法として、奇経の手太陽小腸経の後溪と足太陽膀胱経の申脈を利用して治療。少し良いが効果今一つ。近位療法に変えて、肩甲骨内上角と太陽膀胱経の崑崙に円皮針を施行。すると1週間後かなり良い。2週間後「痛くない、仰向けに寝れる。」と不思議そうに嬉しそうに言われました。3週間で治癒。

 

【コメント】

西洋医学の治療で改善なく諦められていた方です。診方をかえると3週間で解決できました。東洋医学の経絡の概念とその治療法が奏功しました。日常臨床では、経絡を知っていると、その場で解決できることをしばしば経験します。此のかたも、東洋医学治療の恩恵を被られ、受付事務に『東洋医学があるという事を知らない人が沢山いるよ!』と言われ、『広めて欲しい』と言われたそうです。

 

 

◆◆次いで、私の専門は何科?だったか忘れた?ような症例

 

(症例1)58歳、女性

 

C.C.;尿の回数が多い

 

P.I.;1年位前から、尿の回数が多くなり、近医で過活動膀胱と診断され治療しているが一向によくならない。冷房のなかにいると益々ひどくなる。9月に入って、気温が下がってからは、夜中に5~6回トイレに起きて困っている。知人から漢方や針灸治療でも治療できるらしいと聞き、受診。

 

治療&経過;尿の回数が多いのは、東洋医学では『腎虚』や『体が冷えるのが嫌だから水を対外へ出す治癒反応』と説明。陰性食品を制限し、針灸治療は冷えに対して、灸を中心に加療。三陰交にカマヤミニ灸施行。膀胱の腹部愈穴と背部暮穴にも灸を施行。漢方薬は裏寒に温裏剤、冷えに対して甘草・乾姜製剤を投与。すると4日後尿の回数は軽減。かなりよいとのこと。『私は、水分を余計に取り、体を冷やす食事ばかりで逆のことばかりしていた』と言われました。9月中旬気温が下がっても、夜中のトイレは1回くらいで助かっているとの由。10日で治癒。気温が下がってくると、お灸をすると身体が温もり、調子が良いと、その後も時々受診されます。

 

【コメント】

この方の様なケースは結構あります。西洋医学の治療を長らくされても、今一つパットしない方がみえられます。日常生活で体を冷やす陰性食品を知らず摂取されているのが、最大の原因ですので、それを教えて制限し温めてあげるとスーット治っていかれます。『冷え』や『陰性食品』や『温める治療法』という概念・手段を西洋医学は持ち合わせていないので、対応が今一つかと愚考しています。

 

 

 

(症例2)32歳、女性

 

C,C,;頸下のニキビと湿疹

 

P.I.;3年位前から頸下のニキビと湿疹が出現。幾つかの医療機関で治療したが一進一退で治らないのでーー友人から薦められて受診。

 

治療&経過;皮膚病は、東洋医学では排泄現象と説明。慢性皮膚病には、甘い物と白い物はタブーと説明。陰性食品を制限。鍼治療でも皮膚病の治療はできますと説明するも?。漢方中心を希望される。口の周りは経絡では、胃と大腸なので六君子湯をベースに加味逍遙散、芎帰調血飲を投与。2週間後ひどくはなっていない。1ヵ月後、生理の時に黒い塊が沢山でてビックリし、婦人科で検査してもらったら卵巣に小さな囊胞があると言われた。2週間後、かなりきれいになってきた。「生理の時に黒い塊が出たのと関係があるのですか?」と聞かれたので、「黒い塊は東洋医学では瘀血」と説明し、西洋医学には無い概念と治療法ですが、瘀血が排泄されると、グット体調が良くなり、諸々の不快な症状が軽減消失することはよく経験しますと説明。

 

【コメント】

中国では、皮膚病は鍼治療がファーストチョイスだそうです。日本人には、「そんな事信じられない」と思われますが、ジンマシンは鍼治療でその場合で引くこともありますし、帯状疱疹の痛みや違和感も鍼治療直後に消失することを度々経験します。アトピーの痒みも鍼治療で簡単に軽減します。知らないという事は本当に損です。

 

 

 

(症例3)64歳、男性

 

C.C.;よだれと足の冷感・むくみ

 

P.I.;6年前に脳梗塞で左半身麻痺。現在は車椅子生活。2/週デイサービスに行っている。よだれと足の冷感・むくみは、治療法は特に無いと言われた。漢方などで良くならないかと考え、受診。

 

治療&経過;「よだれ」は「胃腸が冷えている人に起こる」と説明。「足のむくみ」は「水分とりすぎ」と説明。足はパンパンで冷たく皮膚はつまめませんでした。又目が充血しているので、人の正常状態の頭寒足熱が頭熱足寒となりバランスが狂っていると説明。舌は苔が真っ白、腹は触ると氷のように冷たく裏寒。冷えが強いので、灸治療がよいと薦め、納得のもとの棒灸、灸頭針、カマヤミニ施行。陰性食品の制限を指示。漢方薬は裏寒に温裏剤、浮腫みに利水剤投与。2週間後、よだれはとまり、足の冷感・浮腫みもとれ、足は触ると温かで皮膚もつまめました。目にも力が出て来ている印象でした。

 

【コメント】

西洋医学で積極的にアプローチできない症状でも、診方をかえるとアプローチできます。そして患者様には、満足度を提供できます。色々な治療法を知っておくと、便利で救われます。

 

 

 

(症例4)71歳、女性

 

C.C.;喉の詰まり、頭のかゆみ、あちこちの痛みー薬があわない

 

P.I.;病気を沢山もっている、C型肝炎、リウマチ、逆流性食道炎、腰痛、頭と腕のかゆみ等。喉の詰まりは複数の医療機関を受診し治療するも不変。気になって仕方がない。友人から鍼治療や漢方薬で治療してくれる所を知ってるよと助言されて受診。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。お茶の先生で茶が大好きとの由ですが、茶は人を冷やすので「止めた方が良い」と説明。鍼治療は調気し、喉の詰まりには内関、天突、太衛、膻中、豊隆などに置針。直後に喉の詰まり少し違うと一言あり。頸背部の凝りに置針。漢方薬は六君子湯、半夏厚朴湯、六味丸等を投与。2週間後喉の詰まりはほとんど気にならない。頭のかゆみも良い。腹痛も良い。あちこちの痛みもなくなった。調子よい。しばらく漢方と針灸治療を続けたいと継続中です。

 

【コメント】

喉の詰まりで数年間苦しまれた方です。西洋医学では、ヒステリー球、咽喉頭異常感症、東洋医学では梅核気。今から1800年前に書かれた『傷寒雑病論』の『金匱要略』には「婦人、咽中に炙■有るが如し、半夏厚朴湯、之を主る」と有り、人の体は2000年前とあまり変わっていないようです。数年間苦しまれた症状が、2000年前の理論に従って、鍼治療と漢方治療をすることによって、2週間足らずで、軽減しています。この方の様に数年間悩まされた各科に及ぶ諸々の症状が、短期間で解決出来る事をしばしば経験します。其の都度、治療学としての東洋医学の素晴らしさに感動し、古人はどうやってこの治療体系を作り上げたのかと不思議に思います。そして、平成の時代、医療従事者も患者様も、西洋医学とは全く別の体系の医学が過去から存在し、使い用では効果的だということを知りません。どうにかして、東洋医学の素晴らしさが広まればと思っています。

 

H27. 10/7 投稿

43.東洋医学の小経験 ー左上半身;頸部・脇・肩・肘・手関節・指が痛いへのアプローチー ーそれからわかる2~3の事柄ー

 

東洋医学の小経験

 

ー左上半身;頸部・脇・肩・肘・手関節・指が痛いへのアプローチー

ーそれからわかる2~3の事柄ー

 

第4部 東洋医学ひぐちクリニック

 

樋口 理

 

 

 西洋医学一辺倒の時、臨床では、日常茶飯事『私は何時も左が痛む』又は『私は何時も右が痛む』と言う声を聴きますが、その原因に違いがあるなどとは考えも及ばず、全く意識せず「使い過ぎ」「働き過ぎ」「年のせい」「気のせい」等と考えて、痛みが止まらなければ、より強い痛み止めを処方していました。

 

 東洋医学の門を叩き、漢方薬や鍼治療を実践していく中で、右の痛みと左の痛みではその原因が2000年前から違うという事を古人は観察の結果知っていた。従って使用する薬剤も違うという事を知り、実践してみるとドンピシャリ。その原因を教えてあげて治療すると、症状の軽減消失を短時間でみます。これを経験すると、西洋医学一辺倒の時、≪自分は、一体何をしていたんだろう?≫という疑問が起こります。そして、『痛みを治す』と『痛みを止める』とは全く別次元の問題で、どちらが本当なのだろう?という疑問が再度起こります。

 

 左上半身;頸部・脇・肩・肘・手関節・指が痛い、おかしいという症例が大部溜まりましたので、その治療方法と結果を報告致します。そしてそれらからわかった2~3の事柄を示します。

 

 

 

(症例1)34歳、女性

 

C.C.;左頸部痛

 

P.I.;交通事故で受傷後、痛み止めや湿布で治療していたが、段々ひどくなっている感じがするので、治療方法を変えようと受診される。受傷後1ヵ月でした。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。痛み止めや湿布は冷やすので中止と指示。鍼治療は調気(四関穴、三気海)し、頸背部の凝りに置鍼。胸鎖乳突筋の圧痛強く、横刺施行。漢方薬は、駆瘀血剤を投与。黒色便が出たのを確認後、疎経活血湯、桃核承気湯を投与。3日後左頸部痛消失。朝起きるときの感じが全然違うとの由。頸部の動きも良くなったとー左後ろを振り向けなかったのができるようになったとの弁あり。治癒。

 

【コメント】
痛み止めと湿布で治療していて今一つが、鍼治療と漢方薬に変更すると3日で治癒でした。此のような症例を経験する度に、痛み止めと湿布は本当に『痛みを治す』治療なのか?という疑問が芽生えてきます。
東洋医学では、『冷えると痛む』『通じないと痛む』がTRUE真実で、治療方法は、『温める』・『通じさせる』です。痛みと湿布には、消炎・鎮痛・解熱効果がありますが、解熱効果がありますが、解熱効果は『冷えると痛む』に対しては更に冷やし逆効果となります。(私の独断と偏見が多々加味されていますが)

 

 

 

(症例2) 47歳、男性

 

C.C.;左頸部痛~上腕痛とシビレ

 

P.I.;1年前から左頸部痛~上腕痛とシビレが出現。昼の12時と午後4時に痛みとシビレのピークがくる。仕事中でも、横になって休まないといけない位辛い。
△リ△とト○ム○ッ○を8錠(1日の倍量)服用しているが効かない。治療していても痛みが引かないので、漢方や鍼治療でどうにかなるならと思い受診

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気(四関穴、三気海)し、頸背部の凝りに置鍼。胸鎖乳突筋の圧痛強く、横刺施行。漢方薬は裏寒に人参湯合真武湯、胸脇苦満強く四逆散を投与。1週間後、痛みのない日が2日あった。痛みやシビレの範囲が狭くなってきた。胸脇苦満の消失を待って、漢方薬変更。疎経活血湯、二朮湯を中心に左の痛みは血熱と考え、桃核承気湯を少量加味。すると3週間後には、どうしようもない昼の12時と午後4時の痛みシビレは軽減し、休まなくても良くなった。当初の5/10以下。その後、雨前に少し悪くなるとの訴えあるも、日常生活上の支障無くなり、自然廃薬。

 

【コメント】
痛み止めを1年間服用されても、とれなかった痛みやシビレが、治療方法を変えてみると、約1カ月で、日常生活に支障のない状態までになりました。このような症例を経験する度に、西洋医学以外の治療法も選択肢としてある事を啓蒙する必要性を痛切に感じます。
そして、西洋医学と東洋医学には守備範囲があるのではないかという疑問が芽をもたげて来ます。私の拙い経験から、慢性疾患には東洋医学の『温める治療法』が非常に優れているのではないかとーーーこの様な症例を経験するたびに愚考しています。

 

 

 

(症例3)36歳、男性

 

C.C.;左頸部~肩痛

 

P.I.;10年前から左頸部~肩痛があり、複数の医療機関で検査したが、異常はないと言われた。治療法は痛み止めと湿布。仕事中に湿布をしても痛みは治まらず、辛い。わしずかみにされる感じがある。西洋医学以外の治療法と考え、当院のホームページを見て受診。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。湿布も冷やすので使用中止を指示。鍼治療は調気(四関穴、三気海)し、頸背部の凝りに置鍼。左背部には吸い玉施行。漢方薬は胸脇苦満強く、四逆散投与。胸脇苦満の消失をみて、疎経活血湯、二朮湯を中心に桃核承気湯を少量加味。1週間後、当初の5/10以下。左の胸鎖乳突筋の圧痛強く、横刺施行。直後にスーットしたとの弁あり。3週間後、ほとんど痛まなくなった。治癒。

 

【コメント】
10年間の症状が、湿布を止めさせて、治療法を変えると、3週間で治癒。このような症例を経験するたびに、早く治る治療法があるのにーーー「現代に生きる日本人は、自らこの治療法を葬り去ろうとしている」--呉澤森先生のお言葉ですがーー同じアジアの国の方が日本の惨状をみられて思われる。昔の私は一体何をしていたんだろうと思います。人間は一つの事(西洋医学のみ)しか知らないという事は、一度しかない人生、多大なる損失だと思います。山に登るのに、東西南北どこからでも登れると、景色の見え方も違ってくるのではないかと考えています。

 

 

 

(症例4)45歳、女性

 

C.C.;左上腕内側の違和感(シビレ)

 

P.I.;3年位前より、毎日夕方4~5時くらいになると左上腕内側の違和感(シビレ)が起こってくる。複数の医療機関で検査したが原因はわからず治療法もないと言われた。又自立神経失調症とも言われた。漢方薬局でサフランが良いと薦められて飲んでいるが全くかわらない。漢方と針でどうにかなりますかと依頼あり。

 

治療&経過;陰性食品を制限。鍼治療は調気、頸背部の凝りに置針。漢方薬は日本漢方の胸脇苦痛として、紫故剤(四逆散ベース)を投与。後日来院、3日後には症状消失し、「不思議だ」と。「3年間は一体なんだったんだろう」と一言あり。

 

【コメント】
脇と上腕内側の痛みや違和感は、日本漢方の胸脇苦満として紫胡剤(四逆散ベース)を投与すると、ほぼ全例で3日以内に反応があります。再現性はありますし、著効をしめします。痛み止めや湿布の比ではないと愚考しています。

 

 

 

(症例5)62歳、男性

 

C.C.;左肘関節痛

 

P.I.;5年位前から左肘関節痛があり、使い過ぎと言われ、痛い時には注射をしていたが、すぐに痛みがでてくる。本当に治したいと思い、漢方や鍼治療でどうにかなるならと依頼あり。
仕事は元ボイラー関係で水分はよくとる方である。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は左手に八邪、天宗に吸い玉、頸背部の凝りに置針。肘関節は小陽三焦経に圧痛あり。『上病下取、陰陽交差』の原則に従い、右足の厥
陰肝経の太衝に針刺し、遠位置針ー患部運動療法を施行。直後にタオルのしぼりの動作をしてもらうと大部違うとの由。太衝が効果的なので、皮内針を置針し、1回/日、50回穴を押すように指導。漢方薬は、六君子湯、薏苡仁湯などを投与。1週間後タオルしぼりはよくなった。重量物をかかえると痛む。桃核承気湯を加味。3週間後、重量物をかかえても困らなくなった。治癒。

 

【コメント】
5年来の左肘関節痛が東洋医学治療に変えて、約1ヵ月で治癒。この方は鍼治療の穴;太衝が効果的でしたから、鍼治療だけでも十分いけたかもしれません。このような症例を経験するたびに、経過の長い慢性疾患には東洋医学の方が優れているかもしれないと、一人勝手に愚考しています。

 

 

 

(症例6)28歳、女性

 

C.C.;左手関節痛

 

P.I.;4~5年前から左手関節痛が出現。整形外科で注射をだいぶしたが不変。整骨院や鍼治療もしたが不変。料理で鍋やフライパンを持つのにも支障をきたす。どうかすると夜中にウズイテ寝れない。左手関節は硬い感じがしてギシギシ音がする。拝む格好もしにくい。机に手をつくのもしにくい。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。左手には八邪と刺絡後吸い玉施行。頸背部の凝りに置針。漢方薬は六君子湯、薏苡仁湯をベースに桂枝茯苓丸、疎経活血湯等を投与。すると1ヵ月後、手のギシギシ感が軽減、調子よく外食で水分とりすぎて、疼痛増強。3か月後、日常生活の支障はかなり減っている。当初の4/10。左は血熱と考えて、黄連解毒湯を加味。するとそれまで一言も言われてなかった「いつも夜中に目が醒めて、胸にグットきていたのがこなくなったと」さらに手首の硬さがとれ、軟らかさがでてきたと。半年後ほとんどきにならない。治癒廃薬。

 

【コメント】
4~5年来の左手関節痛が約6ヵ月の治療でほぼ治癒。左には心臓があり365日24時間動いています。筋肉は使うと熱を持ちます。(野球のピッチャーは、投球後氷りでアイシングします。)人の体にもクーリングシステムがありますが、破綻すると左の症状が出現すると東洋医学では考えます。(私の独断と偏見が多々加味されていますがーー)筋肉が熱を持ち、それが血に及び血熱の状態。血熱を冷ます漢方薬を使うと効果的です。

 

 

 

(症例7)61歳、女性

 

C.C.;両方の示指関節痛

 

P.I.;2年位前から、両方の示指関節痛が出現した。手を使い過ぎたり、物に当たると痛む。天気が悪いときもよくない。近医ではヘバーテン結節といわれ、湿布や痛み止めをしているが、一向によくならない。友人から紹介されて受診。

 

治療&経過;関節痛は東洋医学では「水毒」と説明し、半信半疑ながら治療開始。陰性食品の制限を指示。鍼治療は手に八邪、肘に灸頭針、頸背部の凝りに置針、天宗に刺絡後吸い玉施行。漢方薬は裏寒に附子理中湯、薏苡仁湯をベースに桂枝茯苓丸等を投与。1週間後腫れが減ってきた。私は、みてもあまり分かりませんでしたが。便秘もあるので、一緒に治療して欲しいとの要望で、大黄甘草湯、麻子仁丸等を投与するも今一つ。桃核承気湯を投与。すると便秘も好調。半年後、さらに示指関節痛も軽減し、使っても痛くならない。物に当たっても痛くない。「今年の夏は湿気が多く、台風もきたが、いままでとは全然違う。」との弁がありました。

 

【コメント】
疼痛に対しては、西洋医学では治療法は全て痛み止めです。一方、東洋医学では、『冷えると痛む』『通じないと痛む』が大原則で、治療法は『温める』『通じさせる』です。ただし、左の痛みに対しては、普通の治療法で経過が思わしくない時に、『血熱』と考えて対処するとうまく行くことをしばしば経験します。色々な治療法を知っておくと、助けられ救われますから、お薦めです。

 

 

 

◆症例のサマリー◆

部位                経過    治療機関    治療法

(1)頸部           1ヵ月      3日           駆瘀血剤&針

(2)頸部&上腕   1年         3週間         血剤

(3)頸部~肩     10年         3週間        血剤&針

(4)上腕内側      3年        3日           紫胡剤

(5)肘関節        5年        3週間         血剤&針

(6)手関節        5年        6カ月         血剤&針

(7)指関節痛      2年        6カ月         血剤&針

 

 

◆◆症例からわかった2~3の事柄◆◆

 

①頸部;胸鎖乳突筋の圧痛が重要、横刺が効果的。

 

②脇と上腕内側の症状;紫胡剤が著効。3日以内に反応あり。

 

③左頸部・肩・肘・手関節・指;経過が長い例は、あるいは西洋医学では対応困難ならば東洋医学治療に変えて、針治療と血分薬を加味すると効果的である。

 

④鍼治療と漢方薬を併用すると、治療機関の短縮がはかれる。(経絡は知らないと損)

 

⑤慢性例に効果的だから、新鮮例に初めから施行すると、もっと効果的であると予想される。

 

 

##参考;東洋医学見聞録、西田晧一著、医道の日本社##

ストレス疾患の頸背部過敏点

(1)督脈;唖門、風府、大椎、陶道、身柱、神道、霊台、至陽、筋縮など

(2)膀胱経;天柱、膏盲、膈愈など

(3)胆経;完骨、風池、肩井など

(4)頸背部の夾脊穴、椎骨の骨際

(5)奇穴;安眠穴、百労四穴、健脳など

(6)精神的緊張⇨胸鎖乳突筋が凝ってくる

 

H27.9/18投稿

42.東洋医学の小経験 ー帯状疱疹&帯状疱疹後神経痛へのアプローチー ーそれからわかった2~3の事柄ー

 

東洋医学の小経験

 

ー帯状疱疹&帯状疱疹後神経痛へのアプローチー

ーそれからわかった2~3の事柄ー

 

第4部 東洋医学ひぐちクリニック

 

樋口 理

 

 

 帯状疱疹は、西洋医学では免疫能が低下したさいに生じる疾患とされています。一方東洋医学では、『水毒』。ウィルスの力を借りて余分な水を皮膚表面から排泄しようとする治癒反応と考えます。西洋医学の常識とはどうかすると全く反対の考え方ですが、この治癒反応の観点から帯状疱疹の新鮮例や帯状疱疹後神経痛へのアプローチの症例がだいぶたまり、治療を経験された方々が口々に経過が早く痛みも早くとれると言われていますので、症例を報告致します。前回報告9例も速攻でした。(疼痛は鍼治療直後に軽減消失し、水疱は3日で枯れます)

 

 ただし、私自身が西洋医学の抗ウイルス剤や鎮痛剤を使用した経験は全くありませんので、その治療経験を私の中で比較することは出来ません。患者様が、西洋医学と東洋医学の治療方法を両方経験され、その結果を比較されたものです。悪しからず御了承下さい。しかし、その中に本当の真実があるものと考えています。

 

 

 

(症例1)中◎枝◎、68歳、女性

 

C.C.;右背部の水疱と痛み

 

P.I.;27.5.7.朝右背部の水疱と痛みに気付く。以前帯状疱疹にかかったことがあるので、すぐにピーンときた。以前は痛みがひかず、約2カ月かかったので、---。漢方と鍼灸でも治療できると知っていたので5.7.受診。

 

治療&経過;右背部肩甲骨の下部に水疱形成巣(+)右脇にかけても幾つかある。発赤も軽度ある。水疱形成巣の周囲に皮内鍼を放射状に刺入。肋間より位置を確認して、それぞれの夾脊穴(棘突起の下で両側に0.5寸)に灸頭鍼を施行、同時に刺絡後吸い玉施行。漢方薬は葛根湯加朮附湯、五苓散を投与。翌日痛みはほとんどない。同じ治療。3日後水疱は、ほとんど枯れ、右肩を挙げると右脇が痛む。帯脈に鍼治療施行。挙上司となる。5.18.治癒。家族や友人から、漢方と鍼ではなく、皮膚科で点滴を痛み止めをのまないと良くならないと、苦言を沢山言われたそうです。が、治療経過をみて苦言を言われた方々は、全く違う治療法があるとは知らなかったと言われたそうです。そしてこの治療法は早くて良いと。

 

【コメント】
私自身、帯状疱疹の西洋医学治療の経験は全くありませんが、鍼灸治療と漢方治療や刺絡後吸い玉施行を行うと、患者様は口々に痛みが無く、経過が早いと言われます。この方は帯状疱疹は2回目です。前回は、2回/日の点滴注射をして、痛みがひかず夜も安眠できず、2週間ちょっとは非常に辛い思いをされ、約2カ月かかったそうです。今回の治療では、痛みは鍼治療直後に軽減し、翌日には殆ど消失。3日後水疱は、ほとんど枯れ、5.18.治癒ですから、11日間の治療でした。経過もすこぶる早く短期間ですんでいます。帯状疱疹で悩み困っている方々は沢山おられると考えます。この治療法が普及すれば、多くの方々が早期に多大の恩恵を被ると思われます。治療法が一つしかなく、他に選択肢がないというのは、片手落ちです。治れば治療法はなんでもよいと思われます。

 

 

 

(症例2)Y.Y.,15歳、女性

 

C.C.;左肩の水疱と痛み、ヒラヒラ感

 

P.I.;平成27年7月30日左肩の水疱と痛み、ヒラヒラ感が出現。母親が見て、祖母の帯状疱疹の経験からピーンときて、診断。当院でも帯状疱疹の治療ができて経過がすこぶる早く良いと知っていたので、7.30.受診。左肩に水疱形成2カ所、前胸部に1カ所あり。初赤(+)

 

治療&経過;左肩に水疱形成2カ所、前胸部に1カ所あり。皮内鍼を放射状に刺入。直後に痛み、ヒラヒラ感は消失。漢方薬は葛根湯加朮附湯、五苓散を投与。翌日まだ発赤残存。8月4日から旅行の予定があるとの由。発赤は余分な水を飛ばすために治癒反応として、自分でアイロンをかけていると説明し、水疱形成の周囲にカマヤミニ灸を施行。するとへんな違和感がとれて良いとの事。2回/日カマヤミニ灸を施行。8.3.水疱はやや枯れ、発赤は茶色となり、症状は軽減。8.4.早朝に旅行へ行かれました。8.5.メールで調子良い。痛みも違和感も無く、水泡は枯れている。8.7.帰省。8.10受診。旅行中は、どうもなかった。水疱は枯れ、どうもない。皮内鍼を抜き治癒。

 

【コメント】
(症例1)に続き、帯状疱疹の新鮮例です。陰極まれば陽となる。東洋医学の立場からは、人体は、余分な水で冷やされるのを嫌がるので、ウィルスの力を借りて、余分な水を飛ばそうとする治癒反応です。半生乾きの衣類にアイロンをかけると乾きます。この意味で、お灸をしました。そうすると、治癒反応が促進され、水泡は枯れ、赤みもとれ、旅行にも行けました。この間5日です。
 祖母の方の帯状疱疹の経過を開くと、3週間はうずいて苦痛顔貌が続き、夜間も疼痛のため悩まされ、約6カ月かかったそうです。『冷えると痛む』が真実で、治療法は『温める』です。西洋医学には、『痛みは止める』で温める治療方法がありません。従って、此祖母の例のように長引く症例があると思われます。『温める』でいけば、本当に速攻です。

 

 

 

(症例3)内◎政◎、32歳、男性

 

C.C.;口の周りのヘルペス

 

P.I.;数年前から、時々口の周りにヘルペスができるようになった。今回も2日前からできて、ピリピリするような違和感がある。母親が鍼と漢方で早く治ったので薦められて受診。

 

治療&経過;皮膚から盛り上がる水疱は余分な水を排泄する現象と説明し、陰性食品の制限を指示。経過は母親からも聞かされたが、鍼と漢方で3日で枯れる方が圧倒的に多いと説明。ヘルペス周囲に皮内鍼を放射状に刺入、直後に違和感は消失。漢方薬は五苓散を投与。3日後受診、水疱は枯れ、どうもない。以前の治療経過とは、全然違うと言われました。さらに2日分処方し、治癒。

 

【コメント】
口の周りのヘルペスは、もう10例以上と思います。皮内鍼を放射状に刺入すると、直後に違和感は消失。漢方薬は五苓散を投与。全例皮内鍼を放射状に刺入、直後に疼痛や違和感は軽減消失し、3日で水疱は枯れます。再現性は100%、期間は短時間で済みます。

 

 

 

(症例4)◎野◎ツ◎、70歳、女性

 

C.C.;左肩背部のウズク激痛で夜間不眠

 

P.I.;7月6日頃から左肩が挙らなくなったが、放置。昨日夜から急に背部のウズク激痛で夜も眠れなくなった。8月5日受診。

 

治療&経過;左背部を診ると、水疱形成(+)、発赤(+)。陰性食品(緑茶9杯、水8杯、バナナ)を制限。帯状疱疹と考え、経路に沿ってカマヤミニ灸を施行。刺絡後吸い玉施行。漢方薬は疼痛強く、二朮湯に疎経活血湯を合方し桃核承気湯を少量加味。8月7日肩のウズキは取れ、疲れるから大助かりと。

 

【コメント】
治療反応を助長するために、経絡に沿って、カマヤミニ灸を施行。刺絡後吸い玉施行。漢方薬は、二朮湯に疎経活血湯を合方し桃核承気湯を少量加味。東洋医学では、帯状疱疹はウィルスの力を借りて余分な水を皮膚表面から排泄しようとする治癒反応と考えます。西洋の新鮮例や帯状疱疹後神経痛へのアプローチの症例がかなり溜まり、全例に早期に疼痛軽人体の治癒反応の結果としての観点から治療すると経過が早いので、原因とみて治療戦略をたてている西洋医学はヒョットすると間違った方向に向いているのではないかと帯状疱疹の治療を経験するたびに、愚考しています。

 

 

 

(症例5)入◎力◎ミ、78歳、女性

 

C.C.;左肩の帯状疱疹後神経痛

 

P.I.;1年前左肩の前後に帯状疱疹出現。皮膚科で点滴をして、治療したが、今なお痛みが続いている。雨の前にはうずくし、刺すような痛みがある。朝起きるときはビリビリ・ジカジカする。夕方歩く時もビリビリする。治療しているが全然よくならない。漢方薬や鍼灸治療でどうにかなりますかと平成27年6月13日受診。

 

治療&経過;帯状疱疹は東洋医学の立場では、『水毒』と説明。皮膚から盛り上がる余分な水をウィルスの力を借りて排泄する治癒反応と更に説明。湿度の上がる雨前に痛むのは『水毒。』陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気し、左肩背部に置鍼、カマヤミニ灸、吸い玉施行。漢方薬は裏寒に附子理中湯、帯状疱疹後神経痛に対して葛根加朮附湯、桂枝茯苓丸加薏
苡仁を投与。4日後、刺すような痛みは我慢しやすくなった。朝夕のビリビリ感がちがってきた。今年は台風が多いが、雨前の感じも楽になってきた。自宅でも、お灸を指導。約1か月半後、当初の2/10位、かなり良い。こんな治療法があるなんて、思いもしなかった。

 

【コメント】
(症例1)、(症例2)、(症例3)、(症例4)は、帯状疱疹の新鮮例で共に、皮内鍼やお灸や灸頭鍼で熱を入れ、早朝に疼痛は軽減し水疱は枯れ、治療をみました。3例共西洋医学の治療経過と比べて、明らかに疼痛は早く消失し、早期に治療に至っています。此の治療法の根本概念は『水毒』。それに対する熱で、アイロンをかけるの意味です。これで、非常に早い経過を示しました。そして、帯状疱疹後神経痛に対しても、同じ戦略でお灸で熱を入れていきました。(症例5)もお灸で熱を入れることにより、水が飛ばされ、経絡が通じて約1ヵ月半後、当初の2/10位、かなり良い。こんな治療法があるなんて、思いもしなかった。と西洋医学の治療経過と比較されています。患者様が経験されて言われる事が真実、trueと私は思います。帯状疱疹の本態は『水毒』。そして患者様にとっては、西洋医学、東洋医学とその名前は関係なく、早く治れば何でも有り。何にも拘る必要無し。

 

 

 

(症例6)松尾ユミ子、72歳、女性

 

C.C.;肛門周囲~左大腿骨後面の帯状疱疹後の痛み

 

P.I.;5年前に肛門周囲~左大腿後面の帯状疱疹にかかり、皮膚科で治療した。その後、梅雨どきなど湿気の多い時期に、よく再発する。痛み止めではよくならないのでーーーー。知人より漢方と針灸治療を薦められて平成27.7.3.受診。今年の梅雨も再発し、痛みのため仰向けに寝れない。自転車やバイクに乗れない。朝起き始めがよくない。

 

治療&経過;東洋医学では、湿気の多い時期に悪くなる疾病は、『水毒』と説明。陰性食品の制限を指示。鍼治療よりも灸治療の方がより良いと説明し、患部を中心にカマヤミニ灸を施行。最初は熱く感じませんでしたが、其のうち熱く感じるようになり、火鍼や吸い玉も施行。漢方薬は、裏寒に附子理中湯、帯状疱疹後神経痛に対して牛車腎気丸、桂枝茯苓丸加薏
苡仁、駆瘀血をパワーアップするために、大黄牡丹皮湯や通導散を加味。すると、朝の症状が和らぎ、今年は台風が多く湿度も高い日が多かったわりには、楽で7月中旬には、自転車にも乗れるようになり、次いでバイクにも乗れるようになりました。7月末で当初の3/10。日常生活上の支障はかなり減っています。此の方も、こんな治療法が有るとは夢にも思わなかった。---と言われました。

 

【コメント】
(症例5)に続き、帯状疱疹後神経痛に対しても、『水毒』として同じ戦略でお灸で熱を入れていきました。10日程で症状はかなり軽減し、痛くてのれなかった自転車にも乗れるようになり、湿度の高い日が続くわりには、症状は悪化せずに改善していきました。痛み止めの治療とは全然違うとはっきり言われました。東洋医学では『冷えると痛む』が真実で、治療法は『温める』です。お灸で温め、水を飛ばしたのが効果的でした。

 

 

 

◆◆結語ー症例からわかった2~3の事柄◆◆

①帯状疱疹新鮮例
・鍼灸治療と漢方薬治療(利水剤)で、水疱は3日ほどで枯れ、早期に治療が可能である。
・疼痛は鍼治療直後に軽減消失する。

 

②帯状疱疹後神経痛
・灸治療が奏功する
・刺絡後吸い玉の併用は必須
・漢方薬駆瘀血剤の使用がポイント

 

H27.8.10投稿

41.東洋医学の小経験 ー冬病夏治ー

 

東洋医学の小経験

 

ー冬病夏治ー

 

第4部 東洋医学ひぐちクリニック

 

樋口 理

 

 

 『冬病夏治』----この言葉は多分ご存知ない方々が多いと思います。寒くなる冬に悪化する病気は、陽の多い夏にお灸などの治療をして熱・陽を注ぎ込み予防しようという事を意味しています。(西洋医学にはない概念・治療法です)

 

 中医学の『冬病夏治』の養生思想から生まれた「三伏貼」は、日本人にとってはなじみが薄いかもしれませんが、台湾・中国・香港を含む中華系の民族にとっては欠かすことができない年中行事にもなっています。「三伏」とは、暦の上で一番暑い時期のことを指します。五行説の五季に、「長夏」というのがありますが、まさにこの「長夏」の時期のことを「伏」といいます。夏は五行で火に属しますが、その火が強すぎるとなかなか秋の金が出てこられません。そのため、金が「潜伏してしまう」ことにより、この「伏」という考え方が生まれてきたとも言われています。また、陽気が強すぎて陰気が潜り込んでしまったことも考えられます。

 

 さて「三伏」の時期ですが、夏至から20日後となる3つめの庚の日を「初伏」の第1日目、4つめの庚の日を「中伏」の第1日目、そして立秋の後の初めての庚の日を「末伏」の第1日目とし、それぞれ10日間あります。暦の関係上、中伏には20日間ある年もありますが、この30日間(もしくは40日間)を、「三伏」とする訳です。

 

 「三伏」は、人の身体にとっても大切な時期です。「天人合一」の思想から、人の陽気が最も盛んになります。一方で、冬場は寒邪や陰気が盛んであり、虚寒の体質であれば、寒邪の影響を受けやすくなります。「三伏貼」は、冬場に寒さが厳しくなると症状が悪化する疾患には有効であるとされており、虚寒の体質にもっとふさわしいと考えられています。夏場の盛んな陽気の力を借り、さらに内服薬や外用薬を利用して陽気を支持してやれば、冬以降に病気になりにくくなるというわけです。特に冬に多い喘息や気管支炎・アレルギー性鼻炎・関節炎・消火器系の疾患、さらに、治療が厄介な寒冷蕁麻疹などにも活用されます。具体的には、膏薬を貼る「敷貼」のほかに、お灸をする「天灸」などが代表的です。そのほか、抜罐(カッピング)や、薬浴なども、おこなわれます。

(参照:中医臨床 2010.9 vol31-N03 、P-92:未病を治す知恵 ④)

当院でも数年前から、冬に悪化する諸々の疾病の方に『冬病夏治』の思想を啓蒙し、すこしずつ効果を上げています。まだ数は少ないですが其のような症例を示します。

 

 

 

(症例1)73歳、女性

C.C.;喘息ー寒くなるとよくない、雨の降るまえが酷い

 

P.I.;10年以上前から、喘息がある。薬を飲んでいたが、かんばしくない。台風や大雨の前は必ずきまって良くない。友人が鍼やお灸や漢方薬で喘息の調子が良くなったと聞き受診する。

 

治療&経過;東洋医学では、喘息は胃が冷えたため、肺中冷となり、肺は乾燥を好む臓器なので、余分な水を排泄する治癒反応と説明。余分な水が原因ですから、湿度の上がるときに症状は悪化します。従って治療方法は胃を温め、肺を温める。温めるで最も効果的なのは、お灸です。直に熱を入れる事が出来ます。陰性食品の制限を指示。天突(胸骨柄上切痕跡と左右の胸鎖乳突筋の間の窪み)にカマヤミニを5社、大椎に棒灸を30分施工。この二つの処置でほとんどの方が楽になったと言われます。漢方薬は裏寒に温裏剤を投与。自宅でも、お灸を指導。毎年夏場にはお灸を沢山しました。秋口以降喘息の症状は軽減しています。もう3年目になりますが、---今年の夏は、台風が早くから来ましたが、発作は起きていません。天突にカマヤミニを5壮すると、肺がー胸の中が温まり、呼吸は簡単に楽になるそうです。薬で押さえ込まずに、自然治癒力を引っ張り出してあげると、此のような治り方です。薬を服用し続ける必要がなくなります。

 

【コメント】
喘息やアレルギー性鼻炎は東洋医学では、主体は『水毒』と捕えます。水は寒邪の性質(幼少の頃、川やプールで泳ぎ、唇は紫色になり、体はブルブル震えた記憶をお持ちの方もーー)がありますから、もし人の体内に水が溜まれば、人は中から冷やされます。人間は恒温動物ですから体温を維持するために『冷えの元になる水』を排泄しようとします。横隔膜から上に余分な水があれば、開いた穴から即ち口・目・鼻・耳から溜まった水を排泄し、バランスを保とうとします。横隔膜から下に余分な水があれば、大便か小便で排泄しようとします。西洋医学では不愉快な症状は、止めようとしますが、東洋医学では温めて早く水を排泄しようとします。全く正反対の考え方です。熱が直に入れば、わかりやすく言えば、半生渇きの衣類を乾かすのに、アイロンをかければ一瞬で乾きます。お灸をする意味はこの事です。という訳で、喘息やアレルギー性鼻炎の方々に天突と大椎への灸を教えてあげると、10人中10人に喜ばれます。吸入や西洋薬よりも効果的で、かつお灸をすると早く楽になるのが実感できて、本当に治る気がするといわれます。

 

※※参考;
胃が冷えると肺が冷える。肺が冷えるのが嫌だから咳や鼻水で水を排泄する。反対に、胃に熱がこもると、肺にも熱が生じ、その結果、肺経の鼻や頬が赤くなる。酒皶を生じます。治療法は熱を冷ます。その原因はアーモンドやピーナッツなどの木の実、或いは肉食などの熱性食品のとりすぎです。

 

 

 

(症例2)56歳、男性

 

C.C.;両手指関節の変形と痛み、鉛筆・箸が持てない、冷房で痛む、冬は痛んで困る

 

P.I.;20年位前から徐々に手指の変形が起こり始めた。最初は右手からそして段々に左手にも変形が起こった。諸々の医療機関を受診して検査受けるも、原因は不明。治療法は、痛み止めや湿布しかないといわれ、数年治療したが、年々悪くなるので止めてしまった。友人の紹介で受診

 

治療&経過;両手指関節の変形はDIP関節とPIP関節に及んでいます。皮膚には全く皺が有りません。特に関節部は浅い横皺が2~3本あるのみです。可動域制限は著しく、ピンチ動作はできません。西洋医学では手指関節の変形は使い過ぎとされていますが、東洋医学では水毒と説明すると、数十年の間毎週末缶ビール500mlを5~6本飲んでいたとの由。多分それが原因と説明。缶ビールほか陰性食品の制限を指示。鍼治療は八邪し、原因が冷えなので、温めるが主な治療方法になると説明して、お灸をすすめる。漢方薬は裏寒に温裏剤を投与。また防巳黄耆湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁を投与。熱心に治療を続けられ、食事にも注意されました。もう4年になりますが、年を追う毎に、改善しています。通勤の西鉄電車の夏場の冷房にも反応しなくなり、冷えると痛むが無くなっています。秋口以降冬場の寒冷刺激にも影響を受けなくなりました。そして驚くべき事には、関節部は横皺が2~3本あるのみの状態が皺の数が増え皺が深くなり、皮膚には全く皺がなかったのが、皺が中枢側より出始めています。更に、各関節は変形のため大きくなっていたのが、不思議なことに小さく成り始めています。温める事で、冷えて循環障害が生じ、結果として関節の変形が起こったのと、逆回転で治癒の方向へむかっています。ピンチ動作も可能となり、鉛筆・箸が持てるようになっています。

 

【コメント】
ヘバデーン結節やブシャール結節等の手指の変形は、西洋医学一辺倒の時代は痛み止めや湿布の処方が当たり前で、それ以外の治療法があるなどとは思いもしませんでした。ましてや、変形が修復される治療法があるなどとはーーー。東洋医学の門を叩き、諸々の概念やその治療法を実践して行くと、本当に常識をくつがやされる事を度々経験しました。
 その第1例は50代の女性の右中指の末端が亀の頭の様に大きくなっており、人前に手を出せないという訴えでした。リウマチではないかと受診されました。水毒と説明し、治療開始。陰性食品の制限を指示し、漢方薬は防己黄蓍湯、薏苡仁湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁などを投与。鍼治療は八邪、肘に灸頭鍼、天宗に吸い玉、自宅で手指にお灸を指導。3カ月後、少し右中指の末端が小さくなってきた。半年後、大部小さくなった。1年後、人前に手をだしても、恥ずかしく思わなかった。1年半後、レントゲン写真でも骨棘が小さくなっていました。この症例を経験してからは、自分の体の中で起こった事は、反対まわりに回転すれば、修復されるのではと考えるようになりました。そして、この症例の方も、逆回転で手指の皺の状態や変形がかなり改善していますから、私の仮設は確信に変わりつつあります。

 

 

 

(症例3)68歳、女性

 

C.C.;両手指が白くなる

 

P.I.;10年位前から、毎年冬になると両手指が白くなるようになった。痛みもある。其のうち、足の指も同じように白くなるようになった。複数の医療機関を受診し、レイノー病と診断された。治療法はない、或いは薬を飲んでもあまり効果はなく、原因も不明で難病と言われた。諦めていたが、友人から漢方治療があると聞き、当院のホームページをみて△年7月に受診。最近は夏場の冷房でもすぐに指が白くなる。寒くなってから受診しようと思っていたが、冷房でも白くなるので受診した。

 

治療&経過;レイノー病は西洋医学では、原因不明の難病ですが、東洋医学では『水毒』と説明するも半信半疑。体の中に水が溜まり、内圧が上がり神経血管を圧迫して、循環障害が生じる。又水が血管の周囲にあれば、寒冷刺激で水が冷え、その結果、動脈の痙攣が生じます。中医学では『肢端動脈痙攣病』と更に説明するとやや納得される。手指は触ると冷たく、しっとりと湿っています。陰性食品を制限し、温裏剤で内臓を温め、利水剤で水を抜きつつ、お灸で温めて水をさばく治療を開始しました。そうすると、2週間後手指の色が改善し、しっかりと湿っていたのが温かくなり、手の甲に皺が増えてきました。足の指も暗紫色から薄い桃色へとなりました。夏の冷房で、すぐに指が白くなっていたのが、ちょっと違ってきました。そして、その年の冬場は白くなるものの、いつもに比べて早くもとに戻るようになり、痛み方も軽くなってきました。そして翌年(△+1年)の夏も暑い中、お灸を頑張られ、自宅でも熱心にされ、夏場の冷房では起きなくなりました。その年の冬は起こる指の数が減り、範囲も狭く温めるとすぐに元に戻るようになりました。そして次の夏場(△+2年)もお灸をやり、その冬はレイノーが起きなくなりました。

 

【コメント】
西洋医学一辺倒の時は、レイノー病は治療法のない疾病と決めつけていましたがーーー。東洋医学の門を叩き、漢方や鍼治療、お灸を実践して行くなかで、中医学などを勉強して行くと、「治る病気」と記載してあります。『有効率100%』の数字を目にした時は、ビックリしました。そして、初めての症例は交通事故後遺症のレイノー病。1月の寒い時期なのに、2~3週間で症状の消失を見ました。画期的なことです。持っていた常識を簡単に壊されました。それから、時々レイノー病の方が受診されるとトライしていますが、有効率100%の中医学の記載は間違いではないと思っています。『水毒の概念とその治療薬』および『冷えの概念と温める治療法』があれば、積極的に治療出来ます。西洋医学には、残念ながら、その2つの概念が無く、治療法もなく難病の診断がつくものと思われます。今年の夏は3例の方に冬病夏治でお灸を中心に加療しています。今から、3例の方の症状がどう変化するか今年の冬が楽しみです。

 

※※参考
中国刺絡鍼法、 日本刺絡学会 監訳 東洋学術出版社 P149-150
19 レイノー病(肢端動脈痙攣病)[中医学:厥証]
レイノー病、別名「肢端動脈痙攣病」は血管運動機能の乱れによって、四肢末端の小動脈に生じる血管攣縮性疾病である。原因は不明で、激しい感情の変化や寒冷によって誘発されることが多い。本疾患は女性に多くみられ、中医学上でいう「厥証」の範疇に属する。
本疾患は発作時に、手指の色調が白から紫藍色に変わる。指の先から始まり、手掌全体におよぶ。冷感、しびれ感、あるいは鍼で刺したような疼痛、そのほかの異常感覚をともなうが、前腕部の脈拍は正常である。数分後にはこの症状は自然と緩解し、変転して皮膚は紅潮し、灼熱感、刺痛感が生じる。その後、正常な色調に戻る。加湿したり、こすったり、あるいは上肢を振り回す動作をすると発作は止まる。左右対称におこることが多く、小指や薬指にまず発現する。その後、他の手指に波及するが、母指などの比較的血流量が多いところに発現しない。発作がおきていないときは手足に冷感があること以外、他の症状はない。

 

【治療】
刺鍼と刺絡法
 取穴:手指に発現する者、主穴;欠盆。配穴;十宣・手三里・内寒・小海。足趾に発現する者、主穴;三陰交・照海。配穴;足十宣(足指先端)・秩辺・環跳。
 方法;欠盆(雀啄法)に刺鍼。置鍼はしない。十宣は刺鍼し3~5滴出血させる。そのほかの穴位は刺鍼後20分置鍼する。毎日1回。18回で1クールとする。

 

【資料摘録】
レイノー病に対する刺鍼治療(31例)
男10例、女21例。年齢、最年長60歳、最年少24歳。発病部位が両手指の者27例、両足趾の者1例、両手足・両足趾の者3例。上述の方法で2~4クールを治療した。その結果、完全治癒した者21例。著効10例。総有効率100%
(張維式;『中国鍼灸』.1988年4号25頁)

 

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当院について

自然
50歳をすぎて始めた東洋医学の治療効果--西洋医学だけの時よりも患者さんの治り方があきらかに違う。
人が本当に治るというのはこんな治り方をするのかと感激しさらに東洋医学のふかみにはまりました。
整形外科以外の他科疾患--例えば眼科、耳鼻科、精神科、皮膚科などの症例もすこしづつ増えて本当に治っていきます。
そんな方々の声があります。
患者さんと私や当院のスタッフはその事を知っていますが、それ以外の人はほとんど知りません。患者さんの了解を得て『患者のこえ』の作成を思いつき、それを公開しようと考えました。色々やってみたが--、体質とあきらめている。年のせいとあきらめている。等等--東洋医学の門をたたいてもらえれば一助になるかもしれません。

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