論文タイトル

42.東洋医学の小経験 ー帯状疱疹&帯状疱疹後神経痛へのアプローチー ーそれからわかった2~3の事柄ー

 

東洋医学の小経験

 

ー帯状疱疹&帯状疱疹後神経痛へのアプローチー

ーそれからわかった2~3の事柄ー

 

第4部 東洋医学ひぐちクリニック

 

樋口 理

 

 

 帯状疱疹は、西洋医学では免疫能が低下したさいに生じる疾患とされています。一方東洋医学では、『水毒』。ウィルスの力を借りて余分な水を皮膚表面から排泄しようとする治癒反応と考えます。西洋医学の常識とはどうかすると全く反対の考え方ですが、この治癒反応の観点から帯状疱疹の新鮮例や帯状疱疹後神経痛へのアプローチの症例がだいぶたまり、治療を経験された方々が口々に経過が早く痛みも早くとれると言われていますので、症例を報告致します。前回報告9例も速攻でした。(疼痛は鍼治療直後に軽減消失し、水疱は3日で枯れます)

 

 ただし、私自身が西洋医学の抗ウイルス剤や鎮痛剤を使用した経験は全くありませんので、その治療経験を私の中で比較することは出来ません。患者様が、西洋医学と東洋医学の治療方法を両方経験され、その結果を比較されたものです。悪しからず御了承下さい。しかし、その中に本当の真実があるものと考えています。

 

 

 

(症例1)中◎枝◎、68歳、女性

 

C.C.;右背部の水疱と痛み

 

P.I.;27.5.7.朝右背部の水疱と痛みに気付く。以前帯状疱疹にかかったことがあるので、すぐにピーンときた。以前は痛みがひかず、約2カ月かかったので、---。漢方と鍼灸でも治療できると知っていたので5.7.受診。

 

治療&経過;右背部肩甲骨の下部に水疱形成巣(+)右脇にかけても幾つかある。発赤も軽度ある。水疱形成巣の周囲に皮内鍼を放射状に刺入。肋間より位置を確認して、それぞれの夾脊穴(棘突起の下で両側に0.5寸)に灸頭鍼を施行、同時に刺絡後吸い玉施行。漢方薬は葛根湯加朮附湯、五苓散を投与。翌日痛みはほとんどない。同じ治療。3日後水疱は、ほとんど枯れ、右肩を挙げると右脇が痛む。帯脈に鍼治療施行。挙上司となる。5.18.治癒。家族や友人から、漢方と鍼ではなく、皮膚科で点滴を痛み止めをのまないと良くならないと、苦言を沢山言われたそうです。が、治療経過をみて苦言を言われた方々は、全く違う治療法があるとは知らなかったと言われたそうです。そしてこの治療法は早くて良いと。

 

【コメント】
私自身、帯状疱疹の西洋医学治療の経験は全くありませんが、鍼灸治療と漢方治療や刺絡後吸い玉施行を行うと、患者様は口々に痛みが無く、経過が早いと言われます。この方は帯状疱疹は2回目です。前回は、2回/日の点滴注射をして、痛みがひかず夜も安眠できず、2週間ちょっとは非常に辛い思いをされ、約2カ月かかったそうです。今回の治療では、痛みは鍼治療直後に軽減し、翌日には殆ど消失。3日後水疱は、ほとんど枯れ、5.18.治癒ですから、11日間の治療でした。経過もすこぶる早く短期間ですんでいます。帯状疱疹で悩み困っている方々は沢山おられると考えます。この治療法が普及すれば、多くの方々が早期に多大の恩恵を被ると思われます。治療法が一つしかなく、他に選択肢がないというのは、片手落ちです。治れば治療法はなんでもよいと思われます。

 

 

 

(症例2)Y.Y.,15歳、女性

 

C.C.;左肩の水疱と痛み、ヒラヒラ感

 

P.I.;平成27年7月30日左肩の水疱と痛み、ヒラヒラ感が出現。母親が見て、祖母の帯状疱疹の経験からピーンときて、診断。当院でも帯状疱疹の治療ができて経過がすこぶる早く良いと知っていたので、7.30.受診。左肩に水疱形成2カ所、前胸部に1カ所あり。初赤(+)

 

治療&経過;左肩に水疱形成2カ所、前胸部に1カ所あり。皮内鍼を放射状に刺入。直後に痛み、ヒラヒラ感は消失。漢方薬は葛根湯加朮附湯、五苓散を投与。翌日まだ発赤残存。8月4日から旅行の予定があるとの由。発赤は余分な水を飛ばすために治癒反応として、自分でアイロンをかけていると説明し、水疱形成の周囲にカマヤミニ灸を施行。するとへんな違和感がとれて良いとの事。2回/日カマヤミニ灸を施行。8.3.水疱はやや枯れ、発赤は茶色となり、症状は軽減。8.4.早朝に旅行へ行かれました。8.5.メールで調子良い。痛みも違和感も無く、水泡は枯れている。8.7.帰省。8.10受診。旅行中は、どうもなかった。水疱は枯れ、どうもない。皮内鍼を抜き治癒。

 

【コメント】
(症例1)に続き、帯状疱疹の新鮮例です。陰極まれば陽となる。東洋医学の立場からは、人体は、余分な水で冷やされるのを嫌がるので、ウィルスの力を借りて、余分な水を飛ばそうとする治癒反応です。半生乾きの衣類にアイロンをかけると乾きます。この意味で、お灸をしました。そうすると、治癒反応が促進され、水泡は枯れ、赤みもとれ、旅行にも行けました。この間5日です。
 祖母の方の帯状疱疹の経過を開くと、3週間はうずいて苦痛顔貌が続き、夜間も疼痛のため悩まされ、約6カ月かかったそうです。『冷えると痛む』が真実で、治療法は『温める』です。西洋医学には、『痛みは止める』で温める治療方法がありません。従って、此祖母の例のように長引く症例があると思われます。『温める』でいけば、本当に速攻です。

 

 

 

(症例3)内◎政◎、32歳、男性

 

C.C.;口の周りのヘルペス

 

P.I.;数年前から、時々口の周りにヘルペスができるようになった。今回も2日前からできて、ピリピリするような違和感がある。母親が鍼と漢方で早く治ったので薦められて受診。

 

治療&経過;皮膚から盛り上がる水疱は余分な水を排泄する現象と説明し、陰性食品の制限を指示。経過は母親からも聞かされたが、鍼と漢方で3日で枯れる方が圧倒的に多いと説明。ヘルペス周囲に皮内鍼を放射状に刺入、直後に違和感は消失。漢方薬は五苓散を投与。3日後受診、水疱は枯れ、どうもない。以前の治療経過とは、全然違うと言われました。さらに2日分処方し、治癒。

 

【コメント】
口の周りのヘルペスは、もう10例以上と思います。皮内鍼を放射状に刺入すると、直後に違和感は消失。漢方薬は五苓散を投与。全例皮内鍼を放射状に刺入、直後に疼痛や違和感は軽減消失し、3日で水疱は枯れます。再現性は100%、期間は短時間で済みます。

 

 

 

(症例4)◎野◎ツ◎、70歳、女性

 

C.C.;左肩背部のウズク激痛で夜間不眠

 

P.I.;7月6日頃から左肩が挙らなくなったが、放置。昨日夜から急に背部のウズク激痛で夜も眠れなくなった。8月5日受診。

 

治療&経過;左背部を診ると、水疱形成(+)、発赤(+)。陰性食品(緑茶9杯、水8杯、バナナ)を制限。帯状疱疹と考え、経路に沿ってカマヤミニ灸を施行。刺絡後吸い玉施行。漢方薬は疼痛強く、二朮湯に疎経活血湯を合方し桃核承気湯を少量加味。8月7日肩のウズキは取れ、疲れるから大助かりと。

 

【コメント】
治療反応を助長するために、経絡に沿って、カマヤミニ灸を施行。刺絡後吸い玉施行。漢方薬は、二朮湯に疎経活血湯を合方し桃核承気湯を少量加味。東洋医学では、帯状疱疹はウィルスの力を借りて余分な水を皮膚表面から排泄しようとする治癒反応と考えます。西洋の新鮮例や帯状疱疹後神経痛へのアプローチの症例がかなり溜まり、全例に早期に疼痛軽人体の治癒反応の結果としての観点から治療すると経過が早いので、原因とみて治療戦略をたてている西洋医学はヒョットすると間違った方向に向いているのではないかと帯状疱疹の治療を経験するたびに、愚考しています。

 

 

 

(症例5)入◎力◎ミ、78歳、女性

 

C.C.;左肩の帯状疱疹後神経痛

 

P.I.;1年前左肩の前後に帯状疱疹出現。皮膚科で点滴をして、治療したが、今なお痛みが続いている。雨の前にはうずくし、刺すような痛みがある。朝起きるときはビリビリ・ジカジカする。夕方歩く時もビリビリする。治療しているが全然よくならない。漢方薬や鍼灸治療でどうにかなりますかと平成27年6月13日受診。

 

治療&経過;帯状疱疹は東洋医学の立場では、『水毒』と説明。皮膚から盛り上がる余分な水をウィルスの力を借りて排泄する治癒反応と更に説明。湿度の上がる雨前に痛むのは『水毒。』陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気し、左肩背部に置鍼、カマヤミニ灸、吸い玉施行。漢方薬は裏寒に附子理中湯、帯状疱疹後神経痛に対して葛根加朮附湯、桂枝茯苓丸加薏
苡仁を投与。4日後、刺すような痛みは我慢しやすくなった。朝夕のビリビリ感がちがってきた。今年は台風が多いが、雨前の感じも楽になってきた。自宅でも、お灸を指導。約1か月半後、当初の2/10位、かなり良い。こんな治療法があるなんて、思いもしなかった。

 

【コメント】
(症例1)、(症例2)、(症例3)、(症例4)は、帯状疱疹の新鮮例で共に、皮内鍼やお灸や灸頭鍼で熱を入れ、早朝に疼痛は軽減し水疱は枯れ、治療をみました。3例共西洋医学の治療経過と比べて、明らかに疼痛は早く消失し、早期に治療に至っています。此の治療法の根本概念は『水毒』。それに対する熱で、アイロンをかけるの意味です。これで、非常に早い経過を示しました。そして、帯状疱疹後神経痛に対しても、同じ戦略でお灸で熱を入れていきました。(症例5)もお灸で熱を入れることにより、水が飛ばされ、経絡が通じて約1ヵ月半後、当初の2/10位、かなり良い。こんな治療法があるなんて、思いもしなかった。と西洋医学の治療経過と比較されています。患者様が経験されて言われる事が真実、trueと私は思います。帯状疱疹の本態は『水毒』。そして患者様にとっては、西洋医学、東洋医学とその名前は関係なく、早く治れば何でも有り。何にも拘る必要無し。

 

 

 

(症例6)松尾ユミ子、72歳、女性

 

C.C.;肛門周囲~左大腿骨後面の帯状疱疹後の痛み

 

P.I.;5年前に肛門周囲~左大腿後面の帯状疱疹にかかり、皮膚科で治療した。その後、梅雨どきなど湿気の多い時期に、よく再発する。痛み止めではよくならないのでーーーー。知人より漢方と針灸治療を薦められて平成27.7.3.受診。今年の梅雨も再発し、痛みのため仰向けに寝れない。自転車やバイクに乗れない。朝起き始めがよくない。

 

治療&経過;東洋医学では、湿気の多い時期に悪くなる疾病は、『水毒』と説明。陰性食品の制限を指示。鍼治療よりも灸治療の方がより良いと説明し、患部を中心にカマヤミニ灸を施行。最初は熱く感じませんでしたが、其のうち熱く感じるようになり、火鍼や吸い玉も施行。漢方薬は、裏寒に附子理中湯、帯状疱疹後神経痛に対して牛車腎気丸、桂枝茯苓丸加薏
苡仁、駆瘀血をパワーアップするために、大黄牡丹皮湯や通導散を加味。すると、朝の症状が和らぎ、今年は台風が多く湿度も高い日が多かったわりには、楽で7月中旬には、自転車にも乗れるようになり、次いでバイクにも乗れるようになりました。7月末で当初の3/10。日常生活上の支障はかなり減っています。此の方も、こんな治療法が有るとは夢にも思わなかった。---と言われました。

 

【コメント】
(症例5)に続き、帯状疱疹後神経痛に対しても、『水毒』として同じ戦略でお灸で熱を入れていきました。10日程で症状はかなり軽減し、痛くてのれなかった自転車にも乗れるようになり、湿度の高い日が続くわりには、症状は悪化せずに改善していきました。痛み止めの治療とは全然違うとはっきり言われました。東洋医学では『冷えると痛む』が真実で、治療法は『温める』です。お灸で温め、水を飛ばしたのが効果的でした。

 

 

 

◆◆結語ー症例からわかった2~3の事柄◆◆

①帯状疱疹新鮮例
・鍼灸治療と漢方薬治療(利水剤)で、水疱は3日ほどで枯れ、早期に治療が可能である。
・疼痛は鍼治療直後に軽減消失する。

 

②帯状疱疹後神経痛
・灸治療が奏功する
・刺絡後吸い玉の併用は必須
・漢方薬駆瘀血剤の使用がポイント

 

H27.8.10投稿

当院について

自然
50歳をすぎて始めた東洋医学の治療効果--西洋医学だけの時よりも患者さんの治り方があきらかに違う。
人が本当に治るというのはこんな治り方をするのかと感激しさらに東洋医学のふかみにはまりました。
整形外科以外の他科疾患--例えば眼科、耳鼻科、精神科、皮膚科などの症例もすこしづつ増えて本当に治っていきます。
そんな方々の声があります。
患者さんと私や当院のスタッフはその事を知っていますが、それ以外の人はほとんど知りません。患者さんの了解を得て『患者のこえ』の作成を思いつき、それを公開しようと考えました。色々やってみたが--、体質とあきらめている。年のせいとあきらめている。等等--東洋医学の門をたたいてもらえれば一助になるかもしれません。

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