論文タイトル

35.東洋医学の小経験 ―腰の治療;西洋から東洋へのきりかえた方々へのアプローチとその結果― ―それからわかる2~3の事例―

35.東洋医学の小経験 ―腰の治療;西洋から東洋へのきりかえた方々へのアプローチとその結果― ―それからわかる2~3の事例―

 

東洋医学の小経験

 

―腰の治療;西洋から東洋へのきりかえた方々へのアプローチとその結果―
―それからわかる2~3の事例―

 

東洋医学ひぐちクリニック

 

第4部会 樋口理

 

 

腰痛症は、2本足で歩く人間の宿命みたいなものかもしれません。が、腰は体の要であり、日常生活上の支障は多大です。西洋医学では痛み止めや循環改善剤、筋弛緩剤、湿布などで治療します。長らく西洋医学の治療をしているがーーー今一つで治療法を変えてみようと時々受診される方があります。

 

 私は50歳までの26年間は西洋医学一辺倒の治療を経験し、以後は東洋医学へ方向転換。この10年間は痛み止め等西洋薬の使用はゼロで、東洋医学の治療方法中心で、漢方薬・鍼治療・吸い玉・刺絡・食養生・食禁などで治療し、東洋医学の治療効果は計り知れないほど高く、自分の中では西洋医学よりも数十段上ではないかと考えています。(私の独断と偏見が多々加味されていることは、悪しからずご了承ください)

 

 西洋医学一辺倒の時代であれば、治療方法は前医と同じ物しか提供出来ないため、丁重にお断りするような、又は逃げ出したくなるような症例に遭遇しても、どうにかなるという気持ちがあり、積極的に治療を開始できます。

 

 西洋医学の治療から東洋医学の治療へ切り替えられた方々へのアプローチとその治療経過を述べ、並びに結果を述べ、西洋医学の治療と東洋医学の治療の両方を経験された患者様の本根の声を紹介したいと思います。
 最後に、2~3の分かった事柄、大先輩のお言葉を紹介しつつ、結語とします。

 

西洋医学とは異なり、東洋医学では腰痛は『腎虚』や『冷え』や『水毒』や『瘀血』という概念が原因で起こると考えます。ピンとこないと思いますがーーー

 

 

 

≪症例1≫56歳、T.U.;男性

 

C.C.;腰痛&右足のシビレ

 

P.I.;2年前、咳をして腰痛再現。右下肢のシビレも有る。検査で腰部脊柱管狭窄症と言われた。痛み止めや湿布、牽引などを2年間しているが、段々悪くなっている。日常生活上の支障がひどくなれば手術と言われた。今は5分間しか立っていられない。チョットした労働が出来ない。夜の寝返りもままならない。義理の姉から、漢方と鍼治療は結構効くそうよと薦められて受診。

 

治療&経過;体重が90kgの巨漢の方で赤ら顔です。陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気(四関穴、三気海)。肘関節の膝三穴に置針し遠位置針-患部運動療法。時々吸い玉施行。漢方薬は六君子湯、黄連解毒湯、桂枝茯笭丸、牛車腎気丸を投与。治療を続けていると、先ず仰向けで足を挙げられなかったのが挙げられるようになったり、腰をそらすのができるようになりました。1カ月後、30分は立てる。痛みがくる時間が、前とは変わり感覚が長くなって来た。更に道路愛護の作業3時間をしても腰が痛くならなかったとの由。(何時もは、へべれけで、高齢者の人から、「俺より若いのに弱かな」とからかわれていたそうです)。腰の芯が痛いとの訴えに腰部の細絡に刺絡後吸い玉施行。駆瘀血をパワーアップするために通導散を追加。右の腎部痛がとれた。右下腿外側の痛みもとれた。右拇指の違和感もとれた。3か月後、当初の2/10となり、6ヵ月後ほとんどどうも無い。治療廃薬。最後に一言「最初から漢方と鍼治療をしていればよかったかもしれないーーー」

 

【コメント】2年間西洋医学の治療をされた方です。東洋医学に変えて、治療がうまくいき経過が良い時は、全例でこの方の様に自分の方から「ここが良くなった」と改善点を述べられて来ます。西洋医学一辺倒の治療では、経過としてありえないことだと(私の独断偏見が多々加味されていますが)愚考します。足を挙げたり、腰をそらしたりできるのは、腰部の瘀血と冷えがとれ柔軟性がでてきた証拠です。
腎部痛は西洋医学一辺倒の時には、患者様から「腎部痛がとれない」と言われたことは多々有りましたが、「腎部痛がとれた」と言われたという記憶はほとんど有りません。私の腕が3流だからかもーーー。
『腰の芯が痛い』などは日常臨床では、よく耳にしますが、『冷えて硬くなっている』を人間の持つ原始感覚で表しているのかもしれません。駆瘀血剤と腰部の細絡に刺絡後吸い玉施行が奏功したと思います。そして右の腎部痛がとれた。右下腿外側の痛みも取れた。右拇指の違和感も取れた。と水が床上浸水理論で溢れ、それが床下へ引いてくる感じで治って行かれました。典型的な治り方だと愚考しています。

 

 

 

≪症例2≫57歳、T.S.;女性


C.C.;水道で手を洗うと指先が痛い、腰痛で仰向けに寝られない

 

P.I;ここ数年秋口から水道で手を洗うと手が痛くなり、冬場はお湯を使って洗ってもその後手が痛くなる。手の先に変形があるから痛むと思っている。痛み止めや湿布をしているが一向に良くならない。腰痛も10年来あり、仰向けに寝られない。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は八邪と肘関節に灸頭針。天宗に吸い玉。頸背部の凝りに置針。漢方薬は桂枝加朮附湯を投与。1週間しても反応なし。当帰四逆加呉茱茰生姜湯を投与。すると、水道で手を洗うと指先が痛いのが、痛くならないようになり、10年以上夜間痛のために側臥位でしか寝られなかったのが、仰向けに寝られるようになりました。患者様は不思議そうに、指の薬が腰にも効いたと喜ばれました。

 

【コメント】漢方治療をしていると、時として患者様があきらめているような症状がとれる事があります。漢方の世界で『おつり』と言います。この方は当帰四逆加呉茱茰生姜湯で、指の痛みと腰痛がとれました。当帰四逆加呉茱茰生姜湯は久寒(長く潜む冷え)に効きます。
従って疼痛の根本原因は『冷え』ですから、西洋医学の痛み止め(作用は消炎、鎮痛、解熱。解熱は冷やしますから、冷えて痛むを更に悪化させると愚考しています。)ではとれないわけです。温めなければなりません。西洋医学一辺倒の時は、痛み止めが強力なものへとエスカレートしがちでしたが、東洋医学の『温める治療方法』をとりいれると、この症例のように治り方が違います。

 

 

 

≪症例3≫68歳、Y.N.;男性

 

C.C.;腰痛と過敏性腸症候群

 

P.I.;20歳代より、過敏性腸症候群で治療していたが、よくならないので放置。腰痛もおなかの具合が悪いとよく起こる。いつもは市販の痛み止めや湿布でよくなるが、今回は腹痛と腰痛ともに酷いので受診。

 

治療&経過;やっと歩ける状態なので、鍼治療は無し。腹は氷の様に冷えているので、漢方薬の温裏剤(内臓を温める);人参湯と大建中湯、桂枝加芍薬湯を投与。後日受診。1服飲んで、腹が温まり、腹も腰もよくなったと。
アメリカにいる娘も自分と同じ症状なので、漢方薬を送りたい、とその後受診されます。漢方薬を飲み始めて、過敏性腸症候群も非常に調子よいとの事です。

 

【コメント】長らく諦めていた腸の不調と腰痛が、腹を温める漢方薬の温裏剤;人参湯と大建中湯1服で取れ、その際腹が温まるのがわかった事で、『調子が悪いのは冷えていたからだ』と納得されました。40年間苦しまれたので、日常生活の上で陰性食品を熱心に勉強されました。その後時々みえられますが、過敏性腸症候群は起こっていません。もう6年になります。腸の不調と腰痛が漢方薬でよくなったので不思議がっておられました。冷えると痛むがやはり真実の様です。

 

 

 

≪症例4≫63歳、H.S.;男性

 

C.C.;腰下肢痛

 

P.I.;定年退職後、殆ど毎週山登りをしている。日常生活ではそれほど痛くないが、山登りすると痛む。どこか悪いのではと思い、検査で腰部脊柱管狭窄症と言われた。ここ数年痛み止めなどなどの薬をのんでいるが、一向に良くならない。漢方や鍼治療で治るかも知れないと薦められて受診。

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気(四関穴、三気海)。肘関節の膝三穴に置針し、遠位置針―患部運動療法。頸背部の凝りに置針。漢方薬は六君子湯。桂枝茯苓丸、牛車腎気丸を投与。山登りの時の飲物を聞くと、水筒に氷水を持っていくとの事。お湯にした方が良いと助言。山登りの前には、鍼治療をされ、熱心に陰性食品の制限をされました。月に3~4回の山登りの内、少しずつ痛くない日が増えてきました。そして、殆ど痛みがでなくなりました。

 

【コメント】漢方薬や鍼治療も効果があったと思います。が、一番大きな事は、氷水から熱いお湯への切り替えです冷たい飲食物は量が余計に入り、冷えを作る原因となります。熱いお湯は量が入りません。登られる山は変わらず存在し、画像診断上の腰部脊柱管狭窄症も存在し、変わったのは、治療法と水分の摂り方です。これで長年続いていた腰痛が軽減消失しました。腰痛症等を東洋医学では『水毒』といわれる所以です。東洋医学の立場からは、やはり、『冷えると痛む』がtrue真実で、画像診断はあまり関係なく、治療法は『温める』です。桂枝茯苓丸は瘀血を取り結果温めます。残念ながら西洋医学には、『止める』しか手段を持ち合わせていません。

 

 

 

≪症例5≫63歳、N.J.;女性

 

C.C.;左足のシビレと痛み

 

P.I.;2年前、自分がドナーとして肝臓を夫に移植。しかし甲斐なく夫が亡くなり、その後2か月して左足のシビレと痛みが出現。治療しているが、かんばしくないと受診される。左足は冷えて仕方がない。ホッカイロや湯たんぽを使っているけれども温まらない。漢方や針でどうにかなりますかと依頼あり。

 

治療&経過;初診時、裏寒、腎虚として温裏剤と牛車腎気丸を投与し、鍼治療施行するも、経過が何時もと違い、鍼治療でかえって疼痛が増強するとの訴えあり。ご主人の事を聞くと涙ぐみ、すぐに頭に浮かぶとの返事あり。ストレスかもしれませんよと説明し、処方変更。四逆散と五積散を投与。1週間後、漢方薬を変えてもらってから、漢方薬は甘く、飲むと足が温もってくるのがわかったとの事。3日目から全然違ってきたと。腰のヘルニアが原因と思っていたのに、こんな事もあるんですね。とビックリされるや痛みが軽減して嬉しいやらでした。

 

【コメント】整形外科では、痛みの原因をすぐに器質的変化に求めようとして画像診断を優先しがちです。そして痛みに対しては、“止める”が原則で薬を使います。それでうまくいけば問題無しです。が、本例の様に、ストレスを取る漢方で痛みが軽減すれば、器質的変化は、本当に痛みの原因なのか迷ってしまいます。東洋医学では『冷えると痛む』『通じないと痛む』が原則で、ストレスは『冷え』に働きますから、理解し納得できるのですがーーー

 

 

 

≪症例6≫ T.S.;62歳、女性

 

C.C.;左足の冷感&ウズキ。疲れがとれない。不安でしょうがない。

 

P.I.;数年前より両下肢のシビレ出現し、□年11月ごろより足の冷感と立位での下肢痛出現。下肢の冷感とチアノーゼ強く血管外科で精査するも異常無し。不安定感強く、上半身の火照りと下半身の冷感強く、西洋医学の治療を1年近く受けたが(投薬はロ○ソ○ニ○、○カ○、○ル○グ○ラー○など)一進一退なので、治療法を変更しようと○年8月18日受診。

 

治療&経過;陰性食品(起床時水300ml、コーヒー3杯、批杷茶1.5l、水3杯)を制限。鍼治療は調気し、頸背部の凝りに置針。直後に左下肢の違和感が消失し、血が下がる感じがなくなったと一言有り。漢方薬は上半身の火照りと下半身の冷感強くを上熱下寒、腎陽虚として五積散、八味丸を投与。8/19;左足の冷えが違ってきた。朝一で足がつけた。いつもは痛くてつけなかった。左足の冷感は氷水の中に付け込んでいる感じがする位に冷えていると言われ、八味丸に苓姜朮甘湯を合方。8/20;入浴後上半身がのぼせて汗が止まらなかったと言われ、『思わず反省、しまった』と上から攻めるをしなかった失敗のための一言。八味丸に苓姜朮甘湯が災いしたと気付き、処方変更。腎陰虚、陰虚火旺として、六味丸、滋陰降下湯を投与。以後上半身の火照りは消失。足のジンジン感も軽減消失。8/25;冷感もチアノーゼもおこっていない。当初の3/10。9月に入り、気温が下がってくると、主訴とは別の元々の冷えの症状が目をもたげ、現在はその治療をしていますが、当初の症状はほぼ消失しています。其のうち温泉や旅行に行きたいとリラックスされてあります。

 

【コメント】多分この症例は、西洋医学単独では限界の症例と思います。1回の鍼治療で直後に症状がグット改善しましたが、鍼治療で交感神経過緊張を副交感神経優位にしただけです。人の治癒反応は副交感神経優位で起こるのは御存知と思います。私の独断と偏見が多々加味されていますが、意識的に副交感神経優位にする治療法は残念ながら西洋医学には持ち合わせていない事を証明してくれる症例と思います。

 

 

 

◆◆『医療が病をつくる;免疫からの警鐘』安保徹著 岩波書店

 

【現代医学の治療の中にいくつかの根本的な間違いがある】

【消炎鎮痛剤はーーー限られた短い時間だけ痛みを焼失させた後、更に交感神経過緊張をもたらし、病気を悪化させていく】

【鎮痛剤の入った湿布も同様である】

 

まさに、安保理論に合致する症例と思います。治療法は副交感神経優位にする。鍼治療しかありません。
 又、足の冷感・チアノーゼと上半身の火照り感。西洋医学では自律神経失調症そのものですが、足の冷感・チアノーゼは交感神経過緊張による動脈の痙攣?かと愚推しました。
鍼治療直後に症例は軽減し、翌日にはさらに軽減、1週間でほぼ消失していますから、交感神経過緊張による動脈の痙攣?は、多分そうだろうと思います。上半身の火照り感は、当初「上熱下寒」として五積散を投与していました。経過が一見よさそうで、つい左下肢の冷感どうにかしようと、八味丸に苓姜朮甘湯を合方しましたが、8/20;入浴後上半身がのぼせて汗が止まらなかったと言われ、腎陽虚ではなく本態は「腎陰虚」で、「陰虚火旺」の状態だと気付き八味丸を六味丸へ変更し、滋陰降下湯を投与して事なきを得ました。がしまったと反省させられました。「上熱下寒」「腎陰虚」「陰虚火旺」の概念とその治療法、及び頭寒足熱が正常で『頭熱足寒』であれば「上からせめる」の治療原則がなければ、解決できない症例だと考えます。西洋医学でうまくいけばそれで良し。うまくいかない時に東洋医学の出番となる事を示唆してくれた症例です。

 

 

 

≪症例7≫M.H. ; 68歳、男性

 

C.C.;両足のシビレと腰腎部の痛み

 

P.I.;5~6年前より症状が有り、検査では腰部脊柱管狭窄症と言われた。いろいろ治療(痛み止め、湿布、循環改善剤、腰の索引療法等)したが、パットせず今は市販の湿布や痛み止めを時々飲んでいるが、変わらない。どうかすると少しずつ悪くなっているかもしれない。家内が鍼治療と漢方薬で膝や腰の調子がよくなったので、薦められて受診する。症状は雨の前はいつもよくない。風呂に入って冷房にあたるとよくない。今年は雨が多くよくなかった。

 

治療&経過;陰性食品を制限し、鍼治療。足の八風と肘関節の膝三穴に置針し、遠位置針―患部運動療法。漢方薬は症状が天気に左右されるので、風寒湿痺として、薏苡仁湯を投与。
2週間後腰痛はよい。シビレと腎部の痛み少しはよいがあまり変化ない。腎虚瘀血裏寒として、牛車腎気丸、桂枝茯苓丸、人参湯合真武湯を投与。更に2週間後、奥さんが受診され主人がいつも腰腎部を叩きながら「痛い」と言うので、マッサージをしていたが、最近は全く痛いといわなくなったとの報告有り。2カ月後、シビレは無い。腰腎部の痛みやツッパリ感もなくなったとの由。

 

【コメント】此のかたも長らく西洋医学中心の治療をされていましたが、症状の改善がなく、東洋医学の治療へと変えられました、先ず風寒湿証として、水を捌き、次いで腎虚瘀血裏寒として、牛車腎気丸、桂枝茯苓丸、人参湯合真武湯を投与し、症状は徐々に軽減消失しました。西洋医学の治療で頭打ちになったら東洋に変更してみるのも、選択肢として持っている医者も患者も救われると思いました。

 

 

 

≪症例8>T.K.;80歳、男性

 

C.C.;両足のシビレと腰腎部の痛み

 

P.I.;以前から両足のシビレと腰腎部の痛みがあり、痛み止めや湿布や索引治療を3年位続けたが、一進一退で、5年前に思い切って手術をした。が、両足のシビレと腰腎部の痛みは続き、もうあきらめている。近くの人が手術でとれなかった症状が、漢方と鍼治療でかなりよくなったと聞き自分もと思いH26.10.2受診

 

治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は下肢に灸頭針後、肘関節の膝三穴に置針し、遠位置針―患部運動療法を施行。頸背部の凝りに置針。足裏の湧泉に灸頭針、背部の腎愈に吸い玉施行。漢方薬は裏寒に人参湯合附子理中湯、桂枝茯苓丸、牛車腎気丸を投与。10/10;下腿の血管(静脈瘤)がへこんできた。10/22;何か違ってきた。10/28;腰は少し良い。膝は立ちしゃがみがよくなった。シビレも少し良い。11/5;ミカンちぎりして腰痛。11/14足の裏かなり良い。12/8夕方まで外で立ち仕事ができる。以前とは違う。12/29;足のシビレで感覚がわからなくなっていたが、それは無い。H27.1/5;頸部の針はいつもすると、体全体がスーッとする。2/13;山は冷えているが、ほとんどどうも無い。こんなに良くなるとは思わなかった。治療廃薬。

 

【コメント】10年来の腰下肢痛とシビレの方です。西洋医学の治療をされても一進一退で手術までされましたが、改善は今一つでした。思い切って東洋医学の治療に変えられました。陰性食品の制限を励行され、お茶を断つことで痛みとシビレの程度が違ってくることを実感されました。実感出来たから、自分の体の健康のために治療と養生を頑張られて約5か月の治療で上記の経過で治癒廃薬となりました。一つの治療方法で駄目ならば、もう一つ別の治療法(診方や治療方法が全く違いますが)を選択すると救われることがあることを示唆してくれる症例です。

 

 

 

◆各症例のサマリーと「患者様のお言葉」


(1)2年の経過、駆瘀血剤と経絡吸い玉で効果アップ。腎虚、瘀血。
『最初から漢方と鍼治療していればよかったかもしれないーーー』

(2)10年来。久寒(長く潜む冷え)の治療が奏功。
『不思議そうに、指の薬が腰にも効いたと』

(3)40年来。裏寒(内臓の冷え)の治療が奏功。
『1服飲んで、腹が温まり、腹も腰もよくなったと』
『調子が悪いのは冷えていたからだ』

(4)3年来。氷水をお湯へ。駆瘀血剤と鍼治療。腎虚、瘀血。
『登られる山は変わらず存在し、画像診断上の腰部脊柱管狭窄症も存在し、変わったのは、治療法と水分の取り方』後日、平日に氷水を山登りの時と同じ量のまれ、同じ症状が再現→更に一言、「氷水が原因!!」「こんな簡単な事」と一言ありました。

(5)2年来。ストレス
『腰のヘルニアが原因と思っていたのに、こんな事もあるんですね』

(6)数年来。漢方の概念(腎陰虚、陰虚火旺、上熱下寒)、副交感神経優位。
『其のうち温泉や旅行に行きたい』

(7)5年~6年来。裏冷(内臓の冷え)、腎虚、瘀血。
『「痛い」と言うので、マッサージをしていたが、最近は全く痛いと言わなくなった』

(8)7~8年来。裏寒(内臓の冷え)腎虚、瘀血。
『山は冷えているがほとんどどうも無い。こんなに良くなるとは、思わなかった』

 

 

◆◆-それからわかる2~3の事柄-◆◆


(私の独断と偏見が多々加味されていますがーー悪しからず)
①全例に共通;陰性食品の制限。
②腎虚、瘀血、裏寒(内臓の冷え)、久寒(長く潜む冷え)等の概念と其の治療法が効果的である。
③刺絡吸い玉で奏功している。

 

 

◆◆結語◆◆

 

①『医療が病をつくる;免疫からの警鐘』
安保徹著 岩波書店
現代医学の治療の中にいくつかの根本的な間違いがある

消炎鎮痛剤はーーー限られた短い時間だけ痛みを消失させた後更に交感神経緊張をもたらし、病気を悪化させていく

鎮痛剤の入った湿布も同様である

 

私の拙い経験から、西洋医学一辺倒の時代は、痛み止めと湿布を処方し、患者様からまだ痛むと言われたことが多々ありました。又、手に負えない症例はペインへ紹介していました。しかし、東洋医学の治療法に変えてからは、短時間で治癒へ持ち込めます。又他医院で治療していてかんばしくない症例でも、西洋薬(痛み止め、湿布等)を抜き、東洋医学の色々あるバラエティーに富んだ治療法を提供できますから、どうにかなると考えております。
そして、10年間の経験から疼痛は『冷えると痛む』『通じないと痛む』が真実で、治療法は【温める】【通じさせる】が大原則であると確信しています。
西洋医学を否定する訳ではありませんが、『痛みを止める』の武器しか持たずして、戦っているのではないかと愚考しています。

 

※消炎鎮痛剤の絶対的適応ーー
患部に熱(+)のワンチャンス;せいぜい3日
※消炎鎮痛剤の絶対的禁忌ーー
冷えると痛む、裏を返せば温めると楽になる痛みは、ほぼ絶対的禁忌

 

②『中神琴渓』
山元巌 監修、小田慶一編訳 燎原 再販によせての中で、小田慶一先生は、次のように述べられています。

漢方薬こそ、ファーストチョイスに

僭越ながら、読者の皆さんにも、西洋医学の素晴らしさと同時に、その限界危険性をも認識していただき、無効な西洋薬で患者さんを苦しめた後に、仕方なく「漢方薬でも」ではなく、最初から漢方を使用していただきたい。
誤解を恐れずに言えば、私は、西洋医学が役に立つ疾患は、救急医療のほかは、全体の10%程度に過ぎず、(多分、抗生物質の世界)漢方薬が役に立つ可能性があるのは90%
「但し、適切に使えば」と考えている。
私の症例は、西洋の治療をやって、東洋医学の治療へ変更された方々ですが、効果は全例で充分にありましたから、小田慶一先生のお言葉通り、最初からが望ましいと考えます。

 

③呉澤森先生『鍼灸の世界』集英社新書の中で、西洋医学と東洋医学の交差点であるはずの現代日本で、著者が目撃したものは、現代西洋医学の専横(せんおう)=病者不在の医療状況であったと、日本の惨状を嘆かれ、帰化までされて啓蒙活動をされています。

 

【もっと早く治る治療法がたくさんあるのに、ーーー日本人は自ら葬りさっている】
私の症例からも、5~10年来の病歴の方々が、西洋から東洋へ治療法を切り替える事によって、治癒まで持ち込めていますからーー【もっと早く治る治療法がたくさんあるのに、ーー日本人は自ら葬りさっている】は本当で、医療従事者や患者さんも全くこの情報を知らされていないと愚推します。

 

又、専横(=病者不在の医療状況)について、全員を正常値で判断(画像診断)し、個人の体質は無視しています。症例1)4)7)は全例『腰部脊柱管狭窄症』の診断名です。
中には手術と言われた方もいます。が診方を変えて、治療法も変えるとどうにかなり、うまく行けば、治癒まで持ち込めると思います。

 

(H27.3.9投稿)

当院について

自然
50歳をすぎて始めた東洋医学の治療効果--西洋医学だけの時よりも患者さんの治り方があきらかに違う。
人が本当に治るというのはこんな治り方をするのかと感激しさらに東洋医学のふかみにはまりました。
整形外科以外の他科疾患--例えば眼科、耳鼻科、精神科、皮膚科などの症例もすこしづつ増えて本当に治っていきます。
そんな方々の声があります。
患者さんと私や当院のスタッフはその事を知っていますが、それ以外の人はほとんど知りません。患者さんの了解を得て『患者のこえ』の作成を思いつき、それを公開しようと考えました。色々やってみたが--、体質とあきらめている。年のせいとあきらめている。等等--東洋医学の門をたたいてもらえれば一助になるかもしれません。

医院概要

【住所】〒834-0005
福岡県八女市大島18-1
【院長】樋口 理
【TEL/FAX】0943-23-2765
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