論文タイトル

15. 東洋医学的考察―冷えと痛み&冷えの人体への入り方―

15.東洋医学的考察―冷えと痛み&冷えの人体への入り方―

 


東洋医学的考察
―冷えと痛み&冷えの人体への入り方―

東洋医学ひぐちクリニック
       樋口 理

 

西洋医学一辺倒のときは『冷え』と云われても『何じゃ!それ?』という程度で、私には関係のないどうでもいい問題でした。そして、東洋医学の門を叩き、漢方や針灸の世界を知り実体験すると、『冷え』が最重要課題となってきました。
そして今現在では、『冷えは万病の元』の諺は古人の経験からでた言葉だと深く信じています。

 冷えると痛む――身近な所で思いつく或いは経験した事があるのは、多分かき氷を一気に食べて頭がガーンと痛みしばらくジーットしていたら痛みが和らいだ。アイスクリーム等冷たい物を沢山飲み食いして胃や腹が痛み下痢をした。こんな経験は少なからずお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
 人体を冷やす飲み物を制限したら症状消失:初めて経験したのは、下記の症例です。

 

【症例】70歳代、男性
  C.C. :腰痛
   P.I.  :1ヶ月位前より、昼間はそうでもないのに、夜中のトイレに起きるのに、腰が痛くて痛くてガメガメして這い、時間かけてやっと起きている状態でどうにかして欲しいと受診。
治療&経過:漢方薬(朝;附子理中湯、昼;桂枝加朮附湯、夕;八味地黄丸+真武湯)処方するも反応今一つ。

かなり温めているのに“何かおかしい”と考え、食事の内容をチェックすると、骨粗鬆症の予防に3ヵ月前から、毎晩寝る前に牛乳を飲み始めた事を言われ、ヒョットしたら牛乳が災いしているかもしれないと説明し止めさせた所、2日目の夜からは全く痛みがなく、八女弁で一言『すらごつのごたる』と。
此の症例が私の目を覚ましてくれました。ちなみに『すらごつのごたる』は『うそみたい』の意味です。又、その後夜間のトイレの回数も減り、喜ばれました。

 

【コメント】東洋医学では白色の食物は人体を冷やすと考えます。午前2時から午前5時までは体温も気温も一番下がります。
普通の健康人はどうもありませんが、『冷え』を捕まえている人は、冷やす食事や寒冷刺激で簡単に痛みなどの不具合が生じます。

この方は、朝;附子理中湯、昼;桂枝加朮附湯、夕;八味地黄丸+真武湯を使い、普通であれば早くて2~3日遅くても1週間以内に、こちらが聞かなくても何らかの自覚症状の改善を自ら言われてく
るのですか、痛みは変わらないとの由。

毎晩寝る前の牛乳を止めさせた所、「2日目の夜からは全く痛みがなくなりました。」とニコニコ顔で言われました。
私もビックリしましたが、患者さんも『すらごつのごたる』と言われ、お互いに思ったよりも早かったですねと話しました。
これが、私にとっての“冷えると痛む”を実感した最初の印象深い症例です。

 

人体を冷やす寒涼食、人体を温める食品の一覧を示します。
【寒涼食】人体を冷やす
肉類 ;馬肉、鴨肉、兎肉
野菜 ;夏野菜(開いて太陽の熱を受ける)→キャベツ、レタス
     レタス、(果物)キュウリ、トマト、パセリ
     きのこ類(一日でスーット伸びる野菜)
     西瓜、梨、柿、ミカン、イチゴ、ブドウ、
     いちじく、メロン、バナナ、パパイヤ、
     パイナップル等の南が原産地の食物。
その他;豆腐、小麦、白砂糖、食塩、牛乳などの白い物
      海草、酢、お菓子
      ソース、マヨネーズ、油、動物性脂肪
      ビールなどのアルコール、タバコ、
      コーヒー、緑茶、ウーロン茶
      人口甘味料、調味料、食品添加物、
      清涼飲料水

【温熱食】人体を温める
肉類;牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉
野菜;玉ネギ、ネギ、ニラ、カボチャ、ニンニク、らっきょ、
    (果物)桃、リンゴ、サクランボ、あんず
     人参、ごぼうなどの根菜類・その他;卵、魚(刺し身は実
     寒)、貝類、海栗、数の子、江尾、イカ、カニなど
    黒砂糖、日本酒
    山椒、わさび、コショウ、ショウガ湯、紅茶

 

 冷えが足から入る、陰性食品を制限した例とその治療経過
 【症例1】秋◆ひ◆み、66歳、女性
C.C. :腰痛
P.I. :若いころよりギックリ腰よくおこしていた。
     (2~3回位/年)ここ2~3年腰痛がひどく
     食事の途中横になって休まないといけない。
     炊事も立っているのがつらい。
     ダンス教室で教えているが、冷えるとよくな
     い。お茶、コーヒーは若い頃から大好きでよ
     く飲んでいた。
     H23.6.21.受診。

 

治療&経過
H23.6.21.;受診。水分チェック。
起きてすぐ  10時     3時
       朝      昼      夕

 
     緑茶1    緑茶1     緑茶1
             ヨーグルト  ビール150ml
  水1    コーヒー1   コーヒー1
上記の陰性食品を極力制限を指示

漢方  ; 朝        昼      夕
     六君子湯  八味地黄丸  八味地黄丸
              人参湯    桂枝茯苓丸
鍼治療;太溪;灸頭針、肘関節の
     膝3穴に置針し、腰以下の運動療法。
6/24;食事の時休まないといけなかったのが違って
      きた。30分座っていると背中がはっていたの
      も違ってきた。同鍼治療。
7/5 ;音楽会に行き軟らかい椅子に座り腰痛(+)
      同鍼治療。その後、梅干を漬けて腰痛(+)
漢方  ; 朝       昼        夕
      六君子湯 八味地黄丸 八味地黄丸
             十全大補湯 桂枝茯苓丸

7/19;台風6号で腰痛(+)
7/26;腰痛徐々に良くなっている。ダンスは火、水、
      金にしているが今の所よい。
7/30;本日は腰がやや重い。ノドが詰まる感じがす
      る。
鍼治療;ノドが詰まりに対して、内関、壇中、
         天突、百会に置針。
漢方  ;   朝      昼        夕
      紫朴湯  八味地黄丸  八味地黄丸
            苓姜朮甘湯  苓姜朮甘湯
8/6;昨日寒くてタオルケット2枚使った。
    ダンスで冷房強いと其の夜は腰痛ひどくて寝
    れなかった。
漢方 ; 朝      昼       夕
    五積散   五積散    五積散
    附子末1g  附子末1g  附子末1g
8/11;やはりダンスで冷房強いとよくない。
     ダンスの前足がスースーする。ダンスの前、
     桂枝湯を頓用を指示。
     ダンスの日は
漢方; 朝      昼     夕
      五積散   五積散   五積散
     附子末1g  附子末1g 附子末1g

    
ダンスのない日は
漢方;   朝    昼    夕  
     桂枝湯 桂枝湯 桂枝湯
※足のスースー感強ければ麻黄附子細辛湯の合方を指示。又ダンスの前後に足湯を指示。

8/20;桂枝湯はよかった。足のスースー感はよくなった。
8/27;足湯と漢方で腰痛だいぶ違う。7割はとれている。
9/8 ;大分の娘の所へJRで行ったが、冷房が強く腰痛がぶり返した。本日朝は起きるのに一苦労した。2週間後に又大分へ行くか不安で気になるとの事。
急性腰痛症の処方
  10時     11時    12時    5時
芍薬甘草湯2包 桃核承気湯 五積散2包 八味地黄丸
  附子末1g    四物湯   附子末1g  桂枝茯苓丸
9/11;腰痛かなりよい。
     腰部の細絡に刺絡後吸い玉施行。
9/16;ほとんどよい。最近少しイライラする。実は娘が体調不良で―――気になる。
漢方  ;朝       昼      夕  
    五積散  加味逍遥散 八味地黄丸
    附子末1g         桂枝茯苓丸
鍼治療;調気、四神聡、印堂へ置針。その後頸背部の凝
      りに置針。
      直後に少しスッキリしたとの弁あり。
 9/22の大分行きについて;『冷え』は足から入り、冷気は床上10cmが危険範囲なので、危険範囲に足を入れないこと。椅子の上に座るのが最善の予防法と説明し、すこしでもおかしかったら足湯をすすめ、納得されました。
9/23;行きも帰りも椅子の上に座っていたので、腰痛は全くなかったとの由。東洋医学はスゴイですねと言われました。今まで誰からもそんな事言われた事がなかったと。自分でも考えつかないなどなど―――。

 

 その後、この方はすこし波がありながらも結局廃薬。ダンスの冷房にたいしても予防できるようになりました。日常生活上の支障もなく元気に過ごされています。

 

【コメント】東洋医学の世界に身を置いて、西洋医学一辺倒の時には想像できないような経験を沢山沢山しました。其の一つは、『冷え』が存在しそれが人体に入り込み、疼痛の原因となること。しかも腰痛、膝関節痛、腹痛、生理痛、頭痛などの幅広い疾患の原因となりえます。
私のそれまでの常識を悉くぶち壊されました。器質的変化・所見が痛みの源因と思っていたのが、画像所見とは全く関係ない世界それも目に見えない経絡という世界を使えばいとも簡単にその場で痛みは軽減消失(全部ではありませんが)する。生まれて初めて経験したときの感激は忘れられません。
 整形外科では、痛みを訴えられれば先ずレントゲン写真。関節隙が狭ければそれが痛みの原因、骨棘があればそれが原因(器質的変化)とする傾向になりがちですが、同じ訴えがあっても画像診断で異常がなければ、チョットおてあげ状態となり原因不明で様子をみましょうとなります。
よくよく考えると1週間前に膝関節の痛みがでたとして、レントゲン写真で変形性関節症の所見(以下OA所見)がありますが、どうみても5~10年は経ている変化なのに、「首をとったり」とその所見を原因とします。
 ずっと以前、或る患者から、「OA所見が原因と10何年前からどこの病院にいっても言われたが、治療しているといつの間にか痛みはおりあう。OA変化はずーっとあるのに、それが痛みの原因と先生が言うなら痛みはずーっと続かんとおかしか。他に原因があるとやなか」と言われた事があります。
その当時は屁理屈を言う人だなと気にもしませんでしたが、東洋医学の門を叩き、経験するにつれ、ひょっとしたら画像診断とは全く別の次元に本質があり、画像診断は器質的な変化を捕まえるのは得意で、私たち西洋医学の教育を受けた者は目に見える物を信用するため、ひょっとしたら錯覚の世界――と(一人勝手に考えたりしています。独断と偏見は多々加味されていることはご勘弁下さい。)
 西洋医学一辺倒の時は、疼痛はほぼ関節がらみ、神経がらみの症状で治療法は痛み止め。
兎に角止めるのが治療方針で、効かなければ痛み止めがエスカレートし強力な痛み止めを使いまくっていました。が、東洋医学の世界にはまり、『痛みは冷えると起こる』がTRUEで『治療方針は温める』が大方針です。力ずくで押さえ込む治療から、温めて自然治癒力を引っぱりだして治って行くという治療へ360度方向転換しました。

 

 さて、此の症例は、漢方の使い方はうまくないと思いますが、当初ダンスの指導で腰痛があり、本人はダンスが原因と考えられていました。普通はそうでしょう。医者もそうでしょうとあいづちを打ち、腰局所の異常を探します。東洋を学ぶと診方が変わります。
『冷え』が足から入り、腰痛が生じると考えます。1年中ダンスはあっており、7月の時点では、やや改善傾向。8月に入り冷房を強くしだして、疼痛増悪し、先ず、冷気を飛ばすために扇風機を床に当てるように指導。若干軽減される。更にダンスの前後の足湯を指導して腰痛7割減。その後大分行きで、JRの冷房で足を下げて冷気を浴び腰痛増悪、次回は椅子の上に座り、冷気の中には足を入れないようにした所、腰痛ゼロでした。これは何をしめしているのか?
東洋医学の解釈では私は、『冷え』が足から入り腰痛が生じた事を充分証明できると考えていますが、いかがでしょうか?

 

次いで、腰痛症(第5腰椎分離症)でブロック注射をしているが良くならず、徐々に悪くなってきており、此のままでは歩けなくなるのではと考えて受診された方の治療経過を呈示します。

 

【症例2】◆場◆次、56歳、男性
C.C. :腰痛症
P.I.  :H20.夏頃より腰痛~左アキレス腱痛出現。鎮痛剤湿布等にて治療つづけるも、今一つでブロック注射をしているが、徐々に悪くなって来ており、日常生活にも支障があり、歩けなくなるのではと考え始め、不安になり治療法を変えてみようとH21.10.19受診。
治療&経過
H21.10.19. ;受診。第5腰椎分離症は確かにありますが、東洋医学の考え方は『冷えると痛む』が大原則で、食生活や体質に問題があると考えると説明し治療開始。まづ水分チェック。

 

 朝    昼     夕
コーヒー コーヒー コーヒー
上記の陰性食品を極力制限
接客が多くの其のたびに茶をのむ
食事は午後10時以降が多い
鍼治療;膝3穴に置針し腰以下の運動。
 漢方 ;朝     昼       夕
   六君子湯 牛車腎気丸 牛車腎気丸
          桂枝茯苓丸 桂枝茯苓丸
10/26;毎日職場で体温測るが、上がってきた。
      起床時の痛みの質が違ってきた。同鍼治療
     漢方;朝    昼    夕
       人参湯 牛車腎気丸 牛車腎気丸
       真武湯 桂枝茯苓丸 桂枝茯苓丸
      附子末1g 附子末1g 附子末1g
11/9 ;腰痛一下肢痛だいぶ良い
      汗を良くかくようになった 同鍼治療
11/16;腰痛少し気になる程度 同鍼治療
12/12;腰は調子良い。当初の3~4/10
      位になっている。夕方頭痛がする。
      頓服処方
12/24;頭痛はすぐに治った。
H22、H1
  H18 ;腰痛は良い。右肩痛あり。
       しばらく肩の治療
 2/4 ;ノドが詰まった感じがある。
      横に塊があり押さえると少し痛む。
      西洋医学では咽喉頭神経痛、東洋医学では梅核気
 鍼治療;太衝、内関、豊隆、天突、百会に置針。
      直後に少し軽くなった。
 漢方薬;四逆散+半夏厚朴湯3包3×
 2/9 ;ノドの詰まりはとれた。
 2/16;右肩凝り(+)肩凝りの針施行。
 3/23;腰は良い。肩凝りがひどくなった
    漢方;二朮湯+桂枝茯苓丸
 4/6 ;肩凝りはだいぶよい
      左目が重い、以前から蓄膿症がある。
      これも治療できますか
 鍼治療;迎香、清明、上星
 漢方薬;荊芥連翹湯 3包3×
 4/20;左目顔面の重いのはだいぶ良い
 5/11;腰は良いが、肩凝りが気になる
    朝    昼    夕
  六君子湯  二朮湯  二朮湯
 
       桂枝茯苓丸 桂枝茯苓丸
 6/8 ;久しぶりに腰痛~下肢痛出現
   鍼治療;膝3穴置針し腰以下の運動療法
   漢方薬;    朝       夕
        桂枝加朮附湯 八味地黄丸
         桂枝茯苓丸
 6/29;腰の芯が重い
 7/21;梅雨が明けたらコロット違う
 8/11;雨天で右肩と左踵の痛みが来た
      梅雨の湿気の影響、水の影響は
      右上半身と左下半身にくる事を実
      感され、筋肉の質を変えようと漢
      方薬を変更。
  朝昼 ;六君子湯、夕;牛車腎気丸+桂枝茯苓丸
11/24;雨天時に右肩が重くなることが
      時々ありましたが、肩凝りは全
      然違ってきたとの弁あり。
こんな感じで翌年の2月まで治療され廃薬。

 

コメント】
腰痛の原因を第5腰椎分離症と思い込まれ、痛み止めやブロック治療をされたにもかかわらず、症状は増悪傾向のため、治療方法を思い切って変更された方です。当初半信半疑でしたが、冷える食事を減らされ、自分の体に聞くことを徐々に体得されました。症状が薄皮を剥ぐごとく改善するのを実感され、東洋医学の考えを理解され実行され、気候の変化;雨天前や寒冷で症状が悪化するのもわかるようになりました。
何故六君子湯を使ったか?私の独断と偏見が加味されていますがーー東洋医学では五行学説というのがあります。肝→心→脾→肺→腎、脾→胃→肉→口→唇;脾は胃と表裏の関係にあり肌肉を司り口に開竅しその華は唇にあると考えます。
従って六君子湯で脾をよくすると肉の質がよくなり、肩凝りも良くなるというう訳です。『冷えると痛む』がtrueで『治療は温める』がやはり大原則。西洋で行き詰まったら、東洋にスウイッチをいれかえると医者も患者様も救われるのを実感した症例です。

 

次いで今年の夏、夫婦で口養生を頑張らされサーット治っていかれ方を紹介します
症例3】◆田◆明;68歳、男
C.C. ;腰痛
P.I. ;昨年10月より腰痛(特に右)~右下膝肢痛あり。痛み止めを飲んだり湿布をしたりしているが、一向に良くならない。どうかするとひどくなっているかもと思うときがある。もうすぐ一年になるのでーー漢方と針でどうにかなるかとH25.7.3.受診。
治療&経過;
H25.7.3.;右腰は東洋医学では水毒。水分チェック。
起きてすぐ 10時   3時   寝る前 茶16杯
      朝    昼     夕

     茶1    茶4    茶3  茶1
  茶1   冷茶3   冷茶3   ビール1

上記の陰性食品を 極力制限を指示
針治療;右足に八風、肘の膝3穴に置針し腰以下の運動療法施行。
 漢方 ;朝      昼      夕
    六君子湯 牛車腎気丸 牛車腎気丸
           疎経活血湯 桂枝茯苓丸

7/5;右臀部痛気にならない。同鍼治療
7/8;痛みほとんどよい。右下腿に少し違和感がある。同鍼治療
7/10;張った感じがある。
 漢方;朝     昼       夕    同鍼治療
   六君子湯   柴朴湯  牛車腎気丸
                  疎経活血湯
7/17;張った感じほとんどよい。右下腿に少し違和感がある。
 漢方;朝     昼       夕
   六君子湯   柴朴湯  牛車腎気丸
                  疎経活血湯
                  桃核承気湯
                  少量
針治療;右下腿に少し違和感に対して左側臥位で環跳に刺針。右下腿に響かせる。直後に違和感軽減す。
7/23;前回の針治療で全然違う。良い。疼痛は無い。
7/27;調子良い。
8/2;調子良い。廃薬。

 

コメント】
茶所八女で茶の生産に携わられている方です。西洋医学で治療しているけれども、パットせず、徐々に悪くなってきたと言われました。
東洋医学では疼痛は『冷えると痛む』が大原則、そして治療法は『温める』です。この方は茶16杯、ビール350ml1本共に東洋医学では陰性食品で清熱作用(人体をひやすの意)があります。又痛み止めと湿布には消炎・鎮痛・解熱(人を冷やします)の効果があり、鎮痛効果を狙っても解熱も働きます。
これを理解してもらった上で、更に何故西洋医学で治療していて10ヶ月も治らなかったのかも(東洋医学では『冷えると痛む』が大原則、治療法は『温める』しかし、西洋には『温める』治療は無く、痛み止め湿布は冷やす作用があること。『冷えると痛む』をさらに食事と痛み止めで冷やすから治るはずがないと説明)理解してもらいました。
最初は半信半疑でしたが、今からきっぱり茶・ビールを止めると言われ、針治療と漢方薬の治療を開始しました。
経過は3日目には右臀部痛が気にならない。6日目には痛みほとんどよい。右下腿に少し違和感がある。こんな感じで、張った感じの訴えがあれば一気滞として柴朴湯を投与し効果あり。
右下腿に少し違和感の訴えには一経路の少陽胆経の穴位に針、患部に響かせると超速効で症状は軽減消失しました。西洋で10ヶ月治らなかったのが、東洋の治療法に変えると1ヶ月で目処がつきました。
西洋医学で50歳まで治療してきた経験と比較すると、経過の早いことが圧倒的に多く、私のなかでは症例疾患によりますが、東洋も捨てた物ではないと考えています。
私は50歳で方向転換して、良かったとつくづく思います。 (長らく西洋で治療して経過が今一つならば、東洋に切り替えてみるのも選択肢の一つとして持っておくと、結果として医者も患者も救われるのではーーと一人勝手に考えています。)

続いて上記の方の奥様登場です。
症例4】◆田◆子;63歳、女性
C.C. ;両肩関節&手関節痛、両拇指関節痛
P.I. ;2~3年前より両肩関節痛出現、痛み止めや湿布をしている。昨年10月より両拇指関節痛出現。痛みが続けば手術をした方がよいと言われた。本年1月より両手関節痛出現。長く治療しているのに、痛みの箇所が増えてくるので、おかしいと思っていたが、夫が治療し経過が良いので勧められてH25.7.9受診する。
治療&経過;
H25.7.9.;関節痛は東洋医学ではやはり水毒。水分チェック。
   10時    3時
 朝     昼    夕

生野菜  緑茶1   緑茶1  緑茶5~6杯/日
      緑茶1
    緑茶1   緑茶1
上記の陰性食品を極力制限
針治療;調気、右手に八邪、肩に灸頭針、
     頸背部の凝りに置針
 漢方 ;朝     昼     夕
    六君子湯  薏苡仁湯  薏苡仁湯
          桂枝加朮附湯 桂枝茯苓丸
7/13;足がほてる。手関節痛は良い。肩関節痛あり。
漢方;    朝     昼     夕
      六君子湯  苡仁湯  六味丸
     桂枝加朮附湯 三物黄芩湯
針治療;左手の八邪、肩に灸頭針、頸背部の凝りに置針
7/16;こわばりは少し減ってきた。右は良いが左がもう少し。
     左肩関節痛あり。
針治療;左手の八邪、肩に灸頭針、
     背部細絡に刺絡後吸い玉施行。
7/18;左肩関節のどうしようもない痛みは減った。
     手のこわばり左小指に少しあるだけになった。
針治療;左手の八邪、肩に灸頭針、
     背部細絡に刺絡後吸い玉施行。
7/24;だいぶ良い。手のこわばりもかなりよい。
     足のほてり気にならない。
7/29;左小指に午前中のみほんの
     少しこわばりがある。
     夕食で茶飲んでいませんかと
     聞くと、少し飲んでいるとの弁。
     朝のこわばりは東洋医学では
     水毒と説明し納得される。
8/2 ;夕食の茶止めて2日目よりこわばらなくなった。廃薬とす。

 

コメント】この方はご主人の治療経過をみて又勧められ、また西洋医学の治療を数年受けられているにもかかわらず、疼痛箇所が増えてきたため疑問を持たれ受診されました。
東洋医学の水毒については、やはり最初半信半疑でした。が治療の経過につれて、どうしようもなかった左肩痛やこわばりが徐々に軽減する事を実感され、理解してくれました。
最後の仕上げ夕食時のお茶を止められて自分の体に聞かれ、こわばりが消失しました。
食事と茶で悪くしていたなんて、八女は茶所で此のことを知らない人が沢山いると思うから教えて上げると言ってくれました。
 ちなみに、薏苡仁湯は冷えて痛むの主方です。
参考【薏苡仁湯】構成生薬は7種類(湿痺の基本処方)
薏苡仁 寒 瀉 燥 ? 散
蒼朮  温 瀉 燥 升 散
当帰  温 補 潤 升 散
麻黄  温 瀉 燥 中 散
桂皮  温 補 燥 升 散
芍薬  寒 補 潤 中 収
甘草  平 中 潤 中 収
       温が多い→冷えで痛むに用いて最善という事です。

 

薏苡仁、蒼朮、麻黄は、いずれも強い利用作用を持ち、組織間の水分を血中に吸収し水毒から派生する関節・筋肉の腫痛、水腫、麻痺、浮腫を治す。
芍薬は、筋肉の異常緊張をとり鎮痛効果を高める。
当帰、芍薬は血分薬で栄養状態の改善にも働き、少し深い所にも対応する。

 

当院について

自然
50歳をすぎて始めた東洋医学の治療効果--西洋医学だけの時よりも患者さんの治り方があきらかに違う。
人が本当に治るというのはこんな治り方をするのかと感激しさらに東洋医学のふかみにはまりました。
整形外科以外の他科疾患--例えば眼科、耳鼻科、精神科、皮膚科などの症例もすこしづつ増えて本当に治っていきます。
そんな方々の声があります。
患者さんと私や当院のスタッフはその事を知っていますが、それ以外の人はほとんど知りません。患者さんの了解を得て『患者のこえ』の作成を思いつき、それを公開しようと考えました。色々やってみたが--、体質とあきらめている。年のせいとあきらめている。等等--東洋医学の門をたたいてもらえれば一助になるかもしれません。

医院概要

【住所】〒834-0005
福岡県八女市大島18-1
【院長】樋口 理
【TEL/FAX】0943-23-2765
【診療時間】
9:00~12:00
13:20~18:00
【休診日】
土曜日午後・日曜日・祝日