論文タイトル

21.東洋医学治療の小経験  -口の中&顎関節-

21.東洋医学治療の小経験  -口の中&顎関節-


東洋医学治療の小経験
 -口の中&顎関節-

東洋医学ひぐちクリニック
    樋口 理

西洋医学一辺倒の時は、顎関節症の方にはステロイドの関節内注射をして温熱治療をして終わり。小さな音がする、グツグツ音がする、硬い物がかめれない、口が開かない等の訴えには、あまり対応できなかったと思います。
しかし、経絡を使い鍼治療しかも上病下取(上の病は下のツボを使って治す)の原則に従うと比較的簡単に症状の軽減消失を経験します。
口の中の諸々の訴えも経絡を使い、首から上の症状は熱や風が原因と考えてアプローチすると、症状の軽減が計れます。
最近経験した口の中&顎関節の問題の症例を呈示します。

【症例1】U.E.、54歳、女性
C.C.;顎の音(3年前から)-顔面湿疹の治療が終わって-
P.I.;顔面湿疹の治療が終わって--3年位前から顎関節の音が気になり、マウスピースを作成し治療していたが、かえって顎がガクガクした感じが強くなり、これ以上治らないと言われ、あきらめているが-湿疹が良くなったので、ひょっとしたら漢方と鍼治療でどうにかなりますかと依頼あり。
治療&経過;顎関節は経絡では足陽明胃経なので、迷わずに内庭・裏内庭の圧痛の強いツボに鍼治療を施行置針15分。その後、円皮針を同部に貼り、1~2回/日 押すように指示。2週間後、殆ど気にならない。

【症例2】T.E.、28歳、女性
C.C.;顎が痛くて口が開けれない
P.I.;3週間前より特に原因なく顎が痛くなり、口を開けれなくなり、アクビができない。
治療&経過;顎関節は経路では足陽明胃経なので、迷わずに内庭・裏内庭の圧痛の強いツボに鍼治療を施行置針15分。置針中は口の開閉を指示;遠位置針一患部運動療法。直後に最大開口が可能となり、顎関節痛も軽減す。
1週間後かなりよい。殆ど気にならない。もう一度鍼治療をして、治療。

コメント;顎関節症は西洋医学では、治療法はマウスピース作成し夜間装着、或いは昔の私みたいに関節内注射、温熱療法など。この治療は野蛮だと今は思っています。
 東洋医学では『冷えると縮む・痛む』が原則。治療法は温める・緩める。遠位置針一患部運動療法にて、【症例2】は鍼治療直後に症状軽減し開口可能となり、【症例1】は3年間の症状がやはり2~3回の鍼治療でとれました。
 西洋医学でうまくいけばそれで良し。うまくいかなければ、東洋医学へスイッチを入れ替えると、医者も患者も救われます。
 顎関節症に対して、経路を利用した遠位置針一患部運動療法はかなり使えるのではという印象を持ちました。

 次いで、口腔内及び舌に関係する経路と症状の関係を示します。
重要なポイントは足の太陽膀胱経のみが関係していないという事。
その他の経脈は、咽喉・唇・舌・頬・歯肉などに直接循行、或いはその支脈が交会する。

①手の陽明大腸経
   循行;示指橈側の商陽穴→上肢伸側前縁→缺盆穴→頸両頬→下顎の歯→口を挟み
      →左右が人中で交叉→対側の鼻傍(迎香)
   症状;歯痛・顎部の腫脹・口の歪み・咽喉の腫脹疼痛・顔面部の腫脹・口の乾燥

②足の陽明胃経
   循行;鼻傍(迎香) →上行して鼻根部→鼻翼の外側→上顎の歯→口唇を繞る
      →オトガイ唇溝→顎の後下方→大迎頬車→缺盆
      支脈→横隔→胃に属し脾に絡む→鼠蹊部で合流→下肢下行→第Ⅱ指外側
      支脈→乳頭を経て腹部下行
   症状;口角の歪み・口唇の潰瘍・歯肉の腫脹

③足の太陰脾経
   循行;足第Ⅱ指内側隠白穴→内果→陰陵泉→大腿内側→腹;脾に属し胃に絡む
      隔を上り→食道両側を挟み→舌本に連なり、舌下に散じ、舌中を貫く
   症状;舌痛・舌根部の硬直

④足の厥陰肝経
   循行;足第Ⅰ指外側大敦穴→内果・下腿・大腿内側→陰器→下腹章門期門→肝に属し胆を絡む→上って隔を貫き脇肋部に分布→喉を巡り→目に連なる支脈は頬に下行→唇を囲む
   症状;口腔および咽喉粘膜の乾燥や疼痛・落屑性疾患

⑤足の少陰腎経
   循行;足の小趾の下→足心を走り→踵部→下肢の屈側→腹→脊を貫く→腎に属し膀胱に絡む→肝横隔を貫き→肺に入り→喉を巡り→舌根両側を挟む
   症状;口中の熱感・口や舌の乾燥と疼痛・歯の乾燥

⑥手の少陰心経
   循行;心中に起こる→横隔膜を通過→小腸に絡む
      支脈→心から上る→食道の傍ら→咽喉を挟む→目や舌本に連なる
   症状;咽喉の乾燥、口の乾き

⑦手の太陽小腸経
   循行;小指外側の少沢穴→上腕外側→肩に入る
      支脈→頸部に沿う→頬に入る→目尻→耳中に入る
      支脈→頬で別れ上り→鼻の外側→目頭→頬骨に絡む
   症状;咽喉疾患、頬部の腫脹、歯の疾患

⑧手の少陽三焦経
   循行;中指末端の関衝穴→上腕外側→肩→缺盆
      支脈→頸→耳後方→額角部→下行して頬部→眼窩→枝は頬から舌本へ
   症状;頬や舌の腫脹疼痛、歯痛、牙関緊急(開口障害)

⑨足の少陽胆経
   循行;目尻の瞳子 穴→上って額角→耳後方
      支脈→耳後方→耳中→耳前方→目尻の後方
   症状;口の苦み、顎の疾患

⑩督脈
   循行;後正中線を上行→後頸部→頭頂部→顔面正中を下行→上顎歯肉の正中
   症状;咽喉の乾燥、口の歪み、歯肉の腫脹

⑪任脈
   循行;前正中線→胸→頸部→下唇中央→口唇を循環→顔面・頬→眼窩下縁
   症状;口の歪み、失語、歯の疾患、流涎

舌痛症;
 首から上の症状は、その多くは熱として対応すれば解決できそうです。但し、全身のバランスが重要課題となりますから、東洋医学で言うところの“気・血・水”及び“冷え”“瘀血”“頸背部の凝り”の処置が鍵を握ります。
 結構、加味逍遥散を中心にして鍼治療などを併用すれば自然に落ち着いて来ます。

最近経験した症例を提示します。

【症例3】T.H.;71歳、女性
C.C.;左足のしびれ、不安感、イライラ、扁平苔癬
P.I.;2年前から左足のしびれがあり、気になって仕方がない。冷え性である。足がよくつる。何かにつけて、イライラしたり、急に不安になったりして、泣きたくなることがある。体調を良くしたい。それから、扁平苔癬と診断されている。
歯科や口腔外科では治療法がなく、10年かかっても治らないと言われたが、これもどうにかなるなら治療して欲しい。口が大きく開けれず、しみて困っている。

治療&経過;漢方薬には裏寒に対して附子理中湯+真武湯、イライラや扁平苔癬に対して加味逍遥散をベースに清熱剤を頓用。鍼治療は調気、三気海、頸背部の凝りに置針。頸背部の凝りは非常に圧痛強く、少し押さえただけで飛び上がるほどでした。(今まで一番でした)
不安感が強い時には甘麦大棗湯を頓用。足のしびれに対しては八風、牛車腎気丸を投与。
1ヵ月後には、しびれはほとんど気にならなくなりました。又口も開けやすくなりましたが、まだかなりしみます。
3ヵ月後、口すぼめと最大開口で少しつっぱる。当初の7/10は減っている。半年後、諸々の症状は殆ど気にならなくなり、廃薬間近と思われます。

コメント;西洋医学では治療法が無いと言われそのまま放置しておくよりも、東洋医学ではtryできると考え、患者様にも説明し納得の上で治療開始。暗中模索しながら、どうにかなりました。
基本は頸部から上の問題は熱が原因とし、治療方針は清熱、後はバランスの問題で特に頸背部の凝りがやはり重要でした。

非常に頑固な凝りでしたが、軽くなるにつけ、全身状態が少しづつ良くなって来ました。10年かかっても治らないと言われたのが、半年で少し目処がつきました。
やはり、いつも自然治癒力はすごいと思います。

【参考】扁平苔癬
皮膚粘膜に見られる慢性表在性の非感染性の炎症。
口腔扁平苔癬の特徴は、口腔粘膜に生じる白色の丘疹や網状の角化性病変であり、その周囲粘膜に充血、発赤、びらん、滲湿、浮腫を伴うことがある。
好発年齢歯、13~80歳出、女性に多く、特に40歳以降に多く見られる。発症期間は数ヵ月から数年に及び、再発しやすい。病因は明らかでない。
治療法も無い。

当院について

自然
50歳をすぎて始めた東洋医学の治療効果--西洋医学だけの時よりも患者さんの治り方があきらかに違う。
人が本当に治るというのはこんな治り方をするのかと感激しさらに東洋医学のふかみにはまりました。
整形外科以外の他科疾患--例えば眼科、耳鼻科、精神科、皮膚科などの症例もすこしづつ増えて本当に治っていきます。
そんな方々の声があります。
患者さんと私や当院のスタッフはその事を知っていますが、それ以外の人はほとんど知りません。患者さんの了解を得て『患者のこえ』の作成を思いつき、それを公開しようと考えました。色々やってみたが--、体質とあきらめている。年のせいとあきらめている。等等--東洋医学の門をたたいてもらえれば一助になるかもしれません。

医院概要

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【院長】樋口 理
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