論文タイトル

26.東洋医学の概念 ー体質;寒熱編ー

26.東洋医学の概念 ー体質;寒熱編ー


東洋医学の概念
ー体質;寒熱編ー

第4部 東洋医学ひぐちクリニック
樋口 理

東洋医学の診方に体質;寒熱があります。西洋医学にはありませんが、困った時に知っていると助けられます。寒の人は温める、熱の人は冷ます治療をすると、バランスが中庸に是正され、自然に治って行きます。

其の際生薬の薬性;熱•温•平•涼•寒を知っていると、手帳の病名に惑わされることなく、使用でき効果をあげる事ができます。治療原則は、”寒は温める”熱は冷やす”が大原則となります。

日本漢方の重鎮の先生方は、日常臨床上、手帳の病名で漢方を処方していては、ヒット率は10%前後と言われます。

劉大器先生が「漢方 日本人の誤解を解く」講談社の中で寒熱22項目について、詳しく述べられていますので、ご紹介します。
先ずは一覧表を提示します。

    寒体質   熱体質
 1 手足   冷たい   暖かい
 2 顔色   青白い   赤い
 3 毛髪   湿った猫毛   乾燥して茶色い
 4    潤んだ涙目   赤く充血
 5 鼻水   水っぽい   粘り気がある
 6 耳の分泌物   サラサラ   粘り気がある
 7 唇の色

  青白い

  粘り気がある
 8    色淡苔白い   色濃く苔茶色
 9    あまり渇かない   渇き易い
10    遅い   速い
11 食欲   不振   旺盛
12 飲み物   熱い物好き   冷たい物好き
13    湿っぽい   乾燥している
14      割れやすい
15 尿   白っぽい   濃いい黄色
16 便   下痢気味   便秘気味
17 生理の周期   長くなる   短くなる
18 おりもの   白っぽくサラサラ   黄色くネバネバ
19 精神状態   冷静物静か   イライラ焦りがち
20 性欲   淡白型   亢進型

21 睡眠

  長い

  短い

22 季節

  夏に強い

  冬に強い

     

1.手足;
手のひら、足の裏が火照る
熱のある人の手は、いつも温かく、時には火照っています。又、イライラすることが多く、季節を問わず、就寝時に足を布団の外に出しています。
漢方では、此の状態を『五心煩熱』(ごしんはんねつ)と言います。『五心』は、胸•両手のひら•両足の裏の五箇所の「中心」のことで、此の五カ所が熱で煩わされている事を示します。
此処が火照っている人は、「不眠」「不安」「ストレス」「イライラ」「頭痛」「めまい」「怒りっぽい」等、精神面の不快症状の訴えが多いです。
治療方法は、虚熱が多く、陰を補いバランスがとれてくると自然によくなります。
手足が冷える
若い女性に多く見られる「冷え性」は、まぎれもなく「寒証」です。このタイプの方は、顔色は青白く、生理のときのトラブルが多発し、慢性の便秘症を伴います。治療は温めるです。

2.顔色;
鮮烈な赤色は「熱」性で、青白く蒼白な場合は「寒」性とみなします。

3.毛髪;
「毛髪」は「毛」と「髪」に分けられます。「毛」は体毛を、「髪」は頭髪を指します。黒髪を正常とし、薄黄色(茶色っぽい)に変われば、「熱」の状態と判断し、髪質がカサカサした乾燥状態になれば、確実に「熱」 と判断します。
湿った猫毛は「寒」と判断します。
※唐代の医学書『千金要方』の《房中編》には、性交の相手の選び方として、
(1)体毛が細く柔らかく、黒々として光沢があれば、『良い気』を与えるので安心して良い。
(2)体毛がカサカサして、針のように硬い毛の相手は『気』を奪い健康を損なうので、即効性交を中止すべきであす。
現在に生きる日本人には思いもつかない考え方ですが、納得できそうです。

4.目;
•東洋医学では、西洋医学と違い温→熱→火と言う考えがあります。
中国には「上火」という俗語があり、意味は火が燃え上がる様を言い、「熱」が最も重い症状を意味し、典型的な症状は、目の充血(赤目)です。
•治療法は「赤目」には「寒」性の処方で熱を冷ますとなります。
食事では熱性を減らす一香辛料、刺激物、アルコール等をへらします。
目ヤニが黄色でネバネバも熱の症状です。

5.鼻; どういう鼻水かで薬が違う
•鼻水が薄くてサラサラの液体状→「寒」と判断。薬は熱性を処方
•鼻水が粘りがあって黄色っぽい→「熱」と判断。薬は寒性を処方
赤鼻は熱症状の典型 で肺に熱が生じていると考えます。
•治療は飲食では、辛味噌、香辛料、カレー粉、ニンニク、ニラなどを制限。
アルコールは御法度です。清熱剤を使うと、自然な正常な色に戻ります。

6.耳;
分泌物;正常は薄い黄色。色が濃い或いは粘り気は「熱」
     透明でサラサラは「寒」
耳鳴りは基本的には「熱」 ー生殖器の衰退と関係あり。

7.唇と口臭; 赤く鮮やかな唇は「熱」、青白い唇は「寒」

•口が大きく唇の肉が厚い充実→温厚、誠実→漢方;消化吸収機能良、食欲旺盛
•唇が薄い→繊細、清楚→漢方;食が細く、胃腸器系が弱い
•唇の色;正常は赤みが薄い。赤みが深く鮮明→「熱」性を帯びると判断。
•秋は「乾燥の季節」で要注意;体内に熱が溜まりやすい。
• 口臭は胃腸に熱が溜まると強くなる。 治療は胃熱を冷ます

8.舌; 舌は内蔵の鏡
•「寒熱」の判断;
「熱」;赤みが強く、茶色~黄色の苔あり。
「寒」;赤みが薄く、真白な苔あり。

9.のど
•唾(つば)は大事な水液
•「口の中がネバネバする」「口が渇く」「よく茶を飲む」→「熱」の症状
•唾液が足りないのは「熱」症状の典型。
•日常生活で水分をとらない→「寒」の症状
•異常に水分を取る→健康バランスの崩れを意味する。

10.脈
•脈が速い→速脈→「熱」性を示す。
•脈が遅い→遅脈→「寒」性を示す。

11.食欲; 食欲がありすぎる人は「熱」
•古典では;胃の機能が旺盛になると病気は退き、胃の機能が弱まると病気は進む、そして胃が機能しなくなると病は治らない。
•胃の機能を旺盛にするためにはどうするか?→粗食にすると機能が高まる

12.食べ物•飲み物の温度
飲食物の温度に極端に執着する人 ー冬でも氷→「熱」性かも
                 夏でも熱い→「寒」性かも
•好みの変化;夏にザルソバ→熱いソバに変化
         いつも熱燗→冷や酒に変化  →体の変化を疑う

13.肌; 漢方では肌を管理する臓器は肺
•アトピー性皮膚炎、花粉症、喘息等は、全て肺機能の異常によると考える。
•肌が乾燥して割れ目やとびひ(水泡性皮膚炎)→「熱」性と考える
•肌が蒼白で光沢に乏しい→「寒い」

14.爪
爪が薄くて割れやすく縦筋や横筋がはいってる→「熱」を疑う

15.尿; 尿でその日の【寒熱】を知る
朝一番の尿でチェックする
茶色又は黄色っぽい色で、においが強烈な尿→「熱」状態を示す
白くて透明で、においがあまり感じられない尿→「寒」の状態を示す

16.便; 朝一番の下痢は「寒」性の証拠
•体が「熱」→便は体内で乾燥し便秘がち、排便時に肛門の灼熱感を伴う
•体が「寒」→往々にして水様便。寒い気候や冷えると必ず下痢をする。
「寒」でも便秘。出初め固く、いったん出ると次々に緩くなる。
※同じ便秘でも、便の出方で「悪寒」の区別あり

17.生理; 周期の長短をチェック
•周期が短くなる→「熱」
•周期が長くなる→「寒」
•経血の色;鮮やかで明るい色→「熱」
       暗い色→「寒」

18.おりもの; 「寒熱」は尿と同じ
•色が黄色っぽかったり茶色の場合→「熱」;質的にはネバネバし、強い匂いがする
•色は透明に近く、白っぽくてサラサラし、量が多い→「寒」

19.情緒; 気が短いか、のんびり屋か
•怒りっぽい、焦りがち、気が短い→「熱」性
•のんびり屋→「寒」性
•焦燥、興奮、緊張は「熱」性
•冷静、呑気、鈍感は「寒」性
※参考;『黄帯内経』には。度をすぎた感情によって、健康が損なわれると書かれています
「喜びという情緒は結構なものだが、度が過ぎると循環器系が傷つけられる。」
「悲しみ過ぎると呼吸器系が傷つけられ、憂い過ぎると消化器系が傷つけられる。
恐れすぎると生殖•泌尿器系が傷つけられ、怒り過ぎると情緒管理の機能が乱れる」

20.性欲; 性は物理面と機能面のバランスが大切
•性欲が盛ん→「熱」
•性欲は淡白→「寒」
•バランス;油灯;油を燃やして、その炎の光を照明として用いる。
油が精液、炎は性欲→炎が強すぎても、弱すぎても役に立たない。

21.睡眠; 質の良い睡眠と悪い睡眠
•睡眠の異常→
「不眠」;寝付きが悪く、夜中に目を覚ましたりして寝付けない
     夢をみて眠りが浅いなど精神の不安定な状態も含む
「嗜眠」;いくら寝ても寝たりない、朝なかなか起きれない。
•「不眠」は「熱」、「嗜眠」は「寒」
※人の正常は頭寒足熱→頭熱足寒で不眠となる。
•陰中の陰;午前0時~午前2時は絶対寝ておくとバランスは保たれる。

22.四季;
夏に弱い人は「熱」、冬に弱い人は「寒」
•「熱性」の人は「冬に強く、夏に弱い」、「寒性」の人は「夏に強く、冬に弱い」
•アトピー体質の人;ふだん痒くて夜寝れないのに、涼しい季節は寝れる→「熱性」
•皮膚病;冬に悪化→「寒」性、夏に悪化→「熱」性

当院について

自然
50歳をすぎて始めた東洋医学の治療効果--西洋医学だけの時よりも患者さんの治り方があきらかに違う。
人が本当に治るというのはこんな治り方をするのかと感激しさらに東洋医学のふかみにはまりました。
整形外科以外の他科疾患--例えば眼科、耳鼻科、精神科、皮膚科などの症例もすこしづつ増えて本当に治っていきます。
そんな方々の声があります。
患者さんと私や当院のスタッフはその事を知っていますが、それ以外の人はほとんど知りません。患者さんの了解を得て『患者のこえ』の作成を思いつき、それを公開しようと考えました。色々やってみたが--、体質とあきらめている。年のせいとあきらめている。等等--東洋医学の門をたたいてもらえれば一助になるかもしれません。

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