論文タイトル

29.東洋医学治療の小経験 ーシビレの症例からわかった2~3の事柄ー

29.東洋医学治療の小経験 ーシビレの症例からわかった2~3の事柄ー


東洋医学治療の小経験
ーシビレの症例からわかった2~3の事柄ー

第4部会 東洋医学ひぐちクリニック
樋口 理

西洋医学一辺倒の時、ーシビレ・むくみ・こわばり等ーという訴えは言われても解決方法のない不定愁訴に近いもので、良い印象は有りませんでした。先輩からは、ムンテラムンテラと言われ、笑いを取ってお茶をにごし、積極的に治療などとはーー考えつかず、ほとんど取れにくい症状と思っていました。
東洋医学の門を叩き、漢方更に鍼灸の世界を知ると、西洋医学では考えられないような事が、いとも簡単に出来ることのすばらしさに感動しどっぷりとはまりました。
西洋医学では、シビレの原因は神経がどこかで圧迫されて生じ、手術してもなかなかとれないで残りやすい症状として定着しています。むくみは、立って仕事していれば大なり小なり起こる事象で、そんなに重要な事ではない。こわばりはリウマチの部分症状の一つ、あるいは使い過ぎーーーー

東洋医学では、すべて『水毒』。西洋医学にはない概念ですが、体内に水が停滞、溜まると考えます。もし水が溜まると仮定すれば、重力の法則で一番低い所(手足の末梢の末端)に溜まります。シビレ・むくみ・こわばり等の訴えがどこに多いかー手足の末梢に圧倒的に多いと思いますから、重力の法則と一致しています。そして、床上浸水理論で中枢側へ溜まり、治るときは床下へ水が引いて行く様なイメージで症状が軽減して行きます。

先ず、シビレについて考えてみます。長時間正座をすると足がシビレて立てなくなった経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、このしびれは神経がらみなのか?

脚を延ばすとしびれは比較的短時間にとれ、そのとき脚が温もるような感覚が伴うこともあります。脈管が圧迫されおこるかな?ボーリングをしすぎて指がしびれる。edgeで直接神経を圧迫が原因か。結構症状が永く続きます。手根管症候群のシビレ;TVの健康番組では手を挙手してグーパーグーパーすると現象論としてシビレは軽減すると説明していますが、何故軽減するかは?。
東洋医学では停滞している水;重力の法則で下へ動くからと説明し理解できると思います。

むくみ・こわばりも同様に東洋医学では水が溜まりむくみ、内圧があがるためにこわばると考えます。
従って東洋医学的には、シビレは神経がらみの症状ではなく、又、むくみ・こわばりと同様軟部組織に水が入り込み内圧が上がった圧迫症状と考えられます。これを『水毒』と言います。西洋医学では神経がらみの症状としますから、病名は座骨神経痛、腰部脊柱管狭窄症、頸椎症性神経根症、手根管症候群などとなります。
治療方法は、水分制限を柱に軟部組織より水を抜き内圧を下げるという事になります。

漢方薬の世界ではシビレは血虚(これもまた独特の概念です)であり、色々チャレンジしましたが、なかなか難しく限界かなとあきらめムードでした。が、鍼や刺絡(瀉血のことです)の世界をしり、チャレンジしてみると反応あり。それも鍼治療の15~30分という短時間で患者様が実感されます。
方法は、先ず仰臥位で指の間に鍼をします。手にするのを八邪、足にするのを八風といいます。鍼をすると気・血・水(東洋医学の概念ですが)が動きますから、シビレ・むくみ・こわばりの原因の水も動き、症状は軽減するという訳です。但し、気・血・水は体のくびれの箇所で滞るという原則がありますから、その処置も必要です。一番大きなくびれは頸部ですから、この部位の処置が最重要となります。体幹と上肢、体幹と下肢の繋ぎ目の処置ももちろん大事です。

最近経験した症例で、その治り方の経過、指導内容を示します。
最後に、症例経験から分かる2~3の事柄を結語とします

《症例1》安◇清◆;75歳、女性
C.C.;腰痛症、右手指~上肢のシビレ感、こわばり感
P.I.;2ヶ月前より、腰痛出現。ほぼ同じころより右手指~上肢のシビレ感、こわばり感出現。シビレ感はだんだん範囲が広がりひどくなり、とれない。
治療、経過;
8/9;初診、先ず食事チェック
   朝       昼        夕
   飯       飯        飯
  みそ汁    野菜炒め   野菜炒め
 緑茶1~2杯  緑茶1杯  緑茶又は水1杯
      10時      3時       寝る前
      緑茶     水150cc     水1杯
    又は水150cc

緑茶、水をできるだけ制限
うがい程度と指示

シビレ; 鍼治療は八邪(指の間)、肘に灸頭針、天宗(肩甲骨棘下のツボ)に刺絡後吸い玉
腰;膝3穴(肘にある腰痛のツボ)に置鍼15分し、腰以下の運動をする遠位置針ー運動療法と言います。

処方    朝      昼       夕
     六君子湯  薏苡仁湯   八味丸
           桂枝加朮附湯 桂枝茯苓丸

8/10;腰痛、シビレ共にやや軽減 同処置
8/12;同処置
   お盆でちょっと間があいて
8/21;腰痛はよい。シビレ上肢はない。指の付け根(MPj)から先にシビレあり。
8/22;こわばりもよい。仕事するとシビレが強くなる。
   汗かくので、水分とっている→更なる制限指示
8/23;手指のシビレは指の付け根からあったのが、先の方だけになった。
いつもの処置に加えて『火針』(タングステン鍼を真っ赤に焼いて速刺速抜;
経路の流れを良くし、更にアイロンをかける意味がある)を施行。直後に「どうですか?」と聞くと、指先を何度も擦り合わせて「シビレは、あら?無い。」
との弁あり。
8/26;シビレは、火針後生じていない。
【コメント】本例のような経過ー床上浸水理論でー更に水が床下へ引いて行くイメージで治って行かれます。

【参考】『火針』について
(1)『霊枢』経筋編では
「火針を早く速刺速抜せよ。知るを以て数と為す。痛を以て兪と為す」
(火針は速刺速抜し、効果があれば、それで治療を終えなさい。痛い所がが治療点である)と述べられている。
(2)高知県の西田晧一先生は、火針の五つの効果機序をあげられている。
①火を用いて扶正助陽・温通経絡する
②皮膚に穴を開けて邪気(お皿や水気、余分な熱)を除く
③熱を用いて熱邪を取る
④痛みと痒みを取る
⑤麻痺を取る
(3)賀普仁氏は、三通法を
①微通法(刺針、皮内針)
②温通法(施灸、灸頭針、火針)
③強通法(刺絡)
と述べられている。
が『火針』を使った経験からはこの三つを備えた最高の強通法であると考えています。

《症例2》U.N.;59歳、女性
C.C.;右肩痛、右拇指シビレ
P.I.;本年3月より、右拇指シビレ出現。右肩痛もあり、頸が原因と言われ、治療しているが、シビレ、痛み共にひどくなるため、漢方でどうにかなりませんかと依頼あり。
治療&経過;
8/2;受診。食事チェック

      10時       3時        入浴後
  朝       昼          夕
緑茶一杯   冷麦茶2杯    冷麦茶2杯
   冷麦茶5~6杯  冷麦茶5~6杯   ジュース1杯
                          冷麦茶1杯
1日19杯水分摂取 緑茶、冷麦茶などの制限を指導

治療;右手に八邪、肘に灸頭針、頸肩部の凝りに針、天宗に刺絡後吸い玉
処方;朝       昼       夕
 六君子湯   薏苡仁湯   薏苡仁湯
        桂枝加朮附湯 桂枝加朮附湯

8/6;右手のシビレ感じが違ってきた。同処置施行。
8/10;よい
8/16;ほんの少し指尖にシビレあり。当初の2~3/10
麦茶を少し飲んでいるとの事。再度制限指示。
8/22;ほとんど気にならない。同処置に井穴刺絡追加。
8/27;物にあたるとジーンとしていたのだが、しなくなった。
シビレほぼ消失。

【コメント】床上浸水理論でー床下へ水が引き指尖にシビレが残っている時は、井穴刺絡か火針で皮膚表面を撫でるようにする(アイロンをかけるの意です)とシビレは消失します。

《症例3》H.S.;76歳、男性
C.C.;両足のつり、シビレ
P.I.;半年位前より、両足がつるようになり、またシビレもあり、整骨院で治療しているが、よくならない。以前腰部脊柱管狭窄症と言われたことがある。

治療&経過;
7/12;受診。食事チェック。
      10時       3時      入浴後    寝る前
   朝        昼       夕
 ヨーグルト    おかゆ     おかゆ
 牛乳1      ヨーグルト   青汁1
 緑茶2      バナナ1    トマトジュース1
 トマトジュース1  水1
                          水1     冷水1

上記の陰性食品を極力制限を指導

     冷水小まめにとる習慣あり
  普段より、胃腸の調子が悪いーー裏寒
  治療;百会、関元に棒灸。足三里に灸頭針。足に八風など
  処方;   朝       昼        夕
      附子理中湯  附子理中湯 牛車腎気丸
       真武湯     真武湯   九味檳榔湯

7/16;足のつりは減ってきた。
7/17;足のシビレは足拇指左先に少しあるのみ。井穴刺絡を追加
     処方;朝        昼       夕
      附子理中湯  牛車腎気丸  牛車腎気丸
       真武湯    九味檳榔湯  桂枝茯苓丸
7/26;足のつり起こっていない。
    足のシビレもほとんど気にならない。
    忘れていたが、胃腸の調子もかなりよくなった。

【コメント】漢方薬や鍼灸は取っ付きにくく、敷居が高い。まゆつば物で信用しないと言われる方もいらっしゃると思いますが、そう言われる方でも患者様は”体を冷やす”陰性食品を知らずに摂取していますから、陰性食品の制限を指導されるだけで、皆さん体調が良くなります。どうぞ試されてみて下さい。

《症例4》M.N.;68歳、女性
C.C.;夜になると足がジンジン《症例4》M.N.;68歳、女性する
P.I.;1年前から昼間はどうもないのに、夜になると足がジンジンする。複数の医療機関で検査したが、異常なし。自律神経失調症と言われた。足のジンジンは不思議だが、足を高く上げると楽になるので、いつも足を高くして寝ているとの事。針や漢方でよくなりますかと依頼あり。又リウマチが気になるからと。
治療&経過;陰性食品(朝昼夕と3時と寝る前に緑茶2杯×5、10時にコーヒーとオロナミンC、3時にはアクエリアス2杯)を制限。鍼治療は、調気、足に八邪、頸背部の疑りに置針。漢方薬は腹は冷たく、裏寒(内臓の冷え)として附子理中湯合真武湯、桂枝加苓朮附湯を投与。後日来院されましたが、夜の足のジンジンはその日の夜からなくなったとの事。ビックリしたとーーー1週間で治癒廃薬。
【コメント】足を高くするとジンジンは軽くなる。これは何を意味するか?。高いところから低いところへ水が流れたと東洋医学では解釈します。西洋医学にはない概念『水毒』の典型例です。現象論としては、例えば『手根管症候群でも手を挙げてグーパーグーパーするとシビレは軽くなります』とTVの健康番組で手の専門医が述べています。現象論としては知り理解しているが、『水毒』の概念がない為に、もう一歩踏み込めない、解決できないと思います。この方は陰性食品制限と鍼治療が奏功した例です。
1年間のジンジンが1回の治療でとれたので喜び、娘さんが3週間前から手のシビレがよくならないと遠方から連れてこられました。同じように水毒の治療をして30分でシビレは消失しました。原因は6杯の冷麦茶と2杯のプーアール茶でした。

《症例5》T.T.;37歳、女性
C.C.;手足のシビレ、手の皮が薄くなった
P.I.;H25.7.大腸癌の手術施行。抗癌剤の投与後手足のシビレ出現。主治医からシビレは、抗癌剤の副作用なので、治療法は無いと説明されたが、不愉快で仕方が無い。漢方や針灸などで、どうにかなりますかと依頼あり。
治療&経過;東洋医学ではシビレは水毒が圧倒的に多いと説明すると、抗癌剤の投与で点滴を始めると、手足がむくみ、シビレがひどくなり、看護婦さんから温めてもらうと軽くなったと言われました。手に八邪を施行し、肘関節の圧痛部に灸頭針、天宗に吸い玉、頸背部の凝りに置針。漢方薬は、抗癌剤治療後の疲労感強いため、気血両虚として十全大補湯を投与。鍼治療のたびにシビレは軽減し6回の治療で消失しました。又足のシビレには、足関節が重いとの訴えもあり、踵痛の針を一緒に施行。直後に、足の重い感じは消失し、シビレも軽減しました。
【コメント】シビレは西洋医学では神経がらみの症状ですが、東洋医学では水毒が圧倒的に多く、他に血虚や肝鬱があります。
いつもの様に水毒に準じて、鍼治療を施行し症状は軽減消失しました。

私の経験では、抗癌剤の副作用としてのシビレは本例を含めて3例しかありませんが、最初の1例は火針2回で簡単にシビレはとれました。2例目は、半信半疑で脱落。本例が3例目で、普通の水毒と同じ様な経過で治りました。西洋医学では、積極的な治療法がなく泣き寝入りしている方が多いと思われます。
 この方は、5月の連休に缶ビールを飲まれ、シビレが再度出現し、さらなる納得をされました。症状に再現性があり、治療で消失しました。やはりこのシビレは水毒でした。抗癌剤の副作用としての末梢神経障害ではないようです。

《症例6》⬜︎.X.;52歳、女性
C.C.;頸部痛、左上肢のシビレ感
P.I.;平成25年11月24日の交通事故で受傷。頚部痛、左上肢のシビレ感を訴えられて平成25年11月28日受診。
治療&経過;先ず漢方駆瘀血剤を投与し、鍼治療も施行。左上肢のシビレ感に対して利水剤を中心に血剤を加味して投与。軽減はするものの反応が今一つ。火針・井穴刺絡もしましたが12月に入っても、ジンジン・シビレの訴えが続きました。経過が水毒のシビレと異なり、迷ったあげくヒョットしたらと思い四逆散ベースに変更しました。これがヒットし、2日目よりシビレの訴えは消失しました。
【コメント】西洋医学一辺倒の時は、シビレはビタミン剤が中心で効くのか効かないのかわからないような状態で、逃げる意識が強かったのですが、東洋医学ではアプローチできます。
『水毒』の概念から抜け出せず、迷ったあげくの四逆散ベースがヒットし2日目よりシビレの訴えは消失しました。患者様はビックリ、「漢方はこんなに早く効くのですか?」と。水毒のシビレは、床上浸水理論で床下へ水がひくイメージで、時間はもう少しかかり、シビレの範囲も徐々に下がり最終的に指先だけになりますと説明。ストレスのシビレは初経験と話し、『漢方は凄い』と二人で話し合いました。ストレスでシビレが起こることを教えて貰いました。その後は経過良好で廃薬。先入観念で物事をみてはいけない。経過が典型例と異なる時は、戦法を変えることの重要性を思い知らされました。この症例は早く気付いてあげれば、不愉快な症状からもっと早く解放されたかもしれません。反省させられた症例です。

《症例7》◯.◆.;13歳、女性
C.C.;右手がシビレて、鉛筆がもてない
P.I.;◯月2日朝より右肩に少し痛みがあったが、登校。徐々に右手にシビレが生じ、鉛筆が持てなくなり、午後早退して受診。半分泣きそうな顔。
経過&治療;右手に八邪をし、棒灸をしました。針は初めてで怖そうでしたが、刺入直後に右手指のグーパーを指示すると、違和感が変化したみたいで、顔がほころび、『違う』と一言。15分後鉛筆を持ち、字が書けました。顔はニコリとしていました。
【コメント】やはり、鍼治療は超速効です。いつも経験する度に、感動します。
東洋医学の解釈では、この方は前日の入浴後のアイスクリームが災いして、朝右肩が痛み、その日の昼食の牛乳で更に冷えて肩の痛みが増強し、水毒としてのシビレも出現し鉛筆が持てなくなったと考えます。治療は針で気・血・水を動かし、お灸で温め、冷えを散らすとなります。わずか15分で症状軽減です。比較的新しいシビレは、この症例の様に簡単にとれます。固定化したシビレ特に下肢のシビレは、水を腎臓・膀胱まであげないと排泄できませんから時間がかかります。
西洋医学一辺倒の時は、シビレは解決できない問題で嫌でしたが、解決出来ると好きになります。本当に人間とはご都合主義とつくづく思います。

《症例8》N.J.;63歳、女性
C.C.;左足のシビレと痛み
P.I.;2年前、自分がドナーとして肝臓を夫に移植。しかし甲斐なく夫が亡くなり、その後2カ月して左足のシビレと痛みが出現。
治療しているが、かんばしくないと受診される。
左足は冷えて仕方がない。ホッカイロや湯たんぽを使っているけれども温もらない。漢方や針でどうにかなりますかと依頼あり。
治療&経過;初診時、裏寒、腎虚として温裏剤と牛車腎気丸を投与し、鍼治療施行するも、経過が何時もと違い、鍼治療でかえって疼痛が増強するとの訴えあり。ご主人の事を聞くと涙ぐみ、すぐに頭に浮かぶとの返事あり。ストレスかもしれませんよと説明し、処方変更。四逆散と五積散を投与。1週間後、漢方を変えてもらってから、漢方薬は甘く、飲むと足が温もってくるのがわかったとの事。3日目から全然ちがってきたと。腰のヘルニアが原因と思っていたのに、こんな事もあるんですねとビックリされるや痛みが軽減して嬉しいやらでした。
【コメント】整形外科では、痛みの原因をすぐに器質的変化に求めようとして、画像診断を優先しがちです。そして痛みに対しては”止める”が原則で薬を使います。それでうまくいけば問題なしです。が、本例の様に、ストレスをとる漢方で痛みが軽減すれば、器質的変化は、本当に痛みの原因なのか迷ってしまいます。東洋医学では『冷えると痛む』『通じないと痛む』が原則で、ストレスは『冷え』に働きますから、理解し納得出来るのですがーーー

《症例9》N.T.;38歳、女性
C.C.;眠れない、右手がシビレ、右腕が詰まっている
P.I.;5年前の交通事故後、眠れない。右手がシビレ、右腕全体が詰まっている。特に右手首付近の詰まり感はひどい。時々足もシビレる。頭痛もある。自律神経失調症と言われて薬を飲んでいるがよくならない。
針と漢方でどうにかなるかもしれないと友人に薦められて受診す。
治療&経過;陰性食品を制限。鍼治療は四関穴・三気海で調気。頸背部の凝りに置針。
不眠症の針;四神聡、印堂、頭維、内関、足三里、三陰交に置針。右手に井穴刺絡しドス黒い血液を2~3滴絞り出す。直後に「右手の感じが違う。詰まりは軽くなり、シビレはない」と一言あり。

【コメント】東洋医学の世界では、『不通即痛』(通じざれば即ち痛む)という病理感があります。人の体のどこかに” 瘀血”が生じると、末梢血液循環障害を起こし、それが痛み他の不具合の原因となり、鍼灸治療で”通じさせる”と痛み等の症状は軽快します。此の症例でも、手指先端の井穴に刺絡し、ドス黒い血を2~3滴絞り出した直後に経絡が通じた証拠として「右手の感じが違う。詰まりが軽くなり、シビレはない」と一言あり。速効です。又、経絡は目に見えませんが、症状が軽くなった事より『不通即痛』は本当で、鍼灸で簡単に”通じさせる”ことが出来ると結論ずけたいと考えます。東洋医学の此の治療法は知らないと損をすると思います。

《症例10》S.T.;54歳、女性
C.C.;両手のシビレ&疼痛
P.I.;3~4年前より両手のシビレ&疼痛が出現し、精査し頸部脊柱管狭窄症と診断された。薬物療法やペインクリニックで治療を受けたが、スッキリせず、黒川式の脊柱管拡大術を受けた。それでも、シビレ&疼痛はとれない。友人から漢方や鍼治療でどうにかなるかもしれないと薦められて受診。
治療&経過;シビレは西洋医学では神経がらみの症状、東洋医学では水毒と説明し、陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気後、頸背部の凝りに置針。右手のみに八邪と肘部の硬結に灸頭針、頸部の手術痕周囲にも灸頭針、天宗に吸い玉。直後にシビレ&疼痛の感じが違うと一言あり。漢方薬は利水剤、駆瘀血剤、理気剤を投与。3週間後シビレは当初の3/10。遠方のため、時々受診されますが、其の度に針灸治療は施行。自宅でも灸治療を薦める。シビレは雨天前と外食で水分とりすぎるとひどくなるのが分かってきたと。又「台風が九州の東ではシビレは軽く、西側にくるとシビレがひどくなるのがわかってきた」と最近いわれました。
【コメント】シビレは西洋医学では器質的病変による神経圧迫症状ですが、東洋医学では水毒。この方は、手術でとれなかったシビレ&疼痛が陰性食品制限と水毒に準じた針灸治療・漢方薬治療をして軽減しました。MRIの画像診断名は頸部脊柱管狭窄症ですが、東洋医学ではこの方は水毒体質でした。西洋医学に水毒の概念がないからーーーー仕方がない。あまりにも可哀想。他に治る手段があれば、患者様はなんでもいいんですよ!

《症例11》◯.◆.;32歳、女性
C.C.;右上腕脇の異常知覚(ジンジンしてヒラヒラ)
P.I.;2カ月前から洋服があたると右上腕脇がジンジンヒラヒラするような感じがあり、検査するも異常なく、気になって仕方がない。異常もなく治療方法もわからず、ヒョットしたら漢方や鍼治療でどうにかなりますかと依頼あり。
治療&経過;右上腕の異常感覚という事で、水毒と考えて先ずアプローチ。漢方薬は利水剤の主方薏苡仁湯をベースに投与。鍼治療は調気後に八邪、肩に灸頭針、頸背部の凝りに置針し、天宗に刺絡後吸い玉施行。1週間後、あまりかかわらない。ちょっと経過がおかしいかな?。四逆散をベースにすると、飲み始めて3日目より違和感が消失したと後日報告あり。水毒の概念先入観を捨て、経過がおかしかったら方針変更しないと失敗するよと教えられた症例です。というか水毒は末梢、中枢はストレス、日本漢方の胸脇苦満と同じと解釈しましょうと教えてくれた症例です。

【コメント】ストレスが原因のシビレは水毒の治療としての鍼治療に 反応せす経過が典型例と比べて異なることから容易の区別がつきます。又、部位は手足の末梢であれば水は低いところへたまりますから、『間違いなく水毒』、左上腕や脇のシビレであればストレス、日本漢方の胸脇苦満の変形として、最初から四逆散をベースに投与すべきです。

《症例12》T.M.;45歳、女性
C.C.;左上腕のシビレ
P.I.;3年位前より、毎日夕方4~5時くらいになると左上腕のシビレが起こってくる。複数の医療機関で検査したが原因はわからず治療法もないと言われた。又自律神経失調症とも言われた。漢方薬局でサフランが良いと薦められて飲んでいるが全く変わらない。漢方と鍼治療でどうにかなりますかと依頼あり。
治療&経過;陰性食品を制限し。針治療は調気、頸背部の凝りに置針。漢方薬はこれまでに経験したシビレの症例の経過より、中枢側なので、迷わずに四逆散をベースを投与。後日来院、3日目には症状消失し不思議だと。3年間は何だったんだろう?と一言あり。

【コメント】私の経験した症例から、シビレの部位が末梢は水毒で、中枢はストレス(肝気鬱結)ではないかと仮説をたてました。その後のストレス(肝気鬱結)の第一例目です。
予想に違わず、四逆散をベースに投与して3日で症状消失しました。

◆シビレの症例分析
・水毒ーーー(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(7)、(9)、(10)

(4);足を高くすると軽減。(5);抗癌剤の副作用
(9);治療は刺絡のみ。(10);術後

・ストレスーーー(6)、(8)、(11)、(12)
※※シビレの症例から分かる2~3の事柄
①水毒のシビレ
・圧倒的に多く、手足の末梢に生じる
・鍼治療で速やかにシビレは軽減・消失する。
・床上浸水理論でシビレは広がり、治っていくのは床下へ水が引く感じで治る。
②ストレス(肝気鬱結)
・中枢側(脇、上腕内側)に生じる。
・鍼治療に反応しにくい、或いは経過がおかしい。
・四逆散をベースに漢方薬処方;3日以内に効果あり。

◆西洋医学の病名
自律神経失調症、腰部椎間板ヘルニア、抗癌剤の副作用、頚部脊柱管狭窄症、
頸椎性神経根症、腰部脊柱管狭窄症、手根管症候群ーーーなど

※むくみ・こわばりの症例
《症例1》N.H.;52歳、男性
C.C.;両足の腫脹と痛み、左が強い
P.I.;2カ月前から両足の腫腸と痛みが出現、2~3の医療機関で検査したが、原因は分からず、薬を飲んだが変わらない。らちがあかないので、7/8受診する。
治療&経過;陰性食品を制限(水3杯、牛乳1杯、コーヒー2杯、焼酎3杯)。鍼治療は調気、下肢は三陰交・陰稜泉に置針。頸背部の凝りに置針。鍼治療直後に痛みが違うとの弁あり。漢方薬は六君子湯、防己黄耆湯、越婢加朮湯を投与。1週間後来院。7/8夕方には腫脹はかなりひいたとの事。7/22腫脹も疼痛も無い。
【コメント】両足の腫脹と痛みの訴えは、多分西洋医学ではうまく対応出来ないと思います。
水毒の概念が無く、治療法がないからと愚推します。鍼治療と漢方薬を併用すればかなりの効果をあげれます。

《症例2》K.H.;53歳、男性
C.C.;左足痛とむくみ
P.I.;2ヶ月位前から左足痛とむくみが起こり、痛風かと思い、2~3軒の医療機関を受診し検査受けるも痛風は否定された。細菌が入り込んでいるかもといわれて抗生物質を服用しているが、それでも治らない。おかしいと思い、友人に薦められて10/7受診する。
治療&経過;左足のむくみは東洋医学では、水分のとりすぎ”水毒”と説明。陰性食品(毎食後水3~4杯計16杯、ペットボトル500ml13本)の制限を指示。先に防己黄耆湯、越婢加朮湯を服用。鍼治療は調気し左足に八風、踵痛の針、豊隆に置針。患部に刺絡し吸い玉施行。頸背部の凝りに置針。直後に痛みが違うと一言あり。10/8受診、だいぶよいが踏み返して足指の付け根が痛む。陽明胃経と少陽胆経なので、下病上取、陰陽交差の原則のっとり、太陰肺経と厥陰心包経の穴に円皮針を貼る。直後に歩いてもらうと痛みがかなりよいと反応あり。1週間後腫脹ほぼ消失、痛みも消失。廃薬。

《症例3》S.T.;63歳、男性
C.C.;両踵部痛とむくみ
P.I.;3カ月前から両踵部痛ととむくみが出現、踵部痛は朝一で足をつくのに痛んで困る。私が熊本の勉強会で利用する居酒屋の大将です。
治療&経過;針の持ち合わせが少なく、ホログラフィー理論にのっとり手根掌側の横紋中央に円皮針を貼る。翌日telしてみると、今日の朝は痛くなかった。むくみも取れている。「ありがとうございます。」とお礼を言われ、此の次ぎには美味しいものを用意して待ってますとの由。
【コメント】針の待ち合わせが少なく、たまたまホログラフィー理論にのっとり手根掌側の黄紋中央に円皮針を貼りました。初めての経験ですが、著効をしめしました。鍼治療は色んな方法があり、それぞれのやり方で反応しますから、どっぷりはまる訳です。

◆◆水代謝と漢方薬
① 肺気と宣散と粛降ーーーー防己黄耆湯、越婢加朮湯
② 脾気の昇降と運化ーーーー胃苓湯、真武湯
③ 腎陽の蒸化と膀胱の気化ー牛車腎気丸、五苓散
④ 三焦の通暢ーーーーーーー温胆湯、柴苓湯

当院について

自然
50歳をすぎて始めた東洋医学の治療効果--西洋医学だけの時よりも患者さんの治り方があきらかに違う。
人が本当に治るというのはこんな治り方をするのかと感激しさらに東洋医学のふかみにはまりました。
整形外科以外の他科疾患--例えば眼科、耳鼻科、精神科、皮膚科などの症例もすこしづつ増えて本当に治っていきます。
そんな方々の声があります。
患者さんと私や当院のスタッフはその事を知っていますが、それ以外の人はほとんど知りません。患者さんの了解を得て『患者のこえ』の作成を思いつき、それを公開しようと考えました。色々やってみたが--、体質とあきらめている。年のせいとあきらめている。等等--東洋医学の門をたたいてもらえれば一助になるかもしれません。

医院概要

【住所】〒834-0005
福岡県八女市大島18-1
【院長】樋口 理
【TEL/FAX】0943-23-2765
【診療時間】
9:00~12:00
13:20~18:00
【休診日】
土曜日午後・日曜日・祝日