論文タイトル

30.東洋医学治療の小経験 ーヘルペスの症例からわかった事柄ー

30.東洋医学治療の小経験 ーヘルペスの症例からわかった事柄ー



東洋医学治療の小経験
ーヘルペスの症例からわかった事柄ー

第4部 東洋医学ひぐちクリニック
樋口 理

ヘルペスは、西洋医学では免疫能が低下したときに生じるもので、治療法は抗ウイルス剤の内服或いは点滴注射及び消炎鎮痛剤の投与が基本だろうと思います。一方東洋医学では、皮膚表面から盛り上がる余分な水。水毒。余分な水をウィルスの力をかりて体外へ排泄しようとする治癒反応と考えます。(多々私の独断と偏見が加味されていますが)東洋医学では、ヘルペスの急性期には、鍼治療をヘルペスを囲むように放射状にすること、疼痛はその場で消失し、漢方薬の利水剤の代表;五苓散を投与します。経過はすこぶる早く3日位で枯れてきます。抗ウィルス剤の内服或いは点滴注射及び消炎鎮痛剤の投与例の経験は全くありませんが、東洋医学治療例がだいぶたまりましたので、其の経過からわかった事柄を報告致します。
先ずは症例を呈示します。

(症例1)O.H.;48歳、女性
C.C.;上口唇のヘルペス
P.I.;肩関節の治療されている方です。毎年春先になると上口唇の同じ場所にヘルペスができ、いつも皮膚科で治療しているが、漢方や針で治療できますかと依頼あり。痛くてヒリヒリしているとの事。
治療&経過;上口唇のヘルペスの周囲に放射状に皮内針を刺入。直後にヒリヒリ感消失、痛みも消失。本人はビックリ。漢方薬は五苓散を投与。次回受診時に経過をきくと、2日目より水疱がしぼみ、枯れてきたとの事。いつもに比べて経過が早いので本当にビックリ。こんな治療法があるとは知らなかったとの弁あり。

【コメント】
上口唇のヘルペスが毎年春先になるとでき、皮膚科で治療されている方です。いつもは痛みヒリヒリ感はなかなかひかず、治るまでに2~3週間かかっていたそうです。鍼治療と漢方薬では数日で治癒しています。こんな治療法があるとは知らなかったと言われましたが、患者様は1秒でも早く疼痛や不快感が軽減消失すれば、治療法は何でもいいわけで、この治療法が普及すればと思います。

(症例2)◯△;17歳、女性
C.C.;左顔面の痛みと水疱形成
P.I.;3日前から左顔面の痛みと水疱形成。近医受診し、帯状疱疹の診断をうけ投薬をうける。鎮痛剤を服用しても痛みが止まず、夜間不眠は続くため、◯月31日当院受診。

治療&経過;苦痛様願望。左顔面頬部耳にかけて水疱形成。浸出液あり、耳から膿汁有り。経絡では陽明経、少陽経と判断し手と足の穴位に置針。直後に全然違うとの弁あり。15分後、疼痛ほぼ軽減。漢方薬は龍胆瀉肝湯3包3×、五苓散1包1×3日分。×月2日殆どどうもない。◯月31日夜はぐっすり眠れた。処方変更。柴胡清肝湯3包3×その後廃薬。
【コメント】
東洋医学では鍼治療で疼痛は速効で軽減できます。近医受診し、1カ月はかかると言われたそうです。西洋医学の治療経験はありませんが、患者様は1秒でも早く症状を軽減できれば治療法は何でもよいと考えます。東洋医学のこの治療法はお薦めです。

(症例3)△◆;73歳、女性
C.C.;帯状疱疹後の右腰痛
P.I.;10年以上前の帯状疱疹後、右腰痛が起こり、色々治療(ブロック治療など)したが、治らないので諦めてている。今は、寝返りで困るし、寝起きもスットできない。娘から漢方と針治療でどうにかなるかもしれないと薦められて受診。
治療&経過;東洋医学では『冷えると痛む』という原則を説明。日常生活で冷やす食事をしていると、それが全部一番弱いところにでてくる結果になると考えるとさらに説明。従って治療方針は陰性食品の制限除去。お茶と牛乳を禁止。帯状疱疹患部には刺絡後吸い玉施行。寝起きが幾分楽になったとーー。漢方薬は経過が長いので、気血両虚として十全大補湯加附子、柴胡桂枝湯合駆瘀血剤を投与。刺絡後吸い玉を施行する度に、症状は軽減し、寝返りもスムースにできるようになり、寝起きも普通にできるようになり、6回の治療で治癒。
【コメント】
西洋医学でうまくいかなかった症例でも、診方治療法を変えるとどうにかなるものです。治療法は一つしか知らないのと、幾つか知っていれば全然違ってきます。これを判断医学といいます。どの治療法が患者様にとってベストかを判断するというものです。西洋医学でうまく行けば良し。うまく行かなければ、治療法を変更。2~3週間で効果なければ変更したほうが良いかも。西田先生もその著「瘀血を治す」の中で、帯状疱疹後神経痛には刺絡後の吸い玉が一番著効すると述べられています。私も数は少ないながら、帯状疱疹後神経痛は全例満足すべき結果を得ています。

(症例4)M.K.;26歳、男性
C.C.;右肩の湿疹と水疱
P.I.;3日前より右肩の湿疹と水疱が出来て、下着があたると痛く、変なヒラヒラするような違和感があり、水疱が広がっている。家族から帯状疱疹だろうと言われ、母親が漢方と鍼治療で早く治ったので、受診。
治療&経過;右肩の湿疹と水疱の周囲に皮内針を放射状に置針すると直後に違和感軽減。漢方薬は五苓散を投与。4日後受診。下着があたると痛く、変なヒラヒラするような違和感は針直後より、ほぼ消失。水疱は涸れている。更に2日分処方して廃薬。
【コメント】
鍼治療と漢方薬を併用すると、殆どの方が3~4日で治癒されます。

(症例5)O.Y.;66歳、女性
C.C.;左肩から左頸部にかけての帯状疱疹
P.I.;4~5日前より、左肩から左頸部にかけての水疱ができ、近医で帯状疱疹の診断で治療しているが、洋服があたるとジカジカしてどうこうも仕様がなく、困っている。
針や漢方でどうにかなりますかと依頼あり。
治療&経過;左肩から左頸部にかけての帯状疱疹の周囲に放射状に皮内針を刺入。直後に洋服があたるとジカジカする感じは消失し、ビックリされました。漢方薬は五苓散を投与。後日、年のわりに治るのが早いと言われたそうです。
【コメント】
西洋医学での治療経験はありませんが、鍼治療直後に洋服があたるとジカジカする感じは消失し、後日、「年のわりに治るのが早い」と言われたそうですから、鍼治療をすると治療期間の短縮が計れるのではないかと愚考しています。患者様は一秒でも早く苦痛から逃れたい訳で、西洋医学だけではなく東洋医学のいい点を併用すると、恩恵を被る方々が増えると思っています。

(症例6)O.Y.;54歳、女性
C.C.;左口角部のヘルペス
P.I.;毎年秋になると左口角部にヘルペスが出現し、いつも皮膚科で治療しているが、漢方や針で治療できますかと依頼あり。
治療&経過;左口角部には痛いような変な違和感方あるとの事。水疱周囲に皮内針を置針すると違和感は消失。漢方薬は五苓散を投与。後日受診。全然いつもと経過が違う。違和感が無いし、早いとの弁あり。いつもは2週間以上かかっていた。こんな治療法は初めてとの事。
【コメント】
ヘルペスの治療は全く経験ありませんが、どの方も痛くなく、何回か経験されている方は、口々に経過が早いと言われます。これが本当なら、針治療と漢方薬だけで十分に治療出来るのではないかと考えています。

(症例7)○.◆.;73歳、男性
C.C.;左前額部の帯状疱疹後の痛み
P.I.;8年前帯状疱疹。その後、朝晩冷えたり雨の前などに古傷が痛む感じで痛くなる。漢方や針でどうにかなるならと思い受診す。
治療&経過;調気後頸背部の凝りに置針。左前額部の帯状疱疹の部位に刺絡後吸い玉施行。漢方薬は葛根加朮附湯に桂枝茯苓丸を合方。治療を続けられている内に、朝晩冷えたり雨の前などに古傷が痛むが軽減し痛まなくなりました。もちろん、陰性食品の制限はバッチリされました。
【コメント】
帯状疱疹後の痛みでも、日常生活に支障のあるような酷い痛みではなかった様です。「痛みは冷えると生じる」が東洋医学の考え方と説明。さらに一番弱い所に、その人の食生活の冷やす部分が出てくるから、陰性食品の制限は非常に重要なことと説明。納得された方々は、次第に何を食べると痛みが生じるかわかるようになります。この方は時々見えられますが、3年たっていますが、左前額部の帯状疱疹後の痛みは起こっていません。

(症例8)F.O;54歳、男性
C.C.;右腰部の帯状疱疹後の痛み
P.I.;30歳代に右腰部の帯状疱疹。その後右腰部の帯状疱疹後の痛みに悩まされ、ブロックなど種々の治療をしたが不変。ほぼ諦めている。母親が漢方と鍼治療で良くなったので、ヒョットしたらと薦められて受診。天気の悪いときに特に悪い。温めると楽になるので、よく温泉へ行く。
治療&経過;陰性食品の制限を指示(天然炭酸水1,5~2ℓ)。鍼治療は調気後頸背部の凝りに置針。腰部の帯状疱疹後の痛み部位に刺絡後吸い玉施行。漢方薬は桂枝加朮附湯と桂枝茯苓丸を投与。天然炭酸水1.5~2ℓを止めただけで、痛みの質が違ってきたとの弁後日あり。治療途中で遠方へ転勤となり、刺絡後吸い玉を続けるよう薦める。母親が時々みえられるので、経過を聞くと、天然炭酸水1.5~2ℓ他陰性食品を制限し、近くの鍼灸院で刺絡後吸い玉をして貰い、経過よく以前とは全然違うとの連絡あり。
【コメント】
帯状疱疹後の痛みでも、東洋医学の世界の『冷えると痛む』の原則にのっとり、陰性食品を制限し、帯状疱疹後の痛み部位に刺絡後吸い玉施行すると、良くなるようです。この方は漢方薬は飲む期間は当院だけで短く、鍼治療だけでうまくいった例と思われます。

(症例9)F.O.;73歳、女性
C.C.;左下肢の水疱と痛み
P.I.;昨日より左下肢の水疱と痛みが出現し、帯状疱疹ではないかと受診。時々漢方治療をされています。
治療&経過;陰性食品制限。左下肢の水疱は長さ10cm位、周囲に皮内針を置針。直後に痛み軽減。漢方薬は五苓散を投与。後日受診。痛みなど違和感無く、水疱は3日目には枯れてきた。さらに3日分処方し治癒。
【コメント】
ヘルペスに対しては、ワンパターンですが、鍼治療と漢方薬でどうにかなりそうという考えが芽生えてきました。

◆◆ヘルペスの症例からわかるいくつかの事柄
(1)新鮮例
・鍼治療をすると、全例で直後に症状の軽快消失をみる。
・治癒までの期間短縮が計れる。

(2)帯状疱疹後神経痛
・刺絡治療によく反応し、治癒へ持ち込める。
・陰性食品の制限がポイント。

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当院について

自然
50歳をすぎて始めた東洋医学の治療効果--西洋医学だけの時よりも患者さんの治り方があきらかに違う。
人が本当に治るというのはこんな治り方をするのかと感激しさらに東洋医学のふかみにはまりました。
整形外科以外の他科疾患--例えば眼科、耳鼻科、精神科、皮膚科などの症例もすこしづつ増えて本当に治っていきます。
そんな方々の声があります。
患者さんと私や当院のスタッフはその事を知っていますが、それ以外の人はほとんど知りません。患者さんの了解を得て『患者のこえ』の作成を思いつき、それを公開しようと考えました。色々やってみたが--、体質とあきらめている。年のせいとあきらめている。等等--東洋医学の門をたたいてもらえれば一助になるかもしれません。

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