論文タイトル

34.東洋医学治療の小経験 ー下腹部愁訴の症例とそれらからわかった2~3の事柄ー

34.東洋医学治療の小経験 ー下腹部愁訴の症例とそれらからわかった2~3の事柄ー


東洋医学治療の小経験
ー下腹部愁訴の症例とそれらからわかった2~3の事柄ー

第4部 東洋医学ひぐちクリニック
樋口 理

下腹部の訴えは、元西洋医学整形外科医には全く関係ない世界でしたーーが、東洋医学の世界に身を置き、漢方や鍼灸を勉強し実践して行く中で、少しづつ対応出来るようになりました。症例もたまり、西洋医学の知識(平成の現代の常識)と正反対の指導をして改善する例もあります。治っていかれたので、指導が正しかった?かと愚考しますが、そのような症例を提示し2~3の分かった事柄を述べさせていただきます。

(症例1)H.M.;73歳、男性
C.C.;常時尿意があり、尿漏れし困っている
P.I.;5年前前立腺癌で手術。以後常時尿意があり、尿漏れし困っている。諸々の医療機関で検査や治療したが効果がない。諦めていたが、知り合いから漢方と鍼治療でどうにかなるかもしれないと薦められて受診。◆年9/8受診。
治療&経過;尿の回数が多いのは、東洋医学では体が冷えないための治癒反応と説明し、陰性食品(毎日野菜ジュース、コーヒー、茶など)の制限を指示。鍼治療は、調気(四関穴、三気海)、頸背部の凝りに置針。尿漏れにたいして、三陰交•腎兪•関元•次髎等に灸を施行。
漢方薬は裏寒(内臓の冷え)に附子理中湯+真武湯、気血両虚に十全大補湯、腎虚瘀血に牛車腎気丸合桂枝茯苓丸加薏苡仁、標治として五淋散を投与。3週間後大分良い。食事のチェックをすると、秋は紅茶等が良いと聞き飲んでいるとのことで制限を指示。10月末、尿漏れ大分良い。尿意は殆ど気にならない。自分で『カレーは冷やしますか?』と質問あり。カレーをよく食べていたが、止めてからさらに調子良いとの弁あり。
【コメント】5年前前立腺癌で手術。以後常時尿意があり、尿漏れし困っているという訴えで、困り果てて受診された方です。東洋医学の冷えると尿の回数が増えるを実感され、陰性食品の制限を実行され、嗜好品のカレーまで制限されて、更に実感されました。『何が本当かわかってきた』とまで最近は言われています。TV等で『水をとれ』というのは日本人にはあわない真っ赤な嘘だとわかったとの事です。『尿漏れ対策の紙おむつもとれそうだ』と自信ありげに言われます。凄い進歩だと関心させられます。

(症例2)S.R.;48歳、女性
C.C.;膀胱炎が治らない
P.I.;3週間前から膀胱炎症状で抗生物質を服用してるが、一向によくならないと受診。下腹部に絞るような不快感がありますとの事。
以前から時々漢方治療されている方です。
治療&経過;膀胱炎は細菌がいれば、抗生物質の独壇場。いなければ、漢方と灸の独壇場かもしれませんと説明。三陰交に灸、腹部の中極(膀胱の募穴)にも灸を施行。灸をしている最中に症状軽減。腹臥位で腎兪に灸頭針施行。鍼治療直後には症状消失。漢方薬は症状消失のため投与せず、三陰交に灸のため、穴にマジックで印しをつける。五カ月後、別件で受診。膀胱炎はその後、起こっていない。
【コメント】この方は膀胱炎症状がお灸だけで治りました。五カ月後、別件で受診。娘が膀胱炎かなという時に、三陰交に灸をしてやったら、症状消失。『私と娘が灸で治ったので膀胱炎は原因は冷えですか?』と質問があり、細菌検査で細菌(ー)なら『ピンポン;冷え』と答えました。東洋医学をするまでは、膀胱炎と縁がなく、尿路が短いから細菌が入りやすいと思っていましたが、経絡の知識や温める治療をしていると、冷えて起こる症例が多いと思います。西洋医学の抗生物質で治らない方は、ほぼ全員鍼灸で温める或いは漢方薬で温めるで治って行かれますからーーー。
この方以外にも膀胱炎で治療;抗生物質を2~3週間服用しているが治らないという方が他にもおられますが、皆さんに共通する治療方針は、陰性食品(水や茶やコーヒなど)の制限と漢方薬や鍼灸で温めるです。その人の体質;寒熱;冷えて症状が起こっている方には温めるが治療方針となります。細菌(+)なら抗生物質の独壇場、細菌(ー)なら漢方と鍼灸の独壇場?(私の独断と偏見が多々加味されていますが)ではないかと、愚考しています。

(症例3)H.S.;72歳、男性
C.C.;膀胱の容量が200mlしかなく、頻尿で困っている
P.I.;10年位前より徐々に尿の回数が増え、過活動膀胱と言われて治療していたが、良くならない。詳しい検査をしたら、『膀胱が縮んで硬くなっている』と言われて治療法は無いと言われた。娘が漢方治療で体調がよくなり、薦められて受診。
治療&経過;『詳しい検査をしたら、膀胱が縮んで硬くなっている』は、東洋医学では人の体は『冷えると縮み硬くなる』と考えますと説明。冷えの治療を中心にしましょう更に説明。陰性食品(茶4杯、コーヒー3杯、牛乳、野菜ジュース1杯)を制限。鍼治療は調気(四関穴、三気海)、頸背部の凝りに置針、腎と膀胱の兪募穴に灸施行。
漢方薬は裏寒(内臓の冷え)に附子理中湯+真武湯、、腎虚瘀血に牛車腎気丸合桂枝茯苓丸加薏苡仁、膀胱の冷えに苓姜朮甘湯を投与。遠方の方でしたが、陰性食品の制限を守られて症状は少しづつ改善して行きました。下半身の冷えをとるために漢方入浴剤の使用と足湯もされました。朝起きてすぐの腰痛も軽減され(2回腰の手術あり)、半年後には尿意も減り回数も減り、あまり日常生活に困らなくなりました。
【コメント】数年前の症例ですが、最近はTVや新聞で『膀胱が縮んでいる』という言葉を薬の宣伝でよく目にします。【冷えて】が抜けています。西洋医学には寒熱の概念や治療法、水毒の概念や治療法がないから、もう一歩踏み込めないでいると思います。この方は察しのよい方で『【冷えて】膀胱が縮んでいる』をピーンと理解されました。検査では『縮んで硬い』と何回も説明を受けたが、原因が分からないと言われたとの由。
【冷えて】で原因が分かった気がすると後日言われました。長い間闘病生活で苦しまれていたからと思います。この例の様に【冷える】原因を患者様に教えてあげて、温める治療をすれば比較的簡単に治る例が沢山あると思われます。経過がおかしい症例や長引く症例では、西洋医学だけでは片手落ちで東洋医学の概念治療法を併用すれば医者も救われ、患者様も救われると思います。

(症例4)◇.☆.;57歳、女性
C.C.;膀胱炎の一歩手前の症状(膀胱が気になってし方がない)
P.I.;◎年5月夫が定年退職して、1日中家に居るようになってから、膀胱炎の一歩手前の症状(膀胱が気になってし方ない);残尿感?何とも言えない違和感が出現。7~8軒の医療機関で検査したが異常はなく、薬を飲んでも全然変わらない。もう半年になるがどうにかしたいと考え、西洋医学以外と思い受診。
治療&経過;在宅主人症候群?と考え、鍼治療は調気(四関穴、三気海)、頸背部の凝りに置針、漢方薬は肝気鬱結として加味逍遥散、気滞に半夏厚朴湯を投与。2週間後かなり良いが後2~3割残っているとの由。陰性食品をチェックし制限。腎虚として八味丸。下半身の冷えに苓姜朮甘湯を投与。経過は波がありながら、3カ月後には殆ど気にならなくなりました。
【コメント】西洋医学では検査で異常がないと治療が始められません。そのためにこの方は、7~8軒の医療機関を受診されています。非常に無駄な医者と患者様双方の労働力と時間と費用が介在しています。在宅主人症候群?をストレス(肝気鬱結)と翻訳し、東洋医学の概念、腎虚や下半身の冷えを考えて漢方薬を投与しすると解決できました。西洋医学だけでは解決出来ない時には東洋医学の出番があります。西洋医学と東洋医学の両方を知っていれば解決出来る症例は沢山あると思われます。東洋医学は取っ付きにくいという印象があるかも知れませんが、知っていると便利です。

(症例5)◇.☆.;69歳、女性
C.C.;40年間膀胱炎ー慢性膀胱炎を繰り返す
P.I.;20歳代より膀胱炎を繰り返し、その度に抗生物質を投与されたが良くならなかった。何時も変な違和感がある。今回膀胱炎症状で残尿感が取れない。抗生物質はもう飲みたくないので、漢方や鍼灸でどうにかして欲しいと◇月13日受診。
数年前に膀胱のズンズン感で受診され、そのときは漢方薬と鍼灸治療で2週間で治りました。
治療&経過;陰性食品の制限を指示。鍼治療は調気、頸背部の凝りに置針。下肢の陰経に灸頭針。膀胱と腎の兪募穴にも灸を施行。漢方薬は裏寒(内臓の冷え)に対して附子理中湯+真武湯、腎虚に牛車腎気丸、残尿感に対して猪苓湯を投与。3日後痛みが無くなった。1週間後右の鼠蹊部が痛い(ズーンとする)と訴えあり。厥陰肝経なので迷わずに当帰四逆加呉茱萸生姜湯を投与。4日後には右鼠蹊部痛の訴えは消失。残尿感は大分良いが、いい時と悪いときがある由。良い時があり、悪い時がある場合は東洋医学では悪くなる原因があり『冷えると悪くなる』からと説明。納得の元に食べ物日記をつけて貰い悪いときを記入するように指示。そうすると、残尿感が起こる原因が少しづつ分かってきました。
カキ、ミカン、ヨーグルト、牛乳、酸っぱい物、鍋をした後、葬式で長時間座った後などーーー患者様も納得され、それ以降足湯などで防衛され、膀胱炎症状は殆ど起こっていません。患者様から一言『知らずに冷やす生活をしていたのが原因だとわかってきたと』
【コメント】東洋医学では、患者様が訴える症状はもちろん大事ですが、その症状が起こる本当の原因を探そうとします。そして訴える症状を治す治療を標治、根本原因を治す治療を本治と言います。残念ながら西洋医学にはこの概念はありません。西洋医学でうまくいけばそれで佳しですが、うまく行かない時は東洋医学のこの概念治療法はお薦めです。ちなみに、この方は食事の大事さ、季節による大事さを実感され、その後は辛くて不愉快な膀胱炎症状はおこされず、あるいはおこしても軽くすぐに治られています。本当の原因がわかったと喜ばれています。

(症例6) X.Y.;36歳、女性
C.C.;排卵痛で寝込む
P.I.;次女出産後よりなんとなく体調不良。1年前より□ル服用しているが、効果なく、排卵痛で酷い時は2~3日寝込む。友人がお灸で生理痛がよくなったと薦められて受診。

治療&経過;東洋医学では生理痛は『冷え』が原因と考えます。女性にしかわからないと思いますが、はげてくる時に、子宮の温度が一定であれば、トマトや卵やボイルをしてかわをはぐとスルットむけるように、スーットはげてくるのですが、冷えてむらがあれば、そこではげにくくなり、痛みが生じます。治療は温めるで三陰交にお灸をすると、生理痛は軽くなり、ついには無痛となります。排卵痛も同じように軽くなり、無痛となります。□ブや◎フ◎リ◎を飲まなくてもよくなります。10年以上□ブや◎フ◎リ◎を飲んでいる方でも良くなります。
生理痛の割合は、韓国•中国では3人/10人、日本では7~8人/10人だそうです。
冷えている女性が多く、それが不妊の原因とも関係ありそうです。東京銀座の寺師先生は、日本中から訪れれてくる不妊症の方々(西洋医学でうまくいかなかった)を漢方治療のみで6000例出産成功されています。
漢方で温めるが効いていると思われます。
【コメント】生理痛や排卵痛の方々には、三陰交にお灸を指導するだけで、軽減します。皆さんは知らずに痛み止めを飲み続け、全く別の治療法があるとは夢にも思わなかったと言われます。女性には、とてつもない見方となると思われる『お灸』。お薦めです。

◆◆症例からわかった2~3の事柄
※冷えの概念を知っていれば、『冷えると縮む•痛む』で、治療法は『温める』で解決できる問題が沢山ありそうである。

(1)膀胱炎
•細菌(+)→抗生物質の独壇場
•細菌(ー)→漢方薬と鍼灸の独壇場かも?
(2)膀胱炎の原因
•冷えが関係しているかも?
(3)生理痛
•痛み止めを使わなくても、漢方薬と鍼灸で十分対応できる

当院について

自然
50歳をすぎて始めた東洋医学の治療効果--西洋医学だけの時よりも患者さんの治り方があきらかに違う。
人が本当に治るというのはこんな治り方をするのかと感激しさらに東洋医学のふかみにはまりました。
整形外科以外の他科疾患--例えば眼科、耳鼻科、精神科、皮膚科などの症例もすこしづつ増えて本当に治っていきます。
そんな方々の声があります。
患者さんと私や当院のスタッフはその事を知っていますが、それ以外の人はほとんど知りません。患者さんの了解を得て『患者のこえ』の作成を思いつき、それを公開しようと考えました。色々やってみたが--、体質とあきらめている。年のせいとあきらめている。等等--東洋医学の門をたたいてもらえれば一助になるかもしれません。

医院概要

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